クトゥルフ神話TRPGシナリオ『雪山密室』キーパリングサポート

 先週の記事は遅れに遅れて申し訳ありませんでした。二回に一回は更新が遅れるブログですが、流石にあそこまで遅れるのは酷すぎましたね。どうもブログの記事執筆を後に後に回しているとてっぺんを越えてしまう…。
 さて、前回前々回と私がフリー公開シナリオ『雪山密室』を回し、事故が起こるまでの経緯を徒然と書いたわけですが、今回の記事では前二週の記事の内容を踏まえ、「事故を起こさずに穏便にシナリオを進めていくコツ」に主眼を置いて『雪山密室』のキーパリングサポート記事を書こうと思います。
 私も実際に回した結果PL側以上にKPにとっても難しいシナリオであるということは重々承知しているわけですが、作者さんのほうもそのことは分かっているようで、シナリオを公開しているサイト上でプレイリポートを公開してくださっています。こちらも合わせてご覧ください(当然ながらネタバレ満載ですので注意)。
 では、そろそろ本編のほうに入っていこうと思います。
クトゥルフ神話TRPGセッション『雪山密室』振り返り反省記事その1 その2


以下ネタバレを含む感想です。ここからはシナリオを既に読んでいるか、プレイ済みということを前提に記事を書いていきます。
未プレイの方はネタバレに注意してください。



 私の『雪山密室』のセッションを振り返り、何が事故の原因だったのかを考えていると、大きく分けて二つの原因があるのではないか、という結論に至りました。一つは私がこのシナリオの難しさに関して誤解していたこと、もう一つは行動自由度の高い敵性NPCをPLに渡してしまったことです。

『雪山密室』の難しさに関して
 まず前者に関してですが、私は当初難しい難しいと言われるこのシナリオの難しさは単純な生存率の低さや情報の入手難易度、NPC・時間管理などの技術的な側面にあるものだと思っていましたが(もちろんそれもあるんですが)、このシナリオの本当の難しさはシナリオ管理にありました。この管理というのは、簡単に言えば島谷逃走イベントを起こし、嵯峨との入れ替わりイベントを起こして…というように、ある程度人が減っていくまで(自家発電機の軽油が切れるくらい)はシナリオにおける重要なイベントを順番どおりに一つずつ確実に起こしていくということを意味しています。言い換えれば、「シナリオ崩壊を防ぐ」ということです。
 私の場合、本来嵯峨深雪との入れ替わりイベントが発生するタイミングで、「シナリオの想定ルートから外れてしまうけどまあ深刻な問題にはならないだろう」と判断し、そのままPCとの入れ替わりというシナリオ後半に起こる(可能性のある)イベントを差し込みましたが(これの詳細は後述)、これによってシナリオのバランスが一気に崩れてしまいました。たとえ探索者の一人がおおっぴらに地下室へ一人で向かうと宣言していなくとも、従者に誘い込まれて一人ずつ探索者が殺されていった可能性は高いでしょうし、それが避けられたとしても生還の見込みは薄かったでしょう。
 このシナリオはギミックがギミックなだけにKPの制御できない事故が起こる可能性があり、シナリオ進行についてはこと慎重になるべきかと思います。特に入れ替わりが関わってくるイベントが探索者の行動で阻害されてしまった場合、何らかのリカバリーないしフォローが必要となるでしょう。しかし、強引にPLを誘導したり、後から描写を変更して対処したり…というのでは芸がないですから、イベントの描写において逃げ道を確保するなどしておくといいと思います。たとえば私の場合であれば、平岡との遭遇イベントを厨房に入っていくところまでは描写せず、「探索者との会話を終え、〈心理学〉の結果を伝える」だけにとどめておけば、仮に直後停電を起こすようなことがあっても平岡の行き先をごまかすことが出来たでしょう。PLの熟練度や性格などを見極めつつ、シナリオ内のイベント描写を適宜変えて見ると、より安全にこのシナリオを回すことができると思います。


行動自由度の高い従者をPLに演じてもらうことに関して 
 後者に関してですが、今回の私のセッションが事故った原因の一つとして「従者の操縦権限がPLに移ってしまっていたこと」が挙げられます。これに関しては二つ対処法があり、最も簡単な一つは従者化したPLを事実上のSKPとしてKP陣営に抱き込むことが挙げられます。シナリオを読ませて全てを把握してもらった上で従者(に入れ替わったPC)役をKPと協力して演じてもらえれば、事実上KPの手駒となるわけですから、探索者が何か想定外の動きをしたとしても対処が格段に容易となります。しかし、この場合従者役のPLの(シナリオに参加しているPLとしての)独立性が損なわれてしまうため、『雪山密室』の真骨頂を体験したとは言えなくなるような気がします。
 もう一つは、PLをあくまでPLの立場に置いた状態でシナリオを続行する対処法で、前者よりは難易度が上がります。対処法というか、シナリオで本来想定されている流れであり、ここから下の文章は半分その説明となります。その対処法とは、PLに『ハンドアウトX  ジェノサイドプラン』や従者のデータなどの情報を渡し、行動方針に沿って動いてもらう上で、従者の高い行動自由度をシナリオ内環境によって制限することです。
 従者は知能が高く、人間を誘き出して一人ずつ殺していくという高度な行動ができる神話生物であり、これにPLの頭脳が合わされば、探索者にとって深刻な脅威となることは当然です。では、なぜこのシナリオでは問題が起こらずにクライマックスを迎えられることが想定されているのか。それは、PLと従者が入れ替わる可能性のあるタイミングがシナリオ後半にあることがカギとなっています。つまり、シナリオ後半はペンションに居たNPCも半分以下に減って警戒感が十分に高まっており、『サセックス草稿に関する私的講釈』の解読もいくらか進んでいるはずのため、従者の付け入る隙が殆どないからです(だからこそ、薪回収イベントなどが用意されている)。逆にシナリオ中盤以降に従者を動かす際、探索者グループの警戒が薄ければNPCを使って警戒を促すこともできるでしょう。
 なお、この「シナリオ内の環境設定によって行動の幅を狭める」というテクニックは自然に探索者を誘導する上でキーパリングにおいても、シナリオ作りの際にも役立つ手法であるため、頭に置いておくといいと思います。

その他、キーパリングのアドバイス(中にはプレイリポートの内容と被る部分もあります) 
・このシナリオはNPCが一度に複数人登場します。どうせだいたいは死ぬのでそこまで深く説明する必要はないですが、NPC一人一人を記号化する(金髪、ギャル、おっさんなど)ことによって、PLがNPCを覚えやすくなります。
・このシナリオのNPCは特に能力値などが決められていませんから、生き残っているキャラクターのイメージなどに合わせ探索者に欠けている技能を持たせるといいでしょう。PLが怪しくないと判断すれば、彼らを有効活用してくれるはずです(場合によってはNPC側からアクションを)。
・冒頭におけるペンションに着くまでの寒さロールは煩雑なため、全体で一回か二回にまとめてしまいましょう。寒さによる耐久値減少も成功で1、失敗で1d3減少などの簡略化をお勧めします(地味に時間がかかったので)。
・地下で自家発電装置を見つけて燃料の軽油が殆ど残っていないことを確認した上で節電を呼びかけるなどしていれば、燃料切れによる停電が起きるまでの探索時間を気持ち長くしてあげるといいかもしれません。
・シナリオ内タイムスケジュールの記述だと
17時頃:既に薄暗い中、外で大きな物音がする。別の遭難者かと外に出てみると、黒ずみ干からびた男性の死体を発見する。
18時頃:死体発見に伴う混乱も一段落し、夕食の後各自自由に行動を始める。
となっていますが、本文上では夕食後に大きな物音のイベントが発生することになっており、シナリオ進行上そちらのほうが良いので、タイムスケジュールを見ながらキーパリングをする際はご注意を。

 今回はこれくらいでしょうか。次回の記事に関してですが、先週私が突発卓でKPを務めた『腕に刻まれる死』において、プレイングに関して色々と思うところが出てきたため、自分なりにクトゥルフ神話TRPGのプレイング技術のあれこれに関して書こうかなと考え中です。受動的なプレイングでもたいていのシナリオはクリアできますが、高難易度なシナリオになると能動的に動かないとクリアできないという事態も起こり得ますし、何より自分達で悩み、考え、行動した結果難しいシナリオをクリアするというのは、ゲームとしての達成感を味わえますからね。では、また来週お会いしましょう。


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