秘密持ち改変シナリオ『歌声は遠く響き渡り』再リファイン版

 秘密持ち改変シナリオ『歌声は遠く響き渡り』暫定再リファイン版を公開します。旧改変版からの変更点はこちらをご確認ください。




『歌声は遠く響き渡り(秘密持ち改変版)』ver2.0


1.はじめに
 このシナリオは日吉秀介様作成の『歌声は遠く響き渡り』秘密持ちシナリオに改変したものをさらに全体的にブラッシュアップさせたものです。秘密持ち化に伴うシナリオ進行のパート分けやギミックの一部変更、トリックの明示化、探索個所の増加など複数個所を改変しています。
 原作者の日吉秀介様と連絡がつかず、無断での改編・公開となってしまいますが、卓内で随一の評価を受けていることもあり日吉様に敬意を表しつつ公開することを決断いたしました。そのため、予告なくこの記事を削除する可能性がございますので、その点をどうかご理解ください。
 新たなブラッシュアップに伴い、シナリオ内諸情報により意味合いを持たせる工夫や裏設定の充実などを中心に、原作の補完に加え更に改編部分が多くなっています。元のシナリオの雰囲気をできるだけ残すことに注意していますが、元シナリオからの変更点が多いことに留意してください。

2.シナリオ概要
 舞台はヨーロッパ風のお城「ミハイル城」です。時代は不問ですが、戦後以降ならシナリオへの影響は少ないでしょう。季節は真冬です。
 人数は基本四人固定ですが、追加HOを使用することで6人まで対応可能です。また、どうしてもという場合にのみ3人でもプレイ可能で、その場合やや難易度が下がります。
 推奨技能は、目星、聞き耳、医学、薬学、心理学、ほかの言語:英語で、準推奨技能は図書館、精神分析、値切り以外の交渉系技能、戦闘技能です。なお、この推奨技能とは特にシナリオ中重要な技能を指していますが、準推奨技能に関してはPCの全員が持っていなかったとしてもベストエンドでクリアできるようデザインしてあります(難易度は上がりますが)。
 このシナリオで探索者達には朝(朝食後)、昼(昼食後)、夜(夕食後)の3パートに分けてそれぞれ行動を行ってもらいます。事件が起きた場合のみ、事件現場における探索を各パートの行動とは別に行うことができます。朝食、昼食、夕食は集まって食べることになっているので、その時に探索の打ち合わせなり情報交換なりをしてもらいましょう。
 また、探索場所の大部分はシナリオ最後部にまとめてあります。

3.各PCに配布する秘密(追加報酬はオプションなのでつけるかは自由です)
PC1無名の歌手(難易度:中)
 あなたは歌がうまい一般人である。あなたの歌声は聞くものを皆全て放心状態にさせてしまう不思議な性質を持っており、周りから歌手の道を勧められて迷っている最中である。
今回あなたは「歌姫の城」と言われているミハイル城で開かれるミステリーツアーの参加権を偶然手にし、今後の身の振り方を考える上で旅行がてら参加することに決めた。
【知っていること・秘密】
・あなたの歌声は《セイレーンの歌声》に近い効果を持つ。この呪文は任意のタイミングで使用でき、あなたはこれまでに1d3回使用した経験がある(使用回数に合わせてSAN値を減少させる)。歌を歌うとき常にこの呪文を使う必要はない。また、〈芸術:歌唱〉に40%の技能ボーナスを与える。
《セイレーンの歌声》…呪文の使い手は呪文の文句を歌として歌う。成功すれば対象は術者を自分の求めるすべてだと信じてしまい、全ての命令に従うことになる(対象の行動は意識上全て自発的なものとなり、効果時間内の記憶は残るが、他人に指摘されるなどしない限り自分の行動を疑問に思うことはできない)。呪文をかけるためには2ラウンドの時間がかかり、1MPと3SAN値のコストがかかる。呪文の効果が続くのは2d10ラウンドである。対象はPOWで対抗することができ、対抗に成功すれば対象に効果は表れない。この呪文は何人でも聞いたものすべてに影響を与える。
【追加報酬】
 PC1がバッドED以外に到達して生還した場合、〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能を1つ1d10上昇させる。(この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる)

PC2記者(難易度:高+)
 あなたはこのミハイル城の取材で城に赴いている。事前にアポイントメントを取ったと言うことで城に入ることができるが、ミステリーツアー参加者ではないので、賞金贈与の対象者からは外れる。
【知っていること・秘密】
・あなたはある女性アイドルからライバルのスキャンダルの証拠を押さえてほしいと依頼されている。依頼人はその相手とは友人関係で、マネージャーから彼女がミステリーツアーに参加するという話を聞いたらしい。しかも、そのツアーはかの有名な中国系マフィア「トライアド(三合会)」のフロント企業が筆頭スポンサーだという。彼女の売り出している活発なイメージとはかけ離れた、しかもマフィアが出資するミステリーツアーに参加している証拠を押さえることができればアイドルとしてかなりのダメージとなるだろう。
・そのアイドルは非常に歌がうまく、狂信的なファンが多く居ることで知られている。
・あなたは記者として多少の軽犯罪をいくつも犯している。にもかかわらず逮捕歴のないあなたの違法取材スキルは高い。(〈鍵開け〉、〈忍び歩き〉、〈芸術:スリ〉、〈写真術〉にそれぞれ40%の技能ボーナスを与える。また、これらを職業技能として扱い、上限を90までとする。)
※〈芸術:スリ〉…この技能の初期値はDEX*2%とする。この技能に成功すれば、あなたは尻ポケットに入った財布のようなものをすれ違いざまに気づかれず盗むことができる。失敗時には、相手がスリに気づく可能性が〈聞き耳〉%あり、最初からスリを警戒されている状態では成功しても〈聞き耳〉%で、失敗すれば確実に相手に見つかってしまう。対象を指定していない場合、成功時に獲得するアイテムはスリが可能なものの中からランダムに選ばれる。いずれの場合でも、スリにあった対象がそのアイテムを使用したり確認しようとした場合、物が無くなった事実は判明するし、そうでなくとも長時間経過すれば気が付く可能性がある。
・この特ダネはあなたが一人で持ち帰って公開しなければ意味がない。もし他人がアイドルのスキャンダルネタの証拠を掴んでいるなら、それを奪うか、記録媒体を破壊する必要があるだろう。
【追加報酬】
 「特ダネ」を証拠付きで入手し、かつ独占的に公表できた場合、その数だけ「特別な成長」として任意のステータスを1上昇させ、〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能を1つ1d10上昇させる。(この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる)

PC3盗撮魔(難易度:高)
 あなたは純粋にこのミステリーツアーに興味があって参加することになっている。
【あなたの性質・性癖】
・あなたは盗撮魔である。あなたは他者を盗撮することに強迫観念に近い執着心を抱いており、寝るまでの間に少なくとも三回以上の盗撮を欠かすようなことがあれば翌日以降正常な精神状態を保てなくなるだろう。(なお、この「盗撮」は相手が特定できるような写真ないし動画でなければならず、秘密を暴露した相手は「盗撮」の対象から基本的に外れることになる。)
・あなたは前科者であるためまっとうな定職に就くことが困難であるが、偶然手に入れた盗撮写真に殺人事件の犯人が写っており、メディアに高く買い取られたことがあった。あなたはそのことに味を占めているため、機会があればそうした「スクープ」写真を入手したいと思っている。
【知っていること・秘密】
・また、あなたは盗撮の容疑で一度逮捕されており、現在は執行猶予中である。そんな中でも捕まらずに盗撮を続けるあなたの盗撮技術は相当に高い。(〈隠す〉、〈隠れる〉、〈忍び歩き〉、〈写真術〉にそれぞれ50%の技能ボーナスを与える)
・あなたは推理小説愛好家として、ツアー中に起きる事件についてセッション中一回KPに事件の推理を話すことができる。それが論理的にも事実としても正しい場合KPがその旨を伝え、確定情報となる。失敗時にはその推理を解くにつながる行動の指針など、軽いヒントが与えられる。
【追加報酬】
 PC3がベストEDに到達して生還し、その後逮捕されなかった場合、「特別な成長」として任意のステータスを1上昇させる。その上で、雑誌社に買い取ってもらえそうな写真一枚につき1d3ポイント〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能上昇させる (この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる) 。

PC4超人気アイドル(NPC3から置き換え)(難易度:高)
 あなたは、以前からリアル脱出ゲームのような体験型エンターテイメントに興味を持っていたが、自分の立場上そうした場所に行くことはできなかった。しかし、今回のイベントは山奥の小城で行われるイベントということで、社長の高木とプロデューサーに無理を言って休暇をもらい、お忍びでこのミステリーツアーに参加することになった。
【知っていること・秘密】
・あなたは狂信的なファンを多く持つ超人気女性アイドルである。あなたの歌声は聞くものを皆全て放心状態にさせてしまう不思議な性質を持っている。あなたの歌声は《セイレーンの歌声》と同等の効果を持つ。この呪文は任意のタイミングで使用でき、あなたはこれまでに1回使用した経験がある(シナリオ開始前にSAN値を5点減少させる)。歌を歌うとき常にこの呪文を使う必要はない。また、〈芸術:歌唱〉に70%の技能ボーナスを与える。
《セイレーンの歌声》…呪文の使い手は呪文の文句を歌として歌う。成功すれば対象は術者を自分の求めるすべてだと信じてしまい、全ての命令に従うことになる(対象の行動は意識上全て自発的であり、効果時間内の記憶は残るが、他人に指摘されるなどしない限り自分の行動を疑問に思うことはできない)。呪文をかけるためには2ラウンドの時間がかかり、1MPと5SAN値のコストがかかる。呪文の効果が続くのは4d10時間である。対象はPOWで対抗することができ、対抗に成功すれば対象に効果は表れない。この呪文は何人でも聞いたものすべてに影響を与える。効果時間内であれば、自律行動をさせて必要な時だけ命令に従わせることもできる。
・あなたは世間では活発なキャラクターとして売り出しているため、ツアー客に正体が発覚してイメージを傷つけることは避けたいと思っており、初日は専属のスタイリストによって完璧に別人として変装している(変装時のAPPは任意に設定できる)。しかし、ミステリーツアー中は毎日自分でメイクを行わなければならない。一時間かけて〈変装〉に成功すれば、別人としての声・容姿を維持することができる。失敗した場合には、他人から変装が見破られてしまう可能性が生まれる。
【追加報酬】
 PC4がベストEDに到達して生還し、その後自身のスキャンダルが起きなかった場合、「特別な成長」として任意のステータスを1上昇させ、〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能を1つ成長させることができる。(この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる)

PC5抗神組織の新人構成員(難易度:高+)
 あなたはアメリカ系抗神組織「ATU(Anti-Terrorism Unit)」日本支部の新人構成員である。今回、ATUは北米で猛威を振るっている犯罪シンジゲート「三合会(トライアド)」が出資する日本のミステリーツアーにおいて、幻覚剤麻薬「ドクター・ドリーム」の取引が行われるとの情報を得た。あなたは上司から三合会の情報収集を得るため、現地に居ると思われる三合会構成員を全員捕縛しろと最初の命令を受ける。
【知っていること・秘密】
・三合会は極めて秘密主義的な組織であり、その組織の実態解明には大変な困難を伴ってきた。そのため、今回は構成員の身柄を確保し、確実に情報を得なければならない。日本の警察組織に身柄を引き渡せば、後はATUが処理してくれるだろう。
・あなたはドクター・ドリームの効果について詳しく知っているほか、事前のレクチャーにより〈薬学〉技能の代わりに〈目星〉か〈聞き耳〉によって薬がドクター・ドリームかどうかを見分けることが出来る。ドクター・ドリームの効果に関しては以下の通り
〇生成元は不明だが、植物由来。色は黒、または白く、錠剤、粉末、液状でも使用可能。服用時には強い睡眠導入効果が現れ、場合によっては激しい幻覚に襲われることもある。
・あなたは組織から戦闘の手ほどきを受けている。拳銃技能に+20%のボーナスポイントを加え、任意の戦闘技能に80%分追加の技能ポイントを振り分けてよい。
・あなたは組織から支給品として、いくつかの装備品を受け取ることになる。武器としてUSPコンパクトとコンバットナイフ、また防刃チョッキか防弾チョッキのどちらかを選んできていくことが出来る。これらの装備品は通常日本には流通しているものではないため、外部への流出は避けなければならない。
・あなたはATUのメンバーであるという素性を公にすることが出来ない。暴露したが最後、テロリストや狂信者たちに延々と命を狙われるからだ。自分の正体が世間に晒されるような事態は避けなければならない
【追加報酬】
 PC5が使命を達成して生還した場合、〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能を1つ成長させることができる。(この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる)

PC6運び屋(難易度:高+)
あなたは元犯罪者である。反社会勢力などからドラッグを受け取り、それをブローカーの元へと流すのが日課だったが、ある日逮捕されて以降運び屋業からは足を洗っていた。
【知っていること・秘密】
・運び屋稼業を辞めたあなたであったが、親族が病に倒れ急遽1500万近くの現金が必要となった。そこで昔のつてを頼り、今回限りで大口の運び屋依頼を引き受けることに決めた。
・あなたは逮捕歴があるが、一部容疑は証拠不十分により不起訴となったため実刑判決にはならず、現在執行猶予期間中である。閉鎖空間における取引のため安全性は高いとは思われるが、一般客に犯罪行為が知られないよう留意する必要がある。
・今回受けた依頼は、三合会という犯罪シンジゲートのフロント企業が主催するミステリーツアーの参加者として雪山の城へ行き、翌日朝までに城内キッチン上部の棚に、ドクター・ドリームという最近流行りの幻覚剤系麻薬が入った瓶を置くというものである。また、現地で追加の運び屋依頼を受ける手はずになっている。
・あなたは既に前金の500万を受け取っており、任務を終え次第、残りの1000万を受け取る手はずとなっている。運び屋依頼としては破格の価格であるが、この理由の説明としては、現地の受け取り主から今回の依頼とは別の運び屋依頼を受けることになっており、その人物の依頼料と成功報酬も含むためと説明がなされている。
・あなたは引退したとはいえ、かつてはプロの運び屋だった。〈隠れる〉、〈隠す〉、〈忍び歩き〉、〈言いくるめ〉にそれぞれ40%の技能ボーナスを与え、それぞれを職業技能として扱う。
【追加報酬】
 PC6がミステリーツアーから無事帰還し、かつ帰還後逮捕されるようなことがなければ、「特別な成長」として任意のステータスを2上昇させ、〈クトゥルフ神話〉を除く任意の技能を2つ成長させることができる。(この報酬は次回作成する新規探索者に使用するとして持ち越すこともできる)
備考:この秘密を使う場合、シナリオを一部改変する必要があります。キッチン戸棚にある黒い粉の入った瓶はPC6が入れたことにし、一日目の夜中に以下に示す紙を彼に見せるイベントを挟んでください(寝ている際は何とか起こしてください)。
20161125221718217354.png
 このため、メイファが一日目夜に行った行動はPC6の行動に差し替えられます。死体損壊時のSANチェックは1/1d4くらいで良いと思います。危険度がまま高いので、仕事を完遂して無事生還できれば、成功報酬は払われたということにしていいでしょう。

 なお、推理のガイドラインは以下の通り。推理の秘密を持つPL全員にあらかじめ配布しておいてください。
推理のガイドライン.png

盗撮のルール(PC2,3用)は以下。これも推理のガイドラインと同様に。
盗撮のルール.png

4.秘密持ちシナリオにおける諸注意事項
・このシナリオは〈ほかの言語:英語〉に成功することでしか得られない情報に重要なものがあります。そのため、特別ルールとして日本人探索者の〈ほかの言語:日本語〉の技能の初期値をEDU*2とすることを推奨します。

5.シナリオの背景・真相
 シナリオ開始時より数年前、事件の舞台となる土地には、何の変哲もない普通の建物が建っていました。かつてその中にはチョー=チョー人達が住み着いており、彼らの伝統的な呪術道具である黒い蓮を栽培し、ミリ・ニグリ以来の伝統的な邪神「チャウグナー・フォーン」を崇めていたのです。しかし三合会の拡大が始まると、やがて彼らもまたその枠組みに取り込まれることになりました。その際に建物は三合会が接収したが、やがてチョー=チョー人達は居を移し、そのうちに誰からも忘れ去られることになったのです。
 再びこの建物が注目された理由は、三合会日本支部が《セイレーンの歌声》という呪文の存在をキャッチしたことにあります。三合会が伝統的に使用していた《魂の歌》に代わって多人数に対して洗脳を行えるこの呪文は、組織にとって魅力的なものでした。そこで、三合会は自身の資金力を生かして建物を古城風に改装し、その場所を舞台に「歌姫の殺意」という映画を制作しました。そして映画とタイアップした「ミステリーツアー」を大々的に公募することで、怪しまれることなく秘密裏に《セイレーンの歌声》保有者と目される参加者(と犯罪者たち)を呼び寄せたのです。
 シナリオ中に起こる事件の犯人は、三合会北京支部から派遣されたエージェント、メイファです。彼女は三合会のメンバーであり、メイファ自身もチョー=チョー人です。「彼女」は一人一人狙いを付けた相手にドクター・ドリーム入りの紅茶を飲ませ、《魂の歌》をかけることで《セイレーンの歌声》を習得しているかどうかを調べます。魔術が解けると自然に自分が犯人であることがばれてしまうため、魔術の影響下にある内に自ら命を絶たせます。見立て殺人風に仕立て上げる理由は、《セイレーンの歌声》の所持者の恐怖心を煽り、魔術を使わせようとするためで、脅迫状も恐怖心を煽るための工作の一つです。

6.KP用情報
◆ドクター・ドリーム
チョー=チョー人が開発した麻薬です。三合会はこの麻薬で莫大な利益を得ています。黒い蓮から精製して作られ、色は黒、または白く、錠剤、粉末、液状でも使用できます。POTは15で、対抗に成功すると、[100-SAN]分の間、深い眠りに陥ります。失敗すると、[100-SAN]分の間、生々しい激しい幻覚に襲われ、0/1D6の正気度ポイントを失います。黒幕はこの薬を使い、犠牲者の《魂の歌》への抵抗を無力化していました。
この黒い蓮は以前からチョー=チョー人が呪術や儀式に用いていたもので、精製前の状態でも幻覚効果を持っており、かつてはこれを単にすりつぶしたものを幻覚剤として呪術や祭典に用いられていました。チョー=チョー人

◆《魂の歌》
この呪文の対象になった者は、呪文の使い手が望んだ物だけを見、望んだ物だけを聞くことになります。呪文をかけるためには、8マジック・ポイントと1D4正気度ポイントを消費し、魔力が付与されている骨のホイッスルを演奏する必要があります。呪文が効果を発揮するのは、呪文の使い手のマジックポイントが対象のマジックポイントに抵抗表のロールで勝ったときです。笛の音は対象者にしか聞くことはできませんが、他の者が<POW×3>に成功したなら、かすかな奇妙な笛の音を聞くことができます。ただし、これによって操られると言うことはありません。
この呪文の犠牲者に対し《セイレーンの歌声》をかける場合、メイファのPOWとの対抗ロールを行うことになります。成功すれば《セイレーンの歌声》の効果時間の間だけ呪文の効果が発動し、効果が切れると再び《魂の歌》の効果が復活します。

◆《テツチャプトルのチャイム》P288
これは《セイレーンの歌声》(《魂の歌》も効果対象に含む)の効果を打ち消すアーティファクトです。メイファはこれを使い、自分のみ《セイレーンの歌声》の支配から逃れます(名状しがたい誓約によるハスターの加護により、メイファが使用時の打ち消し効果発生率はこのシナリオ中100%です)。もしスリなどによってメイファがこのチャイムを奪われてしまった場合、何とか探そうとしますが、見つからなければ紅茶を持ってくる際など様々な手段を用いて盗んだ相手を探し出そうとするでしょう。場合によっては《魂の歌》の被害者を使ってチャイムを奪わせてもいいかもしれません。
最終決戦時、メイファが絶体絶命となった場合には《テツチャプトルのチャイム》による攻撃を試みますが、ポケットから取り出して構えるのに1ターンかかります。この攻撃に関しては基本ルールブックの記述を参照してください。

◆KP用マップ
KP用歌声は遠く響き渡りPL4人向けマップ.png

◆PL用マップ
PL用歌声は遠く響き渡りPL4人向けマップ.png
 マップ全体が城の内部構造となっており、ミハイル城は玄関の扉以外基本的に内開きとなっております。

PL5人用マップはこちらからDLしてください。
PL6人用マップはこちらからDLしてください。

◆NPC行動表(あくまで参考程度)
歌姫行動表.png

7.NPC紹介
◆NPC1:緒方雄二 性別:男 年齢:27歳 職業:刑事
 STR:16 DEX:12 INT:11 アイデア:55
 CON:13 APP:11 POW:13 幸運:65
 SIZ:15 SAN:65 EDU:16 知識:80
 HP:14 MP:13 回避:24 db:+1D4
 ----------------------------------------------
 武器:組み付き 70% ダメージ 1D6+db
    武道(組み技) 60%
    拳銃 50% ダメージ 1d10 装弾数5
 技能:聞き耳:70%、心理学:70%、説得:70%、目星:90%、検死:50%
〈検死〉…〈医学〉のような回復効果はないが、検死という観点から死体について簡単な〈医学〉情報を得たり、死の状況などに対して検討を付けることができる。
 [プロフィール]
脅迫状を受けて上司から念のため様子を見て来いと命令され、吹雪の中ミハイル城にやってきた刑事です。
なかなかの熱血漢で、一般人を守るためにその身を投げ出すことも厭いません。
頭は少し鈍く、そのために参加者たちを殺人犯に対し後手に回ってしまいます(いわばワトソン役ですので、程よいミスリードを誘いましょう)。しかし、探索者から論理的に説明を受ければ提案を受け入れますし、正義感が強く、人当たりも良いので探索者達と仲良くなりやすいでしょう。
クライマックスの場面は、彼の戦闘力の高さも相まって重要な役割を果たすと思われます。

◆NPC2:メイファ 性別:女 年齢:18歳 職業:メイド
 STR:09 DEX:10 INT:17 アイデア:85
 CON:12 APP:10 POW:18 幸運:90
 SIZ:10 SAN:20 EDU:12 知識:55
 HP:13 MP:18 回避:26 db:0
 ----------------------------------------------
 武器:ナイフ 50% ダメージ 1D4+db
    こぶし 60% ダメージ 1D3+db
    キック 60% ダメージ 1D6+db
    武道(太極拳:立ち技系) 70%(あるいはマーシャルアーツでも可)
 技能:応急処置:60%、母国語(中国語):50%、他の言語(日本語):21%、他の言語(日英語):31%、芸術(お茶を入れる):90%、心理学:90%、製作(料理):90%
 呪文:魂の歌(p.271)
 持ち物:魔力の付与された骨のホイッスル、テツチャプトルのチャイム、ドクター・ドリーム
 [プロフィール]
褐色の肌に、細長い手足、長い黒髪にカチューシャを着けた、ミハイル城の小さなメイドです。日本語はあまりしゃべれず、~アルと喋るなどカタコトで、顔はお世辞にも綺麗ではありませんが、妙な愛嬌があります。毎晩彼女は自分で入れた空前絶後のおいしさのジャスミン茶を、探索者の部屋へ届けるでしょう。実際は中国系マフィアトライアドの育てた、チョー=チョー人工作員です。彼女は並大抵のことでは正気度を失いません。しかし、彼女だけSANチェックを行わないと早々に犯人がばれてしまうので、メイファの行うSANチェックは全て0/0となるという処理を行ってください。また、彼女は呪文の使用により狂気に陥ることはありませんし、特別な訓練を受けているため、〈心理学〉の情報も基本的には正常なものが得られないでしょう。

◆NPC3:葉山美香 性別:女 年齢:27歳 職業:ツアー会社社員
 [プロフィール]
ミハイル城のツアーを企画した人物です。ツアー参加者より早くに古城に到着し、歓迎の準備を始めようとしていたのですが、参加者が到着するより前に黒幕に殺害されてしまいました。第1人目の被害者です。

◆NPC4:大河原望 性別:女 年齢:24歳 職業:シンガーソングライター
 [プロフィール]
歌手活動より作詞作曲活動の方が多い女性です。動画サイトに自らの歌を投稿しています。身長152㎝ほどと小柄ながら性格は明るくさばさばしており、短めのスカートとポニーテールが特徴的です。
彼女は借金を抱えており、このツアーの賞金をその返済に充てようとしています。そのためこのミハイル城にもツアー当日より前にすでに一回訪れ、事前に情報収集していました。鍵がかかっており中まで入って調べることはできませんでしたが、外観や大広間の窓から見える中の様子などを写真に撮っています。また、彼女の持ち物を調べれば、前述の情報を手帳や日記などから得ることが出来るでしょう。

◆NPC5:日吉俊介 性別:男 年齢:28歳 職業:劇団員
 [プロフィール]
中性的な美青年ですが、性格は辛辣で周囲はただの踏み台としか思っていません。自分には才能があると思い、よく劇の練習をさぼるようです。今回のミステリーツアーには楽に金が稼げるならと純粋な賞金目当てで参加しました。
基本的にKPは緒方刑事の他に彼を動かして、早期に探索者達が一か所に集まって夜を過ごそうとするのを妨害してください。首尾よくいけば彼を3人目の被害者にできるでしょう。また、彼は英語が得意であり、マザー・グースの詩についても詳しいため、探索者たちに代わって殺人現場に残される詩を訳してくれるかもしれません。
※NPC4,5はKPが適当に決めてもらって構いません。ただし、NPC5は男であることが条件です。

8.本シナリオにおけるPCの行動について
 このシナリオは朝・昼・夜の3パート制で行われ、1パートにつき一つの部屋の探索しか行うことが出来ません。しかし、移動前に居た部屋や、次の探索場所へ向かう途中において、簡易的な行動が認められる可能性はあるでしょう。
 シナリオ自体は朝から始まりますが、現地につくまでの移動時間がかかるので自由行動は昼から始まります。行動を消費せずに情報共有する場としては朝食、昼食、夕食の時間があります。
 また、本シナリオにおいては、最低6時間寝ないと、不足した時間一時間ごとに10ポイントの技能マイナスが寝不足に陥った一日の間かかります。

9.シナリオの導入
 ある日、探索者達の元に、一通の招待状が送られてきます。その手紙にはこう書かれていました。
『おめでとうございます!あなたはミステリーツアーに当選しました!4泊5日、ヨーロッパ風の古城で行われる謎の事件、その謎を解き明かした者には、賞金1千万円が贈られます!』
歌声招待状.png
 裏には待ち合わせの駅と、簡単な地図が記載されています。出発は朝の8時です。

事前に調べて得られる情報は以下の通り。
・ミハイル城について調べる場合…
◆図書館→元々は別の建物が建てられていたところを魔改装し、古城風の建物とされたことがわかるでしょう。別名「歌姫の城」と呼ばれており、「歌姫の殺意」という現在放映中の映画のロケ地として使用されたため、その名が付いたと言われています。映画には多くの企業がスポンサーとしてついており、舞台となった古城は中々本格的な、雰囲気のある作りとなっています。
 クリティカルを出すと、犯罪組織のフロント企業とまことしやかに噂されているとある企業がこのツアーの筆頭スポンサーであることがわかります。PC4がクリティカルを出した場合、このようなツアーに参加していることが発覚すれば自分のアイドル生命に危険が及ぶこともわかるでしょう。
◆アイデア→ミハイル城の建設時期が、映画の制作決定よりも前であることに気が付きます。
・映画、「歌姫の殺意」について調べる場合…
◆図書館→マザー・グースの歌になぞらえて殺人事件が起こるという、今流行りのミステリー映画です。有名女優なども多数出演し、宣伝の中ではロケで使用したお城を舞台にしたミステリーツアーを開催されることも告知されています。ツアー参加者は厳正なる抽選で選んでいるとの説明書きも確認できるでしょう。

 事前に現地に行きたいという人が居れば、タクシーなどを使うことで現地に行くことができますが、建物には鍵がかかっています。もし中に入ろうとする人が居る場合は警告しつつ、応えてもいいでしょう(最序盤から長い個人行動は怪しまれるなど)。

10.歌姫の城へ
 ツアーの先導役は現地で参加者の身の回りの世話などを務める、雇われメイドだと称する褐色の肌の若い娘であるメイファです。ミステリーツアー御一行と書かれた旗を持ち、メイド服に身を包んで一時間前から待ち合わせ場所に待機しています。探索者達がやってくれば、「ミステリーツアーの参加者アルか?」と尋ねてくることでしょう。他のツアー参加者は30分前くらいに待ち合わせ場所に到着します。
 参加者たちが送迎のマイクロバスに乗ると、運転手は雪の積もる山奥へ車を走らせます。ツアー参加者はお互い初対面ですから、この場を使って互いに自己紹介させましょう。
 自己紹介が終わったころ、何らかの形でPC4のハンドアウトにある国民的アイドルの情報を全体に共有させます。拝見させていただいたリプレイにあった例としては、運転手がPC4のファンである旨を会話の中で明かし、そのラジオを聴こうとしたところちょうど番組が休みであり、悪態をつきながらラジオを切る、といった演出を行っていました。
 しばらくバスに揺られていると、昼過ぎくらいに崖の上にそびえたつヨーロッパの古城を思わせる壮麗な建物が見えてきます。城へとかかる跳ね橋の前でツアー参加者たちは降ろされ、運転手から4日後に迎えに来る旨を告げられると、バスは元来た道を帰っていきます。
 城のイメージ図は以下。
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【新たな伏線その1】
 跳ね橋は両岸にある操作盤によって操作できる仕様になっており、探索者たちが渡る際にはメイファが手に持ったマニュアルを見ながら操作を行って跳ね橋を上下させます。このマニュアルはメイファが実際にツアー会社からもらった正規のものであり、シナリオ後半に探索者がこのマニュアルを見ることでメイファの疑惑は確たるものになるでしょう。
 城の扉をくぐると、真っ赤な赤じゅうたんが探索者たちを出迎えます。西洋鎧や絵画が並べられ、薄暗いろうそくの明かりに照らされる廊下をメイファが先導し、大広間まで案内してくれることでしょう。
彼女は探索者達を大広間まで通すと各自に割り当てられた部屋を説明し、
「自分はさっそく夕食の準備を始めるから荷物を自分の部屋に置いた後は自由にしていてくれアル、ツアー会社の人が来るまでは何かわからないことがあったら私に聞いてくれアル」
と述べます(このタイミングでPL用マップを全員に渡す)。ただし、「ミステリーツアーが始まるまでは自室と大広間以外には入らないようにしてくれアル」と忠告されます。なお、これ以降特に宣言がなければ、部屋を出るときにPCは鍵を閉めるという裁定にすることをお勧めします。
●宿泊する部屋(最下部にも同様の記述有り)
 まるで牢獄のようで、普通のホテルより狭いですが、ベッドは一人分にしては十分なほど広く快適です。他には、小さな丸いテーブルと備え付けのクローゼットがあり、非常に簡素な部屋と言えます。NPCが立てこもりやすいように、ガスコンロやユニットバスは設置してあります(なお、この城には個室以外トイレはありません)。
名称不明の迷宮 1階.png
【ここで1日目昼行動】


※このシナリオは探索の進展によって探索個所が増えるシナリオではありますが、物理的に行けなくなっているわけではないので、探索者達の行動次第では最初から隠し部屋の存在や地下へと続く階段の存在が早々に発覚してしまう可能性があります。よって、少なくとも序盤~中盤に見つからないようにある程度誘導した方が良いでしょう。例えば、初日の昼から外を見て回ろうとする人が居れば「外は吹雪いていて視界が悪く、崖から転落する危険性があるだろう」と警告するなどです(この場合後から吹雪が止む描写も忘れずに)。

 夕食は、城の雰囲気に合わせた洋食のコース料理です。料理の味は雇われメイドなだけあってどれも絶品でしょう。メインの料理が終わるとキッチンからリーンリーンともチリンチリンともつかないような、今まで聞いたこともない不思議な音色の鐘を鳴らし、メイファがジャスミン茶の入ったティーカップをワゴンの上に乗せて参加者たちに振る舞います。
彼女の入れる紅茶は参加者たちが飲んできたあらゆるジャスミン茶をもしのぐ味わい深さです。彼女の〈芸術:紅茶〉がスペシャル以下の値を出したとき、ジャスミン茶を飲んだ人はそのリラックス効果により精神的な安らぎを得ることが出来、SAN値を1点回復します(探索者が紅茶を飲みたくなるよう仕向けるためで、メイファへの疑いを和らげるためです。最初の一杯だけは説明のため自動回復でいいかもしれません。なお、意味はないのでがぶ飲みはさせないように注意してください)。
【伏線1】
 紅茶を運ぶワゴンの上には、小さな鐘(《テツチャプトルのチャイム》です)が置かれており、鳴らすことで先ほどと同じ不思議な音色が響きます。手に持つなどすれば、それなりの重みを感じ取れるでしょう。〈化学〉に成功すれば、重さや見た目からおそらく鉄製の、そして錆が全く見られないことからこの鐘は純鉄でできているのではないかということが推測できます。しかし、このような鐘ごときに純鉄を用いるというのは手間とコストが見合わないため、少なくとも市販のものではないことまで予測できるでしょう。
探索者にこの鐘は何なのかと聞かれれば、普段メイドとして雇われているときに主人に渡す呼び鈴のようなものアルと答えます(当然嘘ですが)。以降、このワゴンを持ち出すときは必ずこのチャイムが置かれ、ワゴンを動かすたびにその音を鳴らすことになります。

11.招かれざる客
 夕食を済ますと、一人の警官が大広間へと入ってきます。彼は、刑事の「緒方雄二」だと挨拶し、このツアーで脅迫状のようなものが届いたので、ツアー企画者の葉山美香と話したいと言います。KPは彼のRPで、彼は探索者の味方だということを印象付けてください(警察手帳を掲げれば効果的でしょう)。
 緒方がメイファに話を聞くと、葉山の姿は城に来た時から見当たらず、実際夕食が終わったらミステリーツアーの本命の謎解きが始まるはずが、葉山がいないため謎解きを始められないので困っているアルという旨を話してくれます。その後、緒方刑事とメイファは葉山を探しに城を探索し始めるでしょう。探索者達は一緒に葉山を探してもよし、それぞれ部屋でくつろぐもよし大広間に居続けるもよし。自由に行動してください(これも事件扱いで行動消費はなしです)。
 脅迫状については、緒方刑事に対して交渉系技能に成功すれば見せてくれます。いたずらだろうということで半ば放置されていたものを、念のため様子を見て来いということで自分が駆り出されたと説明してくれるでしょう。
◆脅迫状
『3日後、歌姫の城の集いにて
凄惨なる宴の幕が上がる
マザー・グースの歌に乗せて
     マザー・グースの悪魔』
マザー犯行予告.png
 マザー・グースの悪魔というのは、この城をロケで使った映画の殺人鬼の名前です。NPC達がその名前を聞くと、ややどよめきます。宛名はなく、雑誌や新聞を切り取って文章を作っているので、筆跡などから犯人を特定することもできません。

12.ミステリーツアーの始まり―第1の殺人―
 礼拝室の扉の前に行くと、何やらひどい匂いがすることに気が付けます。ここで〈医学〉ロールに成功すれば、それが死臭であることに気が付くことでしょう。礼拝堂になかなか行かないようなら、廊下にいるPCに〈聞き耳〉を振らせましょう。
礼拝堂の扉は開けようとしても、鍵がかかっていて開きません。無理矢理開けようとする場合はSTR20との対抗になります(大きい扉なので3人まで協力可能)。メイファに鍵を持ってくるよう頼んでも、一度自分の部屋に戻ってから「聖堂の鍵がなくなっているアル」という風に言います。

●礼拝堂(シナリオ最下部にも同様の記述有り)
 第1の事件が起きた場所です。礼拝堂としては小さな部類で、6つの長椅子と説教壇が置かれているほか、奥の壁に沿って映画のセットと思しき小道具類が置かれており、ステンドグラスから月明かりが差し込んでいます。おそらく探索者たちが中に入るころには、死臭が充満していることでしょう。
説教壇に対する〈目星〉に成功すれば、その付近の床に、何か重いものを引きずったような跡があることに気が付きます。それを辿っていくか、あるいは単に小道具類を調べると、覆いのかかった、背の高い家具らしきものを見つけることになります。覆いを外せば、大きな仏壇が顔を表すことでしょう。
仏壇には観音開きの扉が付いていますが、鍵がかけられているようです。この扉の鍵はメイファが持っていますが、メイファは聞かれない限り話しません。また、単純にSTR10との対抗で無理やりこじ開けることも可能です。
◆オカルト→装飾や部屋の様子から見て、どの宗教にも属していない、カルト的な宗教のものであることがわかります。
◆鍵開け→扉を開けることができます。
・仏壇のような物を開けた場合…
 扉が開かれると、アジア風の綿織物を背景に、上座に鎮座する奇妙な像が姿を表した。胡坐をかくその像は、人の胴体にゾウのような頭部を持つ、インドのガネーシャを思わせる出で立ちである。しかし、見たものにそれとは異なることを確信させるものは、この像が放つ、蛆が肌を這う感覚に似た、冒涜的なおぞましさであった。
この像を見てしまった探索者は、正気度チェック→1/1D3、さらにクトゥルフ神話技能+1%獲得。
◆目星→後ろの綿織物が少し剥がれているのを見つけるでしょう。綿織物を剥がすと、皿の上に山盛りに盛られた大量の黒い粉を発見します。(これは、ドクター・ドリームの原料となる黒い蓮をすり潰したもので、かつてこの建物がチョー=チョー人に使われていた際用いられていたものです。)
・黒い粉に対して…
◆聞き耳→甘ったるい花の様な匂いです。
◆薬学→植物由来の粉末であり、一種の幻覚作用があることがわかります。
 葉山を探す場合は以下の通り。
◆部屋の中で目星→床の一部に土が散乱していることに気が付きます。
◆部屋の中で聞き耳→匂いの元は床下にあるとわかります。
この部屋のみ床は一部開けられるようになっており、開けることができます。床を開けると宣言した場合は以下の描写を読み上げてください。

 床を開けると、濃縮な死臭が鼻をついた。床下はくぼみになっているが、そこには…胸より上だけを出し、体の大部分を埋められた女性の死体があった。スコップを枕に、光を失った瞳はうつろに虚空を見つめ、腕は力なくだらりと垂れている。腐敗が進行しつつある顔の部分には、早くも大量の蛆虫が女性の死肉を喰らい這っていた。

このようなおぞましい死体を目にしてしまった探索者は、
【1/1d4のSANチェック】

さらに、外した床の裏には、下記の様な英語で書かれたメッセージが書かれていました。〈ほかの言語:英語〉のロールに成功するか、失敗時には日吉が訳してくれます。事前調査で「マザー・グース」について調べている探索者とNPCの参加者は、これがマザー・グースの詩の一つであることがわかるでしょう
また、この際大河原に自分は英語が苦手である旨を喋らせておくと、彼女が死んだ際のメッセージカードが伏線の一つに代わります。

『She saw a dead man on the ground;
And from his nose unto his chin, the worms crawled out, the worms crawled in.
Then she unto the parson said,
Shall I be so when I am dead?
O yes! O yes, the parson said,
You will be so when you are dead.』

日本語訳
『床の死体
鼻から顎に蛆虫が這っている
女は聞いた
私も死んだらこうなるの?
ああ!牧師は言った
お前も死ねば腐るのさ』

 穴の中を調べると宣言があれば、中からスコップの他、ペンを見つけることが出来るでしょう。また、死体の持ち物を調べると宣言すれば、ポケットに入っていた財布の中の免許証からこの女性の死体が葉山美香のものであることがわかります。また、1000万円分の小切手の領収証を中から見つけることが出来るでしょう。その他、財布内の現金・カード類が全て抜かれています。(このメッセージは彼女が書いたものですが、彼女の筆跡を表すものは全てなくなっているため確認はできません)

◆説得または信用→死体を調べたい場合、緒方刑事に許可を取らなければなりません。一度成功したならば、後々の現場検証でのロールは不要となります。30%以上〈医学〉を持っているPCはロール不要で検証に参加できます。

・死体に対して…
◆医学→一日以内に死亡していることが分かります。直接の死因は窒息死のようです。打撲跡に加え、太いロープないし人の手による絞殺跡があります。
◆目星→右手に聖堂の鍵が握られているのがわかります。上半身は土にまみれていますが、よく見ると顔や髪の一部に付着している土は、床下の土とは異なり湿っていることがわかります。

【初日の殺人のトリック】
 彼女はツアーの準備のため、早めにここへやってきました。呼び鈴を鳴らして先に到着しているはずのメイファが出てくるのを待っている時、後ろからバールのようなものによる不意打ちを受けて、気絶させられたのです。
 メイファによって気絶させられた葉山はドクター・ドリームを飲まされ、《魂の歌》の犠牲者になってしまいます。その後、メイファの指示で聖堂の内側から鍵を閉め、自ら床下に穴を掘って中に入り、鍵を手に持ったまま自分の首を絞めて自殺しました。

 誰かが外に連絡を取ろうとしたら、携帯は圏外であることがわかり、さらに電話線もいつのまにか切れていることがわかります。徒歩で山を降りようと城の外へ出ても、これまで吹雪いていた雪は止んでいるものの既に跳ね橋は上がっており、城側にある跳ね橋の操作盤は何者かによって破壊されて(メイファが気付かれないタイミングで遠隔爆破したのです)修理不可能となっています。損傷は〈機械修理〉で直せるレベルを超えており、全員城の中に取り残されたことになります。
 緒方刑事はこの殺人に関して財布の中身や、賞金であった1000万円の小切手の控えが残っていることから、犯人は最初からミステリーツアーの賞金を狙った強盗ではないかと推理を披露します。加えて跳ね橋の操作盤が壊され、おそらく電話線を切断していることから犯人は既に逃走しており、通報を遅らせるためにここを陸の孤島としたのではないかと述べ、動揺している参加者たちを安心させようとします。参加者の中に犯人が居る可能性や密室殺人であることなどを疑問には思っていますが、一般人の不安をあおらないため捜査の協力者以外には喋ろうとしません。不穏な発言をするPCには「気持ちはわかるが、今は不安を煽るような発言はしないでほしい」と耳打ちします。

【NPC達の行動1】
 日吉俊介はこの状況を見てヒステリーを起こし、周囲を疑い始めます。緒方刑事はそんな様子を鑑み、念のためしっかり鍵をかけた状態で寝るよう指示します。(しかし、メイファは各々の部屋の鍵のスペアキーを持っているため、完全に密室というわけではありません。)大河原は不安そうな表情をして「今夜は眠れなさそう」と言いますが、日吉ほど取り乱した様子は見せません。

13.恐怖の夜
 陰惨な事件が起き、城にいる人たちはみな不安を感じていることでしょう。緒方刑事はみんなに冷静さを保つように言い、自分の部屋に入り、参加者たちも自らの部屋に入っていきます。
【伏線2】
 緒方刑事が開いている部屋(元葉山の部屋)に入ろうとすると、ドアが派手に壊れてしまいます。困った緒方警部が他に空き部屋はないかとメイファに聞いたところ、一つだけあるが掃除をしていないという理由でやんわり断ろうとします。しかし、緒方刑事はそこでも全然構わないと言い、しぶしぶメイファは掃除をするので、その後に荷物を運ぶと言い、部屋の掃除を始めます。
◆心理学→緒方刑事が掃除されていない部屋に泊まるという事を聞き、バツの悪そうな顔をします。(この部屋は地下に続く通路が隠されており、それがばれないかとヒヤヒヤしているのです。)

 宿泊する部屋は窓に鉄格子がはめられており、まるで牢獄のようです。また、部屋の壁は作りが頑丈で、鍵も一般家庭のものと同じレベルのものが使われており、それなりの防音・防犯機能を果たしています(このためピッキングツールによるボーナスなどはありません)。
 部屋の中は普通のホテルより狭いですが、ベッドは一人分にしては十分なほど広く快適です。ユニットバス付きで、小さな丸いテーブルと備え付けのクローゼット、簡易キッチンや冷蔵庫、簡単なレトルト食品など、ビジネスホテル以上の設備が一通りそろっており、数日間ならここで生活することもできそうです。

【ここで一日目夜行動、14、15のイベントは探索者の行動宣言に合わせて起こすタイミングを決める】


※このシナリオにおいては秘密の関係上隠しカメラを持ち込む可能性が非常に高いです。一日目の殺人で警戒される以上、特に二回目の殺人トリックでは唯一メイファが死体を運ぶという工程が入るため廊下や大広間に隠しカメラを設置されてしまった場合黒幕が早々にわかってしまいます。なので、この問題の対処法を考えねばなりません。一番簡単なのは、メイファが操っている対象に隠しカメラなどがないか探させることです。葉山がミステリーツアーの準備をする前に殺されてしまった関係上、城の内部はめぼしいものが特にない空間となっております。(映画のセットなども殆どは撤去されており、ミステリーツアーで使う予定だったものや処分に難があるもののみ礼拝堂に置かれています。)
 そのため、大広間や廊下などには効果的にカメラを隠す場所がなく、たとえ技能を使われてもしらみつぶしに探せば発見できるようになっています。歌を歌った後、犠牲者に大広間と廊下の捜索をさせましょう。トータルで1時間以内には終わるはずです。見つけたら破壊するか、単体で削除できるものであれば自室で削除させてポケット辺りに入れておきましょう。記録メディアを中に入れるタイプはメモリーが無事かどうか〈幸運〉で振らせましょう。

【伏線3】
 もし、探索者が緒方刑事の部屋にお邪魔することがあれば、備え付けのクローゼットに「使用禁止」の張り紙がされているのが目に入るでしょう。緒方刑事、あるいはメイファに聞くと、ここの部屋のクローゼットは虫がよく沸くので、開けないでほしいと言われたと答えます。もしクローゼットを開けると、特になにもありませんが、1d10匹のGが勢いよく飛び出してきます。そんなことをすれば、当然緒方刑事が気分を害するでしょう。なお、クローゼットの内部には巧妙に地下へと続く階段が隠されております。〈目星〉に成功するなどしてくまなく探せば発見できますが、そんなことをさせる前に緒方刑事に探索者を追い出させましょう。

14.メイファの訪問(この日以降毎晩このイベントは起こります)(要チェック)
 夜(できるだけみんな起きてる間に)探索者達が各々部屋で過ごしていると、コンコンコンとドアがノックされる音が聞こえてきます。一回のノックで出なければもう一度ノックをしますが、それでも出なければ次の部屋へと向かいます。
 ドアを開けば、ワゴンを押すメイファの姿を確認できるでしょう。尋ねれば、このような事態になってしまった旅行者たちにせめてものお詫びと、サービスでジャスミン茶を運んできたと話してくれます。カップの数を見れば、お城にいる者全員に運んでいるようだとわかるでしょう。夕食時に出されたものと同じく彼女の入れる紅茶は参加者たちが飲んできたあらゆるジャスミン茶をもしのぐ味わい深さです。メイファの〈製作:紅茶〉ロールを行い、スペシャル以下の数値が出た時、一日一回まで正気度が1回復します。
 紅茶を渡し終えると、メイファは「カップは明日の朝にでも回収するアル」と言い残し、あの不思議な鐘の音を鳴らしながら次の部屋へと向かいます。また、二日目の殺人事件以降は護衛として後ろには緒方刑事も控えています。
※この時、狙いを定めた犠牲者にはドクター・ドリーム入りのカップを渡しています。

【新たな伏線その2】
 探索者の中にはメイファの鐘を探そうと、メイファのワゴンを漁ろうとする探索者も居るかも知れません。ワゴンには引き出しが付いており、紅茶の他に砂糖やコーヒーシュガーなどが収められています。その中の一つに粉末状になったドクター・ドリームが隠されており、シナリオの展開によっては探索者がこれを見つけてしまうかもしれません。
 なお、このドクター・ドリームはタブレット状になって流通しているものを城にあるコーヒーミルですり潰し、粉末状に加工したものです。一日目の夜にキッチン付近を探せば見つけられるかもしれません。

15.響き渡る歌声
 夜中(基本的には午前0時)に探索者達が各々城の中で過ごしていると、突然城の中に歌声が響き渡ります。寝ている探索者は〈幸運〉に成功することで目が覚めることになるでしょう。
◆聞き耳→大河原望が歌っているということがわかります。クリティカルで、わずかに鐘の音がどこからか鳴っているのも聞き取ることができます。
◆POW×3→成功すると、かすかに笛の音が聞こえることがわかります。どこから鳴っているのかは分かりません。

 もし大河原の元へ向かうなら、探索者が着くころには歌声は止むでしょう。歌っていた大河原は駆け付けた探索者達の様子を不思議に思い、つい歌いたくなったので、歌ったとだけ伝えます。
◆心理学→大河原の様子がどこかおかしいことがわかります。
◆精神分析→一種の催眠状態であることが分かります。

・もし、探索者が大河原と夜を一緒に過ごす場合…
 彼女はナイフを持ち、一緒にいる探索者に襲いかかってきます。もし、彼女を無力化することができたら、その日から大河原はドクター・ドリームの効果で、数日間廃人のようになってしまい、情報を聞き出すことはできなくなります。

16.終わらない恐怖―第2の殺人―
 もしも大河原の元に付かなかった場合、何事もなく朝を迎えます。運び屋のハンドアウトを採用している場合、朝起きた際、当該PCの部屋内にある扉の前に一枚のメッセージカードと1000万円の額面の小切手が置かれていることに気が付きます。小切手を見れば、元々このミステリーツアーの賞金だったことがわかるでしょう。
運び屋仕事終了.png
 起きてきて廊下に出た探索者はメイファと緒方警部が話している姿が目に入るでしょう(メイファと緒方のイベントは6時以降の任意の時間に起こしますが、これはメイファ自身が第一発見者とならないよう出るタイミングを見計らったためです)。彼女が言うに、朝起きたら鍵をかけていたはずの自分の部屋の鍵が開いていたというのです。
 緒方刑事の「特に盗られたものなどはないのか?」という問いに対しメイファが「自分の私物は調べたけどないアル」と答えると、「鍵をかけたつもりでかけずに寝たんじゃないか」などと話しながら大広間へ向かいます(なお、メイファの部屋は参加者の個室とは異なり鍵が厳重ではありません)。
大広間に着いた人は、入口に背を向けて、ソファに座っている大河原を発見します。しかし、大広間に誰か来ても、呼びかけようとも大河原は反応しません。誰か(基本はPCに、誰も動かなければ緒方)が大河原の肩をゆすると、彼女の首がポロリと床に落ち、床に鈍い音を立てて転がります。そして、大河原の手には英語で書かれた手書きのメッセージカードが握られていました。〈ほかの言語:英語〉のロールに成功するか、失敗時には日吉が訳してくれます。〈知識〉と〈アイデア〉の組み合わせロールや〈オカルト〉などに成功すれば、この詩の指す「My fair lady」とは、人柱として捧げられた穢れのない女性をさすのではないかと推測を立てることができます。また、大河原が書いた文字を見る機会があれば、〈アイデア〉などでメッセージの文字が大河原本人の筆跡と似ていることが分かります。


『London Bridge is falling down,
 Falling down, falling down.
 London Bridge is falling down,
 My fair lady.』

日本語訳
『ロンドン橋が落ちた
 落ちた 落ちた
 ロンドン橋が落ちた
 お嬢さん』

このような壮絶な殺人現場を目にしてしまった探索者は、
【1/1d4+1のSANチェック】

【第2の殺人のトリック】
《魂の歌》の影響下にある大河原はメッセージカードを書いた後自分で抗凝固剤を投与し、風呂場に入ると太腿の動脈をナイフで切断します。その上で自分の手首を結束バンドで固定すると、シャワーヘッドに引っ掛けることで血抜きを行い、この過程で死亡します。その後、メイファが血の抜けた大河原の死体に各々の細工をしたうえで首を包丁と木槌で切断して大広間に運び、凶器を大河原の部屋に戻しました。こうすればメイファが大広間の状態を作り上げるのに最小限の時間しかかからず、PCの警戒をかいくぐれるはずです。
なお、犯行に使われた凶器は城内の物置から大河原自らが自室に運び入れたものです。

 この殺人において緒方刑事も流石に内部犯の可能性を全員に話します。推理に関しては抵抗が殆どないことや、手のかかる死体の処理法であることからどうやって他人に見つからず長時間大河原のもとに居たのか、ということに注目して捜査をします。また、なぜこんな手間のかかる方法で連続殺人を行っているのかに関して疑問を口にするでしょう。
・死体に対して…
 スカートの中を覗けば、足の太もものあたりから赤い血が流れ出ていることに気が付きます。
◆目星→太ももに刺し傷が見つかる他、手首に細く鬱血した跡が残っていることがわかります。
◆医学→太股の動脈を切ったことによるショック死ということがわかります。さらに、死体が異様に軽く、出血が殆どないことから血液をほとんど抜かれた後、首を落とされたこともわかるでしょう。血液が抜かれているので、腐臭もほとんどしません。また、通常であれば凝固が始まっているはずなのに、まだ液状であることに違和感を感じることでしょう。

・廊下を調べる…
 赤い絨毯である上、垂れている血液が微量のためわかりにくいですが、大河原の部屋から大広間のソファに至るまで血液の垂れた跡が残っています。
◆目星→やや変色している血液の跡を見つけることが出来ます。血液は間隔を空けながら大広間へと向かっていることがわかるでしょう。
◆血液に対する〈医学〉→通常であれば凝固が始まっているはずなのに、まだ液状であることに違和感を感じることでしょう。

【ここで2日目朝行動】


・大河原の部屋を調べる…
 部屋の鍵は閉まっており、部屋の鍵が壊された形跡などはありません。部屋の中を探すと、机の上に置かれているこの部屋のマスターキーが見つかるほか、ベッドの上に血の付いた包丁と木槌を発見できます。
 備え付けの風呂場はシャワールームの床が血の海となっています。血液が凝固している様子がありません。風呂場にはナイフと注射器、結束バンドが捨てられており、注射器のほうを調べて〈薬学〉に成功すれば、状況やわずかに残る液体からして内容物は抗凝固剤(血液を固まらなくする薬剤)ではないかと推測できるでしょう。大河原の死体を調べた上で〈アイデア〉に成功すれば、彼女のどのようにして死に至ったかを推測することが出来ます(トリックを参考にしてください)。

・どうやって入ったのか?…
 鍵をかけていたとすれば、外から別の鍵を使って開けたかこじ開けて入ったことになります。メイファに尋ねると、メイド部屋にあるキーケースの中に各部屋のスペアキーが用意してあるのだが、大河原の部屋のスペアキーがなくなっているということを確認して伝えます。こじ開けた形跡がないか聞かれた場合には〈鍵開け〉と〈目星〉の複合ロールを振らせましょう(実際メイファがスペアキーで開けているので、当然ありません)。

【NPC達の行動2】
 日吉俊介はまたもやヒステリーを起こし、スペアキーを持っていき部屋にこもってしまいます(彼は持ってきた粘着テープを使ってドアに目張りします)。
緒方はスペアキーを持っていれば今度こそ勝手に入られることはないだろうと言い、絶対に鍵を閉め忘れないことと念押ししてきます。メイファは無理矢理入られても気づくようにと押し開けられた時に倒れるようタンスでバリケードを作ると言います。

【2日目昼~夜行動は適宜行わせる】


17.歌声、再び
 またもや、城内に歌声が響き渡ります。歌声の主は日吉ですが、対応や必要なロールは大河原の場合とほとんど一緒です。しかし、あれだけ警戒心の強かった日吉が廊下で歌を歌っていることに、探索者たちはこれまで以上の違和感を感じることでしょう。

・もし、探索者が日吉と夜を一緒に過ごす場合…
日吉は普通に探索者達と会話をしますが、突然悲鳴を上げ、ベッドの下からノコギリを持ちだし、同じ部屋にいる探索者に対し襲い掛かります。抵抗されると今度は自分の四肢を切り始めます。探索者が止めない限り、日吉は自分の四肢を切り続けるでしょう。この様な凄惨な光景を直接目にしてしまった探索者は、
正気度チェック→2/1D6+2

今回も何も対策をしなかった場合、何もないまま夜は過ぎます。

18.3人目の犠牲者―第3の殺人―
 もし、何の対策もせず夜を過ごすと、朝食に日吉俊介が来ないことに誰かが気付くでしょう。日吉の部屋へ向かうと鍵がかけられており、さらに目張りまでしてあるので部屋へ入るのに難儀します。こじ開ける場合、STR18との対抗ロールです(二人まで協力可)。
中へ入ると、強烈な血の匂いと共に、恐ろしい光景を目にします。ベッドの上には日吉の頭と胴体があり、右腕以外の部位、指や足首、脛などは、全てバラバラに部屋中に散らばっているのです。右腕は唯一胴体と繋がっており、その手には血まみれののこ切りが握られていました。そして、探索者達はベッドに隣接する壁に血で書かれたメッセージを発見するでしょう。これも大河原同様、日吉が書いた文字を見る機会があれば、〈アイデア〉などでメッセージの文字が本人の筆跡と似ていることが分かります。
『There was a man,a very untidy man,
Whose fingers could no where be found to put in his tomb.
He had rolled his head far underneath the bed:
He had left his legs and arms lying all over the room.』

日本語訳
『一人の男が死んだのさ
すごくだらしのない男
頭はごろんとベッドの上に
手足はバラバラ部屋中に
ちらかしっぱなしだしっぱなし』

このような地獄絵図を目にしてしまった探索者は、
正気度チェック→1/1D6+1

・死体を調べる場合…
◆目星→右手の人差し指に血が付着しているのを発見します。クリティカルを出すと、壁の血と日吉の指の大きさが完全に一致していることがわかるでしょう。
◆医学→衣服や切断面からして、散らばった手足は全て日吉のものであることがわかるほか、生きたまま手足を切断されたことがわかります。死亡推定時刻は5,6時くらいです。
 以下は日吉の部屋に同伴者がいる時の情報です。同伴者が居ない場合、犠牲者の日吉はティーカップを備え付けのキッチンで洗い流し、ドクター・ドリームの証拠を隠滅します。
・部屋を調べる場合…
 これまでドクター・ドリームやその素材である黒い蓮の情報を得ていれば、ここで共通点に気が付く可能性があるでしょう。
◆目星→カップの底にわずかに白い粉末が入っているのを発見します。
・白い粉末に対して…
◆聞き耳→甘ったるい花の様な匂いです。
◆薬学→一種の幻覚作用があることがわかります。

【第三の殺人のトリック】
これは単純な《魂の歌》を使った自殺トリックです。場内の物置から持ち出したのこぎりを使って自殺しました。
ここにきて緒方刑事もこの事件が密室殺人だという他に自殺である可能性に気づきます。しかし、メッセージを自ら書いていることや四肢を切断していることから、他人に脅された状態から自殺を強要されたのではないか?などという推理をします。

19.動き出す者たち
 対策を講じたうえでさらに2人も殺されたとなれば、探索者達は何か行動を起こすでしょうし、緒方刑事もそれを認めます。夜を過ごす際、全員大広間に集まるなど誰も一人にしない方法を取ったなら、「21.誘拐~隠された地下室」のシーンへと移ります。

【伏線4】
 全員集まっている時、メイファはお手洗いに行きたいと言います。この場合、護衛に誰も名乗り出ても出なくても緒方刑事がついていきます。もし、探索者の誰かがお手洗いに付いて行くのなら、お手洗いの時間がやけに長いと感じるでしょう。
※緒方刑事を《魂の歌》で操るために、一人になって笛を吹きに行っています。この行動が終わった後、緒方刑事は「笛の音が聞こえる」と言った後、完全に黒幕の支配下に置かれてしまいます。同行した探索者が居る場合、これまで同様POW*3ロールを行います。

20.続く悪夢
 もし、探索者がなんの対策もせず、いつものように一夜を過ごすなら、《魂の歌》の犠牲者を、探索者を含めた対象をランダムで決定してください。
 犠牲者として選ばれた探索者は、夜を過ごしていると、笛の音がどこからか聞こえ、笛の音に導かれるように、凶行を起こし始めます。もし、メイファの持ってきた飲み物を飲んでいないのならば、MP:18との対抗ロールとなります。

4人目の犠牲者は、斧で他の誰かを滅多打ちにし、その後精神崩壊を起こします。
『Lizzie Borden took an axe
And gave her mother forty whacks.
And when she saw what she had done
She gave her father forty-one.』

日本語訳
『リジー・ボーデン斧を取り
母を40回 滅多打ち
自分のした結果に気がついて
父を41回 滅多打ち』

5人目の犠牲者は、他の誰かを喰い殺そうとするでしょう。4人目の犠牲者と同じく、事が終わったら精神崩壊を起こします。
『My mother has killed me,
My father is eating me,
My brothers and sisters sit under the table,
Picking up bury them under the cold marble stones.』

日本語訳
『お母さんが私を殺して
お父さんが私を食べている
兄弟たちはテーブルの下で私の骨を拾い
冷たい大理石の下に埋めたの』
いずれの場合も、殺害に失敗した場合は犠牲者が自殺します。

21.誘拐~隠された地下室~
 黒幕は緒方刑事を操り、PC1、PC4、あるいは緒方刑事と最も仲の良い探索者(《セイレーンの歌声》所持者がわかっている場合にはそちらが最優先です)を誘拐します。
が、秘密持ちシナリオにおいて並のPLがそう簡単に(信頼されているとはいえ)NPCに一人でついていく判断を下すとも思えないので、2つのパターン想定と対処法を考えておきます。

・緒方刑事が信頼を得ている場合…大広間なりで集まって過ごそうという案を採用して身の回りのものを持って集まってくれと言った後、「察知されないよう声を出さずに見てくれ。私は犯人がメイファだと考えている。この中で一番信頼できる君に隠密捜査の協力を頼みたい。私は全員が大広間に向かった隙に彼女の部屋を調べようと思っている。一度私の部屋に来てくれないか。」と画面に書いたスマホを渡し、自分の部屋に入っていきます。何か喋ろうとすると、緒方はしーっと手で合図を送ります。部屋の中では、おそらくメイファの部屋に彼女が犯人だという証拠があるはずだと述べ、自分を信用させようと試みます。この時〈心理学〉などを使用すれば、大河原や日吉の時と同様の情報が得られるでしょう。何も疑問を抱かなければ、部屋の捜索中に背後から不意打ちで組みついた上でドクター・ドリームを嗅がせ(警戒すると宣言していなければ自動成功でよい)、意識を奪います。
※失敗した場合は緒方刑事との戦闘になります。1対1で戦うもよし、一時引いて探索者達と合流するもよしです。この場合、下記の尋問時同様交渉系技能に2回成功すると、少しだけ我に返り「メイファ…」と呟きます。その後は21.地下室での戦闘と同じ流れです。メイファ自身は戦闘が発生したら真っ先に城の外へと逃げていきます。

・割と怪しまれている場合…一旦大広間に集まって集団で眠った後、見張りが緒方以外にも居る場合にはその人物に対して不意打ちでドクター・ドリームを嗅がせ、意識を奪います。緒方一人が見張りに建てるような状況なら、そのまま任意のPCにドクター・ドリームを嗅がせて地下室へと連れ去ることでしょう。

 ドクター・ドリームで眠らせた後は、城の地下へ誘拐して尋問することで《セイレーンの歌声》についての情報を聞き出そうとします。尋問の過程であわよくば《セイレーンの歌声》を歌わせ、それを録音しようとしているのです。緒方刑事のRPは、最初の好青年の印象とは程遠い、狂人のようなRPをすると、話が盛り上がるでしょう。
 なお、緒方&探索者と同じタイミングに地下室へ行けなくともチャンスがあれば(メイファが動ける状況であれば)背後にメイファを忍ばせましょう。地下室には録音の設備がありますが、メイファは常にそれとは別の録音機器を持っています(すぐ逃げ出せるようにです)。

◆交渉系技能→緒方刑事の尋問避けとして使います。2回成功すると、緒方刑事は少しだけ我に返ります(完全に黒幕の支配下ではないのです)。ここでは特に、ロールプレイの出来によって達成値に補正をかけるのが良いでしょう。素晴らしいRPをしたら、緒方刑事は完全に正気に戻ったとしても構いません。クリティカルを出すと、緒方刑事は完全に我に返り、探索者を解放してくれます。しかし、ファンブルを出した場合、緒方刑事は探索者に自白剤を使用するでしょう。
◆聞き耳→どこからか風の音が聞こえます。この地下室は外へ繋がる通路がどこかにあるのではないかという事に気付きます。

◆自白剤
 大脳上皮を麻痺させ、意識が朦朧とし、質問者の簡単な質問なら機械的に答える効果があります。
 扱いは、狂気表の8.反動動作あるいは反響言語(探索者は周りの探索者、NPCの動作あるいは発言を反復する)となり、効果時間は1D10時間です。

 メイファが地下室に居る場合、誘拐された探索者が《セイレーンの歌声》を使用した時、使用者に〈聞き耳〉の半分で振らせ、歌っている最中にテツチャプトルのチャイムの音に気付くかどうかを判定します。2ラウンド経過させた後、背後にいるメイファに猿ぐつわをはめさせましょう。テツチャプトルのチャイムを用いることでメイファは呪文の効果から逃れます。緒方刑事は意識が混濁してしまいますが、メイファが《魂の歌》をかけなおすことで再びメイファの制御下におかれ、探索者達の足止めを命じられます。
 居ない場合、緒方に拘束を解くよう命じる場合にはメイファのPOWとの対抗ロールに打ち勝つ必要があります。失敗しても緒方の意識混濁状態が続くだけで後からやってきた探索者達の足止めなどは行いません。

22.地下室での戦闘
 このシーンの導入の仕方によっていろいろ変わってきますが、何らかの形によって緒方刑事と犠牲者、及びメイファが帰ってこないことを探索者は不審に思うでしょう。複数人が緒方刑事と犠牲者に着いて警戒してくるような場合にはメイファを用いて一旦大広間に返させて機会を窺いましょう。
 城の中を探し回っても、誰もいません。緒方刑事や犠牲者(場合によってはメイファも)の部屋へ行っても、もうもぬけの殻です(緒方の部屋には鍵がかかっています)。
・探しまわった場合…
◆幸運→部屋を一つ探索するごとに、探索者達全員に振ってもらいます。もし、全員失敗したなら、1D3行動後、城中に《セイレーンの歌声》が響き渡り、術者とのPOW対抗が発生します。こうなってしまったら、成功、失敗にかかわらず、囚われた者は殺されてしまいます。
・緒方刑事の部屋で…
◆聞き耳→窓が開いていないにもかかわらず、空気の流れを感じます。
◆目星→クローゼットに地下へと続く階段が隠されているのを発見します。

 地下室へ行く時、もし生き残りのNPC(日吉など)が居れば全員探索者達に付いて行きます。地下室へ入ると、緒方刑事と囚われた探索者を発見するでしょう。緒方刑事が《魂の歌》の影響下から脱していない場合、探索者達を見つけると襲いかかってきます。もし、緒方刑事が少しでも正気を取り戻しつつあるなら、緒方刑事は毎Rごとに〈幸運〉を振り、成功したら何もアクションを起こしません。
◆精神分析→2Rごとに試すことができます。成功すると、緒方刑事は完全に我に帰り、戦闘行動を解きます。
◆DEX対抗→緒方刑事とのDEX対抗です。緒方刑事の脇をすり抜け、囚われた探索者の縄を解くことができます。すりぬけに1R、縄を解くのに1Rかかるものとします。
戦闘になった場合、この戦闘にかかったラウンド数分メイファのDEXに上乗せして後述のDEX対抗ロールにマイナス補正をかけます。

・もし、緒方刑事または囚われた者を殺してしまったら…
殺した探索者は、正気度喪失→2/1D6+1
死を目撃した探索者は。正気度喪失→1/1D6
二人とも死んでいた場合、一人一人に正気度チェックが発生します。

・もし、正気を取り戻すことが出来たなら…
 緒方刑事は自分のしたことを後悔し、すべて自分がやったことじゃないかと自分を責め始めます。
◆説得または信用→緒方刑事の考えを改めさせることができます。もし、失敗してしまった場合、緒方刑事はドクター・ドリームの効果と、自責の念により、自殺してしまいます。
 探索者が緒方刑事の生死に無関心であったり、戦闘の勢いのまま殺しかねない場合は、緒方刑事が自殺するにしろしないにしろ、メイファを捕らえて真相を突き止めるよう緒方刑事の口から探索者達に促しましょう。地下室での戦闘とその後の処理が終わったら、メイファが地下に仕掛けた爆弾が作動します。この処理は下記23.真相、そして脱出と同じです。

23.真相、そして脱出
 犯人を見つけ出すために、探索者は様々な推理を巡らすでしょう。ドクター・ドリームに関する様々な情報、隠された蔵書室における《魂の歌》の記述、メイファの部屋にあるドクター・ドリームのメモやミステリーツアーのマニュアルなどの証拠が集まれば、トリックや犯人が自ずと見えてくると思います。コ○ンやQ○E.D.-証明終了-といった推理漫画的な形での演出をPLが望むのであれば、探索者のRPに花を持たせてあげてください。
 もし探索者が正しくトリックを推理できていた場合、真実を指摘されたメイファは自分の正体を暴露し、すべての証拠を隠すために地下に仕掛けた爆弾を作動させます。城は崩れ始め、城にいた者達はみな地下室にある出口に向かって走り始めるでしょう。
◆DEX×5→3回成功したなら、瓦礫を避け、無事に脱出することができます。1回失敗したら、耐久力1D3のダメージを負いますが、無事に脱出することができますが、2回失敗した場合には耐久力1D6のダメージを負うことになります。3回全て失敗した場合、耐久力1D6のダメージを負ったうえ、瓦礫に埋まってしまいます。
※メイファは自動成功とします(追跡時のDEX対抗を緩和する関係上原作よりもメイファのDEXを下方修正しているため)。
・もし、誰かが瓦礫に埋まってしまったら…
 逃げ遅れてしまった者は、自分のSIZとSTRの対抗に成功することで、1ラウンドかけて瓦礫の中から抜け出すことができます。失敗した場合、追加で1点のダメージです。これは探索者の誰でも助けることができますが、その場合メイファとのDEX対抗に参加することができなくなります。

24.メイファとの対決
 メイファは城から脱出すると、そのまま国道の方向へ逃走しようとします。
◆DEX対抗→メイファとのDEX対抗です。成功すると、メイファとの戦闘となります。全員失敗でメイファに逃げられてしまいます。一人でも成功したら、失敗した人たちを適宜戦闘に合流させましょう。ただし、瓦礫に巻き込まれていた探索者はどんなに早くとも戦闘参加に1ラウンド遅れてしまうでしょう。

 メイファに追いついた際の描写例は以下の通りとなります。
 追ってきた探索者たちとの距離が徐々に縮まっていくのを認めると、メイファは反転して止まります。
「……追いつかれてしまったアルか。もう、ここまで来たらもう猫を被る必要もないアルな。」
「こうなった以上、お前たちには死んでもらうアルよ。」
 メイファはそう言うと、探索者たちに向かって中国拳法の構えをとります。その動きには一切の無駄が感じられず、メイファがただ者でないことがわかるでしょう。

 メイファは逃亡を最優先とし、そのための最適な行動を行います。ピンチに陥った際は、懐からテツチャプトルのチャイムを取り出し、吸収した呪文の力を開放します。
・メイファを捕らえることができたら…
 瓦礫に埋まっている者がいた場合、無条件で救助できます。探索者達は、メイファを警察に引き渡そうとするでしょうが、警察が来る前にメイファはこの事件の背景を話し始めます。しかし、警察に捕まってしまう前に三合会との繋がりをこれ以上知られまいと、メイファは自殺用のドクター・ドリームを使って自分の精神を崩壊させようと試みてしまいます。
・メイファを取り逃がした、または死なせてしまった場合…
 探索者たちの阻止が間に合わなければ、今回の事件の真相は解明できたもののもっと大きな背景については謎が残るというノーマルEDとなります。

・メイファを取り逃がした、または死なせてしまった場合…
 無条件でノーマルEDです。事が終わった後、瓦礫に埋まっている者がいた場合、救助できます。

・メイファに《セイレーンの歌声》のデータを奪われてしまった…
 《セイレーンの歌声》の肉声を手に入れることができたメイファは、すぐに城から姿を消してしまいます。やがて、脱出した探索者達から通報を受けて警察が来ますが、城の崩壊により死体や証拠品などはすべて葬られてしまっており、真相は永遠に闇の中でしょう。《セイレーンの歌声》を手に入れた三合会が今後どうするのかは、また別のお話です。
エンド分岐
◆ベストED
1.メイファを捕らえ、自殺を防いだ。
2.《セイレーンの歌声》データが外部に流出していない。
3.メイファの《魂の歌》を使ったトリックを(メイファの前で披露したかしないかに関わらず)誰かが見破っている。

◆ノーマルED
1.メイファを捕らえることができなかった、または殺してしまった。
2.《セイレーンの歌声》データが外部に流出していない。

◆バッドED
1.探索者全員死亡または、《セイレーンの歌声》が城に響き渡ってしまう。
2.《セイレーンの歌声》データが外部に流出してしまう。

[探索できる場所]
●大広間
 最も大きい部屋で、リビングと談話室が一緒になっています。リビングには長いテーブルと、その上に白いテーブルクロスがかけられており、テーブルの上にはろうそくが並べられています。談話室は赤いソファが数個あり、城にいる者全員がゆったりとくつろぐことができます。

●礼拝堂(シナリオ最下部にも同様の記述有り)
 第1の事件が起きた場所です。礼拝堂としては小さな部類で、6つの長椅子と説教壇が置かれているほか、奥の壁に沿って映画のセットと思しき小道具類が置かれており、ステンドグラスから月明かりが差し込んでいます。おそらく探索者たちが中に入るころには、死臭が充満していることでしょう。
 説教壇に対する〈目星〉に成功すれば、その付近の床に、何か重いものを引きずったような跡があることに気が付きます。それを辿っていくか、あるいは単に小道具類を調べると、覆いのかかった、背の高い家具らしきものを見つけることになります。覆いを外せば、大きな仏壇が顔を表すことでしょう。
 仏壇には観音開きの扉が付いていますが、鍵がかけられているようです。この扉の鍵はメイファが持っていますが、メイファは聞かれない限り話しません。また、単純にSTR10との対抗で無理やりこじ開けることも可能です。
◆オカルト→装飾や部屋の様子から見て、どの宗教にも属していない、カルト的な宗教のものであることがわかります。
◆鍵開け→扉を開けることができます。
・仏壇のような物を開けた場合…
 扉が開かれると、アジア風の綿織物を背景に、上座に鎮座する奇妙な像が姿を表した。胡坐をかくその像は、人の胴体にゾウのような頭部を持つ、インドのガネーシャを思わせる出で立ちである。しかし、見たものにそれとは異なることを確信させるものは、この像が放つ、蛆が肌を這う感覚に似た、冒涜的なおぞましさであった。
 この像を見てしまった探索者は、正気度チェック→1/1D3、さらにクトゥルフ神話技能+1%獲得。
◆目星→後ろの綿織物が少し剥がれているのを見つけるでしょう。綿織物を剥がすと、皿の上に山盛りに盛られた大量の黒い粉を発見します。(これは、ドクター・ドリームの原料となる黒い蓮をすり潰したもので、かつてこの建物がチョー=チョー人に使われていた際用いられていたものです。)
・黒い粉に対して…
◆聞き耳→甘ったるい花の様な匂いです。

●キッチン
 中世ヨーロッパ風の古めかしいキッチンに冷蔵庫などが備え付けられています。いくつもある備え付けの棚には空のものもありますが、殆どは調味料や調理器具が並べられています。犯行に使われるであろう肉包丁やナイフもあるでしょう。棚をくまなく調べるか〈目星〉に成功すれば、棚の一つに空のビンを見つけることでしょう。
・空の瓶に対して…
 他のビンとは異なり褐色のビンであり、ラベルや表記がありません。
◆聞き耳→甘ったるい花の様な匂いがします。
◆薬学→一種の幻覚作用があることがわかります。

●物置
 鍵がかかっていますが、メイファに言うと開けてくれます。しかし、殺人事件が起きた後中を見ると、中にあった物が一部なくなっていることがわかります。なくなった物は、のこぎり、木槌など凶器に使われたものばかりで、他には箒、枝切り鋏、ペンチなど、物置にありそうな物はたいてい揃っています。
◆アイデア→中に置かれた品々の中に、かなり古い(少なくとも数十年ほど前)ものが混じっているものがあることに気が付きます。

●使用人の部屋
 RPや交渉系技能で、メイファの気を長い間そらすことができたなら、使用人の部屋へ行くことができます。
 部屋の構造は、参加者が泊まっている部屋とほぼ一緒です。礼拝堂とボイラー室に行っている場合、〈アイデア〉ロール成功でデットスペース(隠された蔵書室)の存在に気が付くことでしょう。
◆目星→ゴミ箱の中には、丸められたドクター・ドリームの効果について書かれたメモを発見します。KPは、KP情報の「ドクター・ドリーム」を少し改変して、PLに情報を提示してください。メイファは自身が疑われていると感じれば、このメモを焼いて完全に破棄してしまいます。メイファの部屋にはその他にもこのミステリーツアーのマニュアルがあります。
◆マニュアルに対する図書館→本来行われるはずだったミステリーツアーの手順について書かれています。その中を確認していれば、ミステリーツアー初日はメイファと葉山が先んじてミハイル城に赴き、ミステリーツアーの準備をする旨がかかれています。

●廊下
 赤い絨毯が敷かれた薄暗い廊下です。壁には西洋鎧や絵画が飾られています。どれも歴史的価値がありそうですが、セットなので贋作です。西洋鎧はセパレート方式で軽いため簡単に着ることが出来、その場合DEXが-2されるものの2点の装甲を得ることができます。

●城周辺
 雪は降り止んでいるものの、辺りは積もった雪に覆われています。崖の上に立っているとはいえ、へべれけに酔っぱらって外にでも出ない限り転落死しない程度には崖と城との距離は余裕があります。(足跡が残っていないことから、外部犯の可能性を否定する証拠となります)

●ボイラー・発電室
 中は暗く、点検の際に使うとみられる工具類や、燃料用の軽油が一定量保存されています。ボイラー室全体を見て回り、アイデアロールに成功すれば、メイファの部屋と倉庫との間にある空間としては奥行きが足りないことに気が付けます(隠された本棚が存在することを示唆する情報です)。
◆目星→中に残されている古い足跡が、いずれも子供ほど(メイファと同じSIZ8~10くらい)に小さいことがわかります。
◆アイデア→かなり古いタイプの暖房設備であることに気が付けます。

●隠された蔵書室
 この場所の存在は、メイファの部屋と礼拝堂を見た上でボイラー室を調べた際、〈アイデア〉ロールに成功することで「部屋の構造と空間の奥行から考えるに、デッドスペースが存在している」ことに気が付きます。場合によってはもっと簡単に気が付くかもしれません。
 入り口となる引き戸は改装の際に埋められ、完璧に壁と同化しています。甲冑や絵画、灯りのゆらめきによって巧妙に隠されているため、壁に扉があるのではないかと疑いながら〈目星〉に成功しなければ、見つけられないでしょう(単に〈目星〉するだけなら半分の値で振らせましょう)。
 中に灯りはなく暗い部屋ですが、天井に固定された古い本棚が並んでいることがわかります。中は埃っぽく、ネズミの死骸やフンなどにまみれており殆ど使われていないことが分かるでしょう。本棚に並んでいる本は、単純な劣化やネズミなどの被害を受けており、読める本を探し出すことに苦労するでしょう。
◆図書館→ガラスケースに収められており、虫食いがなされていない本を見つけます。本を開けば中に一枚のメモが挟まれていることに気が付くでしょう。
◆本に対する英語→本を斜め読みすれば、チャウグナー・フォーンとそれに仕えるチョー=チョー人について歴史書的に書かれている本であることがわかります。これを読み、宇宙の真理の一端を知ってしまった探索者は、
【1D3/1D6のSANチェック】、クトゥルフ神話技能3%を獲得します。
内容は以下
『……時の始めの時、チャウグナー・フォーンは自分に奉仕させるためにミリ・ニグリと言う種族を作った。ミリは原始両生類の肉片から作った小人種族だった。この恐ろしいミリと人間の間に生まれたのがチョー=チョー人である。その子孫は外見的にも人間に似ているが、その殆どは人間より体格が小さく、毛髪が殆どない。ミリの血のせいで彼らは生まれつき正気度が半分しかないし、忌まわしき儀式や行いのためにそれも急激に減ってしまう。チョ―=チョー人は彼らのカルト儀式と犯罪組織とを結びつかせ、彼らの主人であるグレート・オールド・ワンの混沌を広めている……』
・メモについて…
 手書きのメモですが、酷く癖のある醜い字で書かれているため、読み解くためには一文字ずつ文字を確定させていく必要があります。
◆メモに対する英語→先祖代々伝わる秘術について書かれているメモを発見するでしょう。ただし効果だけで、呪文の習得はできません。
 内容は以下
「この呪文の対象になった者は、呪文の使い手が望んだ物だけを見、望んだ物だけを聞くことになる。呪文をかけるためには、魔力のこめられた骨のホイッスルを演奏する必要があり、正気と精神力の一部を捧げる必要がある。術者が対象の精神を打ち負かせば、効果が発揮される。笛の音は対象者にしか聞くことができないが、強い精神の持ち主には、かすかに笛の音を聞かれてしまう可能性がある。ただし、このことによって笛の音を聞いた者が操られると言うことはない。」
正気度喪失→1D2/1D4、クトゥルフ神話技能1%を獲得します。

●宿泊する部屋
 まるで牢獄のようで、普通のホテルより狭いですが、ベッドは一人分にしては十分なほど広く快適です。他には、小さな丸いテーブルと備え付けのクローゼットがあり、非常に簡素な部屋と言えます。NPCが立てこもりやすいように、ガスコンロやユニットバスは設置してあります(なお、この城には個室以外トイレはありません)。

[追加報酬]
ベストED…1D10+1d6
ノーマルED…1D6+1
の正気度ポイントを獲得することができます。
メイファの殺人トリックを暴いた探索者はさらに1d6ポイント回復です。

 笛の音を聞いた探索者は、クトゥルフ神話技能を1%、シナリオ中で呪文にかけられた探索者は2%獲得します。後日、ドクター・ドリームについて詳しく調べた探索者は、さらに追加でクトゥルフ神話技能を2%獲得します。


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