クトゥルフ神話TRPGのプレイングをサポートする8つの助言

 今週は「クトゥルフ神話TRPGのプレイングをサポートする8つの助言」と題して、PL向けの情報を発信しようと思います。この記事を書こうと思ったきっかけは、先日行ったクトゥルフ2010掲載のシナリオ『腕に刻まれる死』のセッションがバッドエンドを迎えたことにあります。詳しい経緯はネタバレになるので省きますが、このシナリオは全体を通して難しい部類のシナリオに含まれ、探索や推理をしっかり行っていないとバッドエンドに向かったり、キャラロストが発生する可能性が高くなるタイプのシナリオです。
 こういったシナリオの場合、プレイングを工夫して進めていかないと、当然全ての真相を解き明かしたうえで結末を迎えることは難しくなります。しかし、一般にシナリオの多くは卓の性格に依らず、探索に不慣れなPLでも楽しめるような作りになっており、探索のイロハやセオリー(そんなものは幻想かもしれませんが、私の考えという意味で)を学んだり、磨いたりする機会が意外と無いのではないかと最近考えるようになりました。
 もちろん、楽しみ方は人それぞれ、卓それぞれです。KP次第で難しいシナリオを完全にクリアすることは可能でしょうし、それで十分に楽しめている方も多いでしょう。しかし、私はそういうシナリオこそKPの力を借りずにPLの力だけで探索を進め、真相を探り、シナリオを終えることにクトゥルフ神話TRPGの楽しさがあると思うんです。
 そこで今回の記事は、“私の考える”クトゥルフ神話TRPGの楽しさを味わうため、思いつく限りの「クトゥルフ神話TRPGのプレイングにおける思考の方式」を書いてみようと思いました。私自身セッション経験はまあまあ豊富(個人の自作シナリオなどを含めればKPとPLを合わせて5~60ほど)ながらTRPG歴が長いというわけではありませんし、今回の記事は基本的な事項も多いです。あくまでこんな私個人の考えでしかありませんが、それでも参考になれば幸いです。

〇情報を精査する
 シナリオ内に出てくる様々な情報は、基本的にシナリオ進行上何らかの意味合いを持っています。メタ的な視点では、NPCの仕草や部屋内の細かな描写なども重要な手掛かりであることが多いです(描写が細かいということは、それだけ技能を使う余地があるということです)。情報を手に入れたなら、まずはそれがどのような意味を持っているのかを考え、わからないものは推理・相談し、結論が出なければとりあえず棚上げ、複数の考え方があるようならそれを積極的に発言しましょう。PLが考えてもわからないようなら、その情報をより深く調べるため、適当な技能ロールをKPに提案することも重要です。

〇方針を決める
 クトゥルフ神話TRPGのシナリオは、たいていの場合遅かれ早かれ探索者は何らかの事件に巻き込まれます。シナリオやKPのスタイルによっては自分たちが何をすればいいのかが明らかになっていることもあるでしょうが、そうでない場合、PLは自分たちがこのシナリオで何をすればいいのかという、探索の方針を決めなければなりません。例えば、何らかの怪異に自分たちが巻き込まれた場合、自分たちはその怪異を解決しなければならないのか、ただ生き残ればいいのか、脱出する必要があるのか、それとも外部に助けを求めなければいけないのか…などです。

〇目的を決める
 方針が決まれば、それに従って自分たちは具体的にどんなことをすればいいのか考えることになります。一般的には、怪異の原因や対処法、怪異そのものの調査など、得体の知れない怪物(神話生物)の存在が見え隠れしている場合には、その弱点や対抗手段を見つけるなどが考えられるでしょう。方針決めや目的決めを怠ると、シナリオ中で情報を拾い損ねたり、重要な局面で不用意な対応をしてしまい、それらがロストやシナリオの失敗に繋がることもままあります。

〇手段を考える
 目的が決まれば、それらをどうやって達成するか考えなければなりません。マップやシナリオの舞台背景と自らの探索者の技能を見て、どのような手段がとれるのかを考えましょう。クトゥルフ神話TRPGにおいて、この情報収集の手段というのは腕が試される場面でもあります。〈目星〉〈図書館〉といったいつもの技能以外にも、クトゥルフの技能というものは考え方次第で、様々な形で使えるものです。例えば、〈博物学〉は汎用性の高い技能ですし、〈物理学〉〈生物学〉なども起きている事象を科学的に理解する助けになり、あるいは神話的事象なのかどうかを判断する手助けになるでしょう。あまりKPに食い下がるのは好ましくありませんが(KPの決定権は尊重されるべきですし、繰り返されると時間も長引きます)、積極的に、できれば簡単な理由を含めて提案するといいでしょう。

〇NPCから情報を引き出す
 クトゥルフ神話TRPGにはモブも含め、NPCが出てくるシナリオが多いですが、シナリオの核心に迫るような情報をおいそれと出すようなNPCはそう居ません。そもそも持っている情報が思い込みの類で間違っている場合もあります。しかし、いかなる情報もメタ的な視点で考えれば何らかの意味がある情報(まれにブラフも混じっていますが)であるため、情報収集の手段として「NPCから情報を引き出す」という選択肢は常に頭に入れておくべきでしょう。シナリオの進行度に応じて情報を喋るようになるNPCもいますからようになる探索の結果情報が足りないと感じたら、

〇行動宣言や相談を行う
 探索者の役割分担や情報収集の行き先はもちろん、手に入れた情報に対する考えや思考も積極的に発言していくと、よりセッションが活発化しますし、何より他人の考えに触れることで、そこからまた新たな思考に発展していく効果をもたらします。また、人というものは時々奇妙な思い込みをすることがありますし、お互いが違う思考の元に探索を行っていては非効率、また情報の取り逃しに繋がる可能性もあります。そういった事態の防止のためにも、積極的に発言していくことが重要です。

〇リスクを恐れすぎない
 クトゥルフ神話TRPGのキャラメイクは他のTRPGに比べ手がかからないですが、それでも人間社会を舞台にした“現実味”があるシステムであることも相まって愛着がわきますから、やはり探索者を失うということを恐れるという気持ちが強くなります。
 しかし、危険性の高いシナリオの場合、探索を進めていくとどうしてもリスクを冒さねばならない場面に遭遇することがあります。相対している相手が超自然の存在であり、探索者自身はタイタス・クロウでもなんでもないただの一般人ですから、どのようなシナリオもゼロリスクで進めていけるというのはあり得ないでしょう(むしろ、使い捨てられるNPC達を見れば「探索者だから何とかなっている」と言えます)。
 もちろん、生存や目的の達成のためにできるだけのことはするのは当然ですが、それでもリスクをなくすことはできない場合がありますし、ミスやアクシデントの挽回のために、リスクを選択する場面も出てくるかもしれません。しかし、探索者の生存を重視するあまりシナリを失敗してしまっては元も子もないですから、あまりリスクを恐れすぎないようにしたほうがいいと思います

○探索者はシナリオ内容と相談して決める
 たまに起こる問題として、探索者の性格がシナリオの内容とマッチせず、シナリオの進行に支障が生じる、というものがあります。例えば、NPCから得られる情報が重要であるにも関わらず、探索者たちが一匹狼系の性格である、といったものです。そういったミスマッチが起こると、探索者の性格に合わないロールプレイが要求されたり、場合によっては探索者の性格を優先して情報を入手する機会を逃す可能性もあります。脳内補正で対応できたり、PC間の役割分担がしっかりできているなら別ですが、シナリオ進行に影響が出る場合もありますし、KPから探索者作成に関する注意事項をきちんと聞くようにしましょう。

 とりあえず思いつく限りでプレイングスキルに関する事項を書いてみましたが、どうでしたでしょうか。書いてみれば基本的な事項ばかりのように見えるかもしれませんが、最低限これらをしっかり意識していれば、不完全燃焼のセッションというものは起こらないんじゃないかな、ということを念頭に書いてみました。今回書いた内容は純粋に「シナリオをクリアする」ということを意識して書いていますが、クトゥルフ神話TRPGの楽しさは単純にシナリオをクリアするというだけではありませんから、そのうちクトゥルフ神話TRPGの楽しみ方に関しても、何か記事を書いてみようかななどと考えています。
 さて、来週の記事ですが、再来週私が二作目の自作シナリオ『アンハッピーバースデイ』を公開する予定のため、そのシナリオトレーラーを投稿しようかと思います。事実上のお休みとなってしまいますが、シナリオ公開をお待ちください。では、また来週お会いしましょう。

こちらには「探索者」としての心構えに加えてケーススタディも載っており、読みやすいです

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