シナリオフック『犬鳴村怪異譚(仮)』公開記事その5

 さて、今週の記事は先週の残りということで、犬鳴村怪異譚のクライマックス構想をつらつらと書いた後、なんで私がこのキャンペーンシナリオ制作を断念したかを書いていきます。なぜ断念したかといっても、「こんな糞シナリオ書いてられるかフンダララ」というようなネガティブなものではなく、簡単に言えば個人的に深きものを見慣れ過ぎて食傷気味だったのと、単に広げた風呂敷に見合うシナリオを書くのを時間的に諦めたというのが主なんですが……これについては最後に触れようと思います。では、ここから本編で第三部4-2.シナリオ概要の続きです。変なところで切れてしまったので、混乱を避けるためすぐには再編集はしませんが後々その1~5を再構成したいと考えています。
その1
その2
その3
その4
その5


 数十年の時を経て、再度深き者どもへの反攻の狼煙が犬鳴村において上がります。犬鳴ダムの下に深き者共の根拠地があることは混血種たちの情報からわかることでしょう。混血種の持っている情報を基に戦略を立てることになるでしょうから、上手く情報を出して上手く探索者を参加させることが重要です。
 基本的には、まず村内部にいる深きものを殲滅するところからこの反攻作戦は始まると思われます。その後、犬鳴村住人は高齢化が進んでいるため戦力上正面からぶつかるには不安が残ることから、犬鳴ダムの制御装置を作動させて水を抜き、犬鳴ダム下に住まう深き者共の主力を無力化することが主な戦略になるかと思います(調べた限りアースダムにはまともな調節機能はないようなので、後付けながら戦後あたりにまっとうなダムとして犬鳴ダムが再建されたということにしておいてください)。
 犬鳴ダムの水が抜かれ始め深きもの共が混乱する最中、目ざとい探索者か反乱参加者の一人が、水中からトビウオのごとく飛び出す一匹ないし数匹の深きものを見つけることでしょう。彼は反乱を察知するや否や逃げ出した深き者共の首領らであり、水中に眠っていた重要な物品を持ち出そうとしたのです。距離的には探索者グループがその深きものを追うには適した位置にいますから、探索者たちは彼と戦うことになるでしょう。彼は忌まわしき三重冠や深きもの由来のマジックアイテムなどの品々の他に、水中から持ってきたにもかかわらずふやけたり、破れたりしていない紙・ないし本のようなものを見つけることでしょう。それはこの世ならざる秘術によって保護されているものかもしれないし、もしかすると人間の皮に焼き入れたものかもしれませんが、ここには《クタート・アクアディンゲン》の日本語訳の一部が載っています。どの程度の冒涜的な知識がそれから得られるかはわかりませんが、少なくとも《天使さま降臨の儀(バグ=シャースの招来/退散)》だけは必ず載っています。
・新犬鳴村の深きものを取り逃がしてしまった場合、旧犬鳴村の深きものの一部が迎撃に出てきてしまうかもしれません。
・戦闘シーンで探索者が分かれる場合は、NPCをPLに動かしてもらうのがいいでしょう。また、HPが少ないなどの理由で戦闘への参加が困難な場合は村に残って護衛の任につくというのも選択肢の一つです。
・第一部からの継続探索者は、自分が引き取りを拒否した女児の末路に気づいたであろう任意のタイミングでSANチェックを行います。反攻作戦中、彼女は狂人を装う魔術師の老人たちと共に残り、彼女の息子が護衛として村に残ります。
・村の掃討作戦がひと段落ついた後、彼女と魔術師の老人は隠れていた場所から出て、バグ=シャース召喚のための巨大な魔法陣を書きつつ、捧げるための生贄(死にかけの村人ないし深きもの)を引きずり、魔法陣の内側に入れる作業を行います。
・老人に言われるままおぞましい作業を黙々と続ける彼女に対し、息子は説得を試みることでしょうが、それが無駄に終われば探索者達に助けを求めに行くことでしょう。
・犬鳴ダム周辺の戦闘と深き者共の無力化を行い、新犬鳴村のほうに探索者達が戻ってきた日没近くくらいに、ちょうど村全体を覆う巨大な魔法陣も書き終わるでしょう。バグ=シャースが召喚されれば、生贄として魔法陣内の死にかけの連中や、場合によっては探索者・魔術師・他NPCが襲われるかもしれません。
・継続探索者が昔の出来事などを思い起こさせるような一押しや〈精神分析〉を行えば、老人の洗脳を脱して彼女は正気や言葉を取り戻すかもしれません。
・魔術師は強力で、厄介な敵です。場合によっては、探索者全員でかかっても彼を殺すか気絶させる前に大いなるもの、バグ=シャースが召喚されてしまうかもしれませんし、ダム周辺の戦闘如何では村についた時点で召喚されているという事態もありうるでしょう。
・彼は《旧き印》を身に着けているため、バグ=シャースの覆いかぶさる攻撃の対象とはなりません。
・仮に大いなるものの手にからめとられ、組みつかれたとしても、そのキスを受けるまでは退散の呪文を唱えることは可能です。しかし、探索者全員がバグ=シャースのキスを受けてしまったり、退散の呪文を見つけられずに全員が組みつかれてしまった場合には、イブ=ツトゥルが召喚され、再び犬鳴村という存在は地図上から消えてなくなることでしょう。

 さて、こんなものでしょうか。私はあまり戦闘が好きではないんですが、反乱部分ではどうしても複数回の戦闘が入ってしまうでしょうね。最後の魔術師との対決、バグ=シャースの退散もバランス度外視でアイデアを無責任に振りまいているだけなので、もしシナリオという形にする場合はよく吟味する必要があると思います。『マレウス・モンストロルム』を持っていない方はバグ=シャースのデータを確認できないかと思いますが、実はこいつ1d6/1d20級だったりします。召喚された時点で発狂・不定に陥る可能性が高いので、キャンペーン専用の独自狂気表を作ってフォローしたりと工夫する必要があるでしょう。

 長々とキャンペーンシナリオフックを書き連ねてきたわけですが、最後になんで私がこのキャンペーン作成を断念したかを書いていきたいと思います。
 まず最初にも書いた通り、メジャーで出しやすい神話生物ランキングトップクラスの深きものを題材にしているというのが上げられます。マレウス・モンストロルムを見ればわかるように、クトゥルフ神話体系の神々は八百万の神のごとく数多いるわけで……コズミックホラーというのは未知のものに対する恐怖なわけでして、それをこのコンセプトだと私では演出しきれないな、と思ったためにやめようかなとまず思いました。
 他には、仮にこれを公開することを前提に文章化するとなると、膨大な文字量になることが予想されたためです。私はどうしても凝り性なため、こうしたシナリオでは村人との会話ではこのタイミングの場合こういうことを話す~という様に書きたくなってしまい、文字数が膨大な量になってしまうことが明らかでした。キャンペーンを通してシナリオフック内のNPCとの会話をどうするかなどが不十分な記述にとどまっているのはそれが原因です。このキャンペーンの深みを増させる重要なファクターが形は違えど侵略されつつある住民とのコミュニケーションだろうと私は考えていたので、自分の納得のいくものを作り上げるには時間が足りないなあと思ってしまったのでした。

 とまあ、こんな感じの理由でキャンペーン作成を断念した次第です。別にこれを題材にシナリオを書く際のハードルを上げるつもりはさらさらないので、どんな風にでも改変してお使いください。原形をとどめていようといなくともクレジット表記は特にしなくてよいです。もっとも、ご報告いただければ喜んで見に行かせて頂きますけれども。
 今後の更新予定ですが、二月中はツイッターでも報告した通り身内卓のPL自作短〜中編秘密持ちシナリオ『悪魔のヒト探し』公開 、サプリ『インスマスからの脱出』紹介、わたくしぴゅあふる一のぴゅあぴゅあキーパリング考(仮)などを予定しています。ただ、2月は平日も連続夜セッションなど予定がすし詰め状態で嬉しい悲鳴を上げているため、少なくとも一週はそれに伴うブログ更新延期を行うことになるかと思います。申し訳ありませんがご了承ください。またクトゥルフ神話TRPG全く関係ないんですが、明日明後日は筆者がライブイベント参加のため記事執筆の時間がなく、まことに勝手ながら早速来週の更新をお休みさせて頂きます…。その間はブログのリニューアルを並行して行っていきますので、また再来週に新しい記事でお会いしましょう。

この作品、どこかで見られないものでしょうか。どうやって雰囲気を表現しているのか気になります。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック