シナリオフック『犬鳴村怪異譚(仮)』公開記事その4

 さて、今週も前回の続きを書いていきます。キャンペーンシナリオフック第二部『Call of The Black One(仮)』のシナリオ概要からですね。最初に白状しますが、今回でこのシリーズは終わりません……やはり文字数的に無理がありました。今週で完結できなかったお詫びと言っては何ですが、シナリオ紹介の更新や過去の記事の再レイアウト、その1~5などへのリンクを書く記事冒頭に挿入するなど機能性の強化を記事とは別に行おうと思っています。
 では、前回の続きからどうぞ。


3-2.シナリオ概要
 H県内陸部のとある盆地、霧の中のトンネルを抜けた先に、地図に名前のないその村「犬鳴村」は存在していた。知る人などほとんどいないようなその村に向かう途中、4人の探索者達が偶然顔を合わせることになった。あるものは軍人として、あるものは官吏として、またあるものは人を捜し求めて……4人は、それぞれの目的を果たすべく足を踏み入れる。
 犬鳴村は盆地の下に作られており、石造りの階段を下って村に入ることになる。地形的に空気が滞留しやすいためか村の中はよどんだ空気に満ちており、村人と思しき者たちの様子は様々だが、夏であるというのに皆顔と体のほとんどを覆った僧兵のような格好をしている村人―もとい狂信者―が村のシンボルである教会の周辺に多く居住していることがわかる。
「何もない村だが見ていってくれ。ここまでやってくる交通機関は一本だけだ、宿も提供する。」
 出迎えた村長は言葉遣いこそ丁寧なものの、その口調の裏には冷たいものを感じる。村人たちも狂信者らの異様さは感じ取っているが深くは知らず、それでも歴史的な事情から村外の人間に対しては排他的なのだ。僧兵の格好をした狂信者たちの視線も探索者達は一点に集めているが、それらは同じ種族の動物に向けられているものとは思えないほどに冷酷で、感情がこもっていない。探索者は村の散策や各々の目的のための行動を行うが、初日は芳しい成果は得られない。警備が厳重な、村の中ではひときわ異彩を放つ教会らしき大きな建物も、宗教上重要な場所だから外部の人間の立ち入りは認められないと断られてしまう。とは言え、初日に断られたからと言って諦めて帰るようではそもそもこのような場所には来ないだろう。明日の交渉に備え食事を済ませ、探索者達は眠りにつくことになる。居心地の悪い空間にうだるような暑さ、寝心地の悪い寝具と条件は最悪だが、不思議とよく眠れてしまう。
 次に目覚めた場所は寝室として提供された部屋ではなく、広い牢屋のような空間であった。自分たち以外にも複数人が同じ空間に閉じ込められており、中には探索者がこの村にやってくる原因となった人物もいることだろう。やがて彼らはこの場を出ることになるが、それは解放されるためではなく、彼らの信仰する「いぶ様」(=イブ=ツトゥル)との接触のために行われる、「黒きもの」(イブ=ツトゥル)召喚のための生贄とするためである。教会内に移送された賢明な探索者たちは身体の自由を回復するかもしれないが、召喚の儀式は止められない可能性がある。その場合はホールに描かれた魔法陣の中に召喚されたバグ=シャースの姿を見ることになるだろう。
 召喚されたバグ=シャースは魔法陣により動きを制限されながらも、自信に捧げられた生贄を探し、雄たけびを上げながら暴れまわる。捧げられた生贄が居ないとなれば、バグ=シャースは自身を呼び出した魔術師達に対し敵意を剥き出しにすることだろう。この時に魔法陣の一部を壊してしまえば、バグ=シャースは地面を這いずり魔術師たちを追い詰める。ただし、探索者の中にとりわけ運の悪い者が居た場合、満腹であり、機嫌の良いバグ=シャースは《イブ=ツトゥルとの接触》を使用し、殆どの魔術師たちに破滅的な加護をもたらし、探索者たちの正気度を削り取ることになるだろう。
 教会を脱出すれば、外が夜であることに気が付く。探索者の一人が合図を送れば、犬鳴村を襲撃するため盆地外周に待機していた歩兵第13連隊所属の一個中隊が照明弾投下と探照灯照射を開始し、一斉に攻撃を始めるだろう。教会は破壊され、中からはバグ=シャースが姿を現す。異形の姿を初めて見る兵の中には正気を失って錯乱する者も出てくるが、それを差し引いても十分な火力を有しているのは先の襲撃の戦訓である。狂信者以外の村人たちは先に脱出をし始めているが、もしかすると混乱のために村外へと続く階段は渋滞しているかもしれない。その場合、探索者たちの脱出は遅れたり、追いすがる狂信者と戦闘を交えることも予想される。
 狂信者と神話生物の掃討が大詰めになれば、軍は爆薬を利用して人工的に川の支流を作り、犬鳴村の盆地へと流し始める。足の遅い者やケガ人、救助中の人間の中には水に飲まれてしまう者もいるかもしれまないが、軍から救命胴衣や浮き輪が投げ入れられるため、水泳の不得手な人でも溺れる可能性は少ないだろう。バグ=シャースの攻撃と軍による射撃で村の狂信者集団は壊滅状態にはあるが、もしかすると狂信者の生き残りやバグ=シャースが帰りがけの駄賃とばかりにちょっかいを出してくるかもしれない。
 襲撃作戦も収束して夜が明け始めると、探索者たちは村のあった場所に水が張られているのを目撃する。この襲撃作戦後、地図の空白地だった場所には新たな名前が二つ追加されることになるだろう。『犬鳴ダム』『犬鳴村』、と。もし捕われていた人たちを全員救出したならば、後日脱出者した人たちを思い出した際に勘のいい人物なら気づいてしまうかもしれない。あの時夜明けを迎えた脱出者の人数は、牢屋の中で見た人間の数より一人増えていた、ということに。

 とまあ、こんな感じでしょうか。私はやはり説明したがりなのでこれでも余分な情報が多いかもしれんが、適宜カット・編集して一つのシナリオにしていただけたらいいなと思います。これを書いている間も色々とこのシナリオのアイデアが浮かんできていて、このまま勢いで一本シナリオを書いてしまいたいんですが……時間的に難しいので、可能性があるとしてもまあだいぶ先になるかなあと思います。

 さて、残るは第三部のシナリオフックですね。こちらはより漠然としていて、とりあえずシナリオ背景として第一部~第三部の間に起きたことの構想を書いて、シナリオ概要のほうは全体の流れに沿ってアイデアを、箇条書きを交えつつ書いていこうかなと思います。

4.第三部『思いつかなかったので省略(仮)』
 このシナリオは現代シナリオです。第一部と第二部の終わり方によって状況は異なると思いますが、この場ではガストを物理的手段で撃退し、イブ=ツトゥルは召喚されなかったということを前提に文章を書いていきます。

4-1.シナリオ背景
 犬鳴トンネルがドリームランドと同期してしまい、迷い込んだガストによって封鎖されてしまった問題は、偶然居合わせた旅人たちの手によってどうあれ解決された。再度犬鳴ダムとの連絡が取れるようになった深き者どもは、新犬鳴村に対し侵略を再開する。
 それから数十年。深き者どもの勢力は襲撃を受けた時ほどではないが、100体を超えるほどの規模に成長した。しかし、深き者たちのコミュニティの中では二つの重大な問題が発生しつつあった。一つは、支配下に置いている人間たちの高齢化である。犬鳴トンネルがふさがった事件以来も身寄りのない人間を中心に、幾人かの人間を捕えることには成功したものの、生殖や労働に耐えうる人材というものは徐々に減っていった。その背景には、反抗的な人間や反乱を企てた人間を処分してきたという事情もある。もう一つが、淡水の生活が長いためか、人間の血が濃くなったのか理由はわからないが、深きものの混血種において深きものの特徴をあまり示さず(APPが通常より高い)、人間に近い混血種が生まれるようになったのである。労働力の減少と混血種の人間化という問題に対し、深き者どものリーダーは人間に近い混血種を自分たちと同格とみなすことをやめ、労働の責務を負わせた。
 人間に近い混血種は生体となって深きものの特徴を現しても、いまだ人間としての自覚と正気を保っている。彼らは深き者どもの迫害に対する憤りというよりも、人間としての怒りを深き者どもに抱いている。しかし、一方の犬鳴村住民は深きものと混血種の二勢力を同一視しており、深い憎悪を抱いている。自然に二者が交流し、手を取り合うことはないだろう。
 旧犬鳴村を脱出し、死にゆく司祭たちの最後の力によって姿形を別人に変えて生まれ変わった狂人の老人は、いまだ健在である。戦前に施された魔術的処置は、通常の寿命の枠内では考えられないほどの強靭な生命力を彼に与えたのだ。彼は犬鳴トンネルが塞がれた事件をきっかけに、優秀な助手を手に入れることに成功していた。彼がかつての仲間たちの悲願を達成するためには、誰にも気づかれずバグ=シャースを制御する魔方陣を描き、またいくらかの生贄を用意する必要がある。
 生贄とはいえ、その状態は問わない。傷ついていようと、生きてさえいればいいのだ。聡明な彼は、この村に大きな亀裂が入りつつあることを自覚している。このまま深き者たちとの争いが勃発すれば、大量の死傷者が発生する。倒れているもののうち数体を差し出せば、生贄としては事足りるだろう。現代においても相変わらずボケたふりはしているが、争いを誘引するためなら、彼は積極的に行動するだろう。

 さて、シナリオ概要…の前に、第一部のPCを継続で使う場合に関して一つ補足を入れようと思います。この場合、このシナリオまでの間に数十年の月日が経っていますので、幕間での成長を大目に与えておきましょう。年齢の経過によりEDUが上がる場合はそれも忘れずに反映してください。これは、第一部において自分が行った行動の結果どのような影響を及ぼしたかを知った際、重めのSANチェックが入ることに対しての救済措置でもあります。また、このシナリオは事件への誘因は弱めのシナリオですので、場合によっては新規探索者を新しく作る際、正義感や好奇心が強い性格にしてもらうよう伝えましょう。

4-2.シナリオ概要
 H県奥地の山中にある「犬鳴村」。小規模なその村はいわくつきの土地であるが、その事実を全て知る者はこの世に一人……旧犬鳴村祭司の生き残りしかいません。インターネットなどの発展により以前よりは知られやすくなったその村に、4人の探索者が足を踏み入れることになります。
・到着時は前と変わらず日没前くらいにつきます。
・人口は第一部の時よりも少なくなっており、少子高齢化が進み、子供も2、3人しかいません
・第一部にいた狂人の老人は老いが進行しているように見受けられますが、元気にボケています。
・村人たちにはもはやままならぬものと反抗は諦めていますが、深き者に対する深い憎悪は変わらず持ち続けています。
・もはや旅人を宴会でもてなすことのできる活力すら残ってはいませんが、少なくとも寝食の場は提供してくれます。

 探索者が眠りにつけば、特に何もなく目覚めるかと思いますが、継続PCがいた場合は何か夢を見せることで警告を兼ねて薄い情報を与えると効果的かと思います。労働力の混血種は人間との無用な摩擦を避けるため夜は出歩かず、家の中に閉じこもっています。
・日の出とともに村人と労働力の混血種は労働へと駆り出されます。遠目にはわかりませんが、近づいたり、あるいは望遠レンズなどでよく見れば深き者の特性が現れていることがわかります。また、一人だけ女性が混じっていることにも気が付くでしょう。
・働きに出られないほど老いた村人たちからは探索者も情報を得られるかもしれません。また、診療所の医師も未だ正気を保って生きながらえています。継続探索者がいればその人物のことを思い出すかもしれませんし、重要な情報源となりうるでしょう。
・労働力の混血種が反抗的な態度をとったのに対して、監督役の深きものが暴行を加えるシーンを挟み、その光景に対する反応を情報として与えるのもいいかもしれません。
 
 日没が近づけば、村人たちは家へと帰っていきます。探索者たちは他の村人たちから情報を聞くことができるようになりますが、女性に対して話しかけようとすると、若い男―彼女の息子である混血種―に制されます。彼の言によれば、彼女は言葉を話せなくなっているようなのです。彼女に対して探索者達が話しかけようとしても、彼がそれを許しません。彼女と(筆談などで)直接話すためには、まず彼の信頼を得る必要があります。探索者達が信頼に足る人物であると彼が判断すれば、深きものの混血種との確執などについても教えてくれることでしょう。しかし、声に出して話すことは極めて危険です。どこで深き者共が聞き耳を立てているかわかったものではありません。デリケートな話題について話す際は、表向きは普通の会話をしつつ筆談をすることが基本となるでしょう。
・彼の息子の話や村人、特に医師などとの会話から、混血種と村人との間を取り持つ役目を探索者たちは任されます。
・探索者の交渉により無事わだかまりが解消された中で、その話の輪に狂人の老人が割り込み、一芝居打って深きものとの対決を促します。その際、彼は密かに魔術を使って村人たちを焚き付けるかもしれません。

 後は深きもの達との決戦準備・戦略立てパートとキャンペーンも大詰めになっていくんですが、正直あまり私が考えつかなかった場所であり、またこのキャンペーンが日の目を見なかった理由の解説なんかも入れることを考えると、来週に回したほうがいいと判断した次第です。結局終わらせられなかったのはショックですが、このブログはクオリティと有益性重視で書いていきたいので、申し訳ありませんがここで切らせていただきます。続きは来週までお待ちください。



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