シナリオフック『犬鳴村怪異譚(仮)』公開記事その2

 皆さん、あけましておめでとうございます。新年早々予定から二日遅れで記事を投稿することになってしまうとは不覚です。また、ツイッターのほうで告知はしていましたが、うっかりこちらのほうで告知しておくのを忘れておりました。更新を期待していた方には申し訳ございません。
 今回の記事は去年に引き続きキャンペーンシナリオのシナリオフック……もといシナリオとして書き上げられなかった残骸あるいは構想のようなものをぶちあげるシリーズ第二弾となります。予定としては第一部を終わらせ第二部のシナリオ構想をかけたらいいなと思っていたのですが、まあそんな時間もかからないだろうと油断していたら日付が変わってしまいました……。
 本文は導入~初日夜までの流れから始まります。相変わらず長いですが、どうぞご覧ください。


3.導入~初日村夜までの流れ(前回の記事における導入の章は名前を変更しました)
 導入に関してはそれぞれのハンドアウトの内容に応じて適当に済ませ、一日に一本しかないバス停などで合流させることを想定していました。本シナリオはあくまでキャンペーンの導入であり、単独のシナリオ内に込み入ったストーリーもギミックもない淡白なものなので、あまり長引かせるものでもないかなと思っていたからです。これはあくまでシナリオフックなので肉付け次第では全く変わったものになると思いますが……。合流後の流れとしてはバスの中で自己紹介を行って各々が村に来た理由なんかも伝え合ってシナリオ中協力する関係を作り上げてもらう予定でした。犬鳴村に関しての事前情報が知りたいと申し出た探索者が居れば、適当な技能で以下のような簡単な情報を開示しましょう。
◆事前情報
犬鳴村はダムに沈んだ旧犬鳴村の住人の一部を集落が吸収して成立した村である。周辺で殺人事件が起こるなどして近辺では半ば心霊スポット化しており、そうした面白半分でやってくる外部の人間に対しては本来の閉鎖性も相まって非常に気に厳しい態度をとる。

 バスに揺られて犬鳴村に着くころにはもうだいぶ日が落ちています。村の入り口の描写は以下の文を読み上げてください。

探索者たちは村の入り口で降ろされた。地面はかなりの湿り気を帯びており、この周辺が湿地帯であることをうかがわせる。しかし、探索者たちはそんな怪しい雰囲気よりも目の前の村に目を奪われるだろう。自分たちの目の前にあるソレは、村というよりは、近世日本を思わせる、砦と呼ぶにふさわしい高い塀だったからだ。

 バスは夕方くらいに村へと到着しますが、辺りには街灯もなく村の周りは漆黒の闇に包まれていると説明して自然と犬鳴トンネルの探索を明日に回し、犬鳴村に一泊して村の様子を見させるようにしています。人の背丈の二倍ほどもある高い丸太づくりの塀に囲まれた村には木製の門と深いフードに身を包んだ僧兵のような格好をした態度の悪い門番(中身は深きもの、以下僧兵)2人が探索者をぶっきらぼうに迎え、用件を聞くと渋々村の中へと案内します。この際、探索者の中に女性が居れば態度を軟化させます。
村には木造の家が十数件建てられており、不自然に村の一角が仕切られていることに関しては暗いので技能を要求するかして判定したほうがいいかもしれません。クスノキの匂いに何かが混じったような独特な臭いの立ちこめる村では、人間の姿をした村人が温かく……そしてまた興味津々といった様子で出迎えてくれます。外的刺激の制限された村人達にとって、たまにやってくる外部の人間は数少ない娯楽だからです。彼らは手厚く探索者たちをもてなし、ささやかな宴会を開いてくれます。彼らが出す料理は質素とはいえ、非常に美味しいものです。人懐っこい少女が数人居る他には成人女性の姿が全く見えないことなどもこの段階で描写してもいいかもしれません。村人は温かく迎えてくれるもののどこか落ち着きなく変にテンションが高い様子であるなど軽い伏線を張ってもいいでしょう。また、この村には後述しますが第二部で命からがら脱出した魔術師の生き残りが姿を変えて生きており、悲願成就の機会を窺いながらボケた振り……というよりは気の狂った振りをし、老人の姿で生活しています。歓迎の宴会に乱入させてもいいかもしれません。
 ここで探索者たちは村人たちから村のことについてあれこれと聞くことでしょう(その様子がなければまたの機会でも可)。以下にこの時点で探索者たちが聞きそうなことを挙げておきますので、参考にしてください。
○村を覆う柵について
――戦国時代以来ここに砦が建てられており、その砦を利用してこの村が出来上がってきたのだと説明する。〈心理学〉や〈歴史〉でそれがでたらめであることがわかる。
○村の一角が柵で覆われていることについて
――民間信仰であの場所は宗教上重要な場所となっており、そのために宗教関係者以外はたとえ村長でも入れないということになっていると答える。突っ込まれても詳しくは知らないと答える。
○僧兵らの不躾な態度について
――トンネルがふさがっているから苛立っているようだ〜と情報を出す。詳しく聞こうにも村の外へは出ないからわからないと答える。
○トンネルについて
――自分たちはもともとトンネルの向こうに住んでいたが、ダム計画によってここへと移住したこと、そのため宗教上大事な場所があちらにあるため僧兵たちがしばしばトンネルの向こう側に行っていることを伝えます。
○女性がいないことについて
――昔からの風習で女性はみな家に閉じこもっていると答える。

3.5.使えるかもしれない情報
 なんかの伏線に使おうかなと思って犬鳴村伝説の中からめぼしいものをピックアップしてアレンジないしコピペしたものです。お納めください。
参考サイト:「蛙夢」様 http://keroyume.exblog.jp/6455808
電話ボックス
旧トンネルの近くに電話ボックスがあります。
そこには様々な都市伝説が…
1.ロープでぐるぐる巻きにされていた時期があった
2.0123456789に電話を掛けると、この電話ボックスに繋がる。
3.この電話ボックスから”帰るコール”をすると、家に帰れなくなる。
4.ここの電話からは何故か110番通報しても警察に繋がらない。
5.この電話ボックスで幽霊が電話を掛けていた。
6.中に入った人が神隠しにあうことがある。
錯乱した学生
かなり昔、九州産業大学の男子学生2人が、深夜の犬鳴峠へ肝試しに行った。
そこには幽霊がでるという地元では有名な洞穴があり、1人が車に残り、もう1人が洞穴へと入って行った。
洞穴に入っていた男子学生は、30分後に何事もなく車に戻ったが、車に残された方の男子学生は錯乱状態になっていた。
錯乱した男子学生は、社会復帰をする事なく、今も精神病院にいるとか。
犬鳴の由来
犬鳴山で猟師が犬を連れて猟をしていた。犬が激しく鳴き続けるので獲物がとれぬと、この犬を鉄砲で撃ったそうな。ふと見上げると1丈5、6尺(約5m)程の大蛇が姿をあらわした。犬が鳴いて危険を知らせたものを、誤って撃ったことに猟師は後悔した。猟師は鉄砲を捨ててお坊さんになり、この山に犬の塔を立てたそうな。それから犬鳴という。
現地における事件
犬鳴峠には走り屋などがよく出没するし、犬鳴村自体も周辺で殺人事件が起きていたりと悪評が聞かれる。現場周辺では人気が少ないためにそうした場所として選ばれているらしい。

4.睡眠~第一次犬鳴トンネル捜索へ
 宴会は話が尽きたか長くなりそうなら適当に話を切って終わらせましょう。宴会後僧兵らに話を聞こうとしても、大事な会議中だから明日以降また来てくれと突っ返されます。寝床に関しては村長当たりの家が大きかったことにしてそこに寝かせるということで。
 眠りについた探索者たちにはまずPOW×5ロールを要求します。成功した探索者は夢の中でドリームランドの光景を垣間見ます。

あなたは夢を見ているようで、まどろみの中、あなたは宙に浮いている感覚を覚えます。ふと下を見やると、大小様々な影のようなものがチラホラと見えます。(詳しく見る場合は目星)また、地表の一角に、何やらもやがかかっているのが見えます。(同上)

 前者の目星成功で適当なドリームランドのクリーチャーを遠めに見てしまったということで0/1くらいのSANチェックをさせましょう。後者はもやの先にトンネルのようなものを垣間見ます。また、この夢を見た探索者はもれなくクトゥルフ神話技能を2%差し上げましょう。
 朝目覚めると、僧兵に連れられてやって来た村人が探索者の元を訪れ、犬鳴トンネルへ行った村人が帰ってこないので、トンネルの様子がどうなっているのか見て来て報告してほしいと頼みにやってきます。当然嘘ですが、トンネルの先に行くためには深きものどもの協力はかなり強力な手助けになるでしょう。犬鳴トンネルまでの道のりなども教えてくれます(案内はしません)。
 村人たちは日の出とともに村の外にある田畑で農作業をしています。そのため、日中は老人と子供以外の村人とは話ができません。農作業を監督する僧兵の姿も見えます。彼らは指図するだけで自分たちから働こうとはしません。
 探索者達は各々の目的である犬鳴トンネルへと向かうなら、森の中では霧が出ており、山中ということもあって慎重に歩いていくと一時間弱で到着します。以下は到着時の描写です。

森のなかの小道を歩いてしばらく行くと……霧と自然の中で、唐突に人工物が現れた。コンクリート張りのトンネルである。トンネル脇には古ぼけた看板の掛けられており、その付近には電話ボックスや、乗り捨てられた年代物のセダンなどがある。壁には成長したツタ類がびっしりと張り付いており、ひび割れなどの経年劣化も見られ、このトンネルがかなり古くから存在していることを示している。

 ドリームランドの夢を見ていた探索者は、〈アイデア〉成功でトンネルの見た目が夢の中のトンネルと似通っていることに気が付けて良いでしょう。犬鳴隧道に向かった探索者達は、トンネル付近の電話ボックスの中などで若い女性が一人倒れているのを発見します。彼女は犬鳴峠に肝試しに来た二組のカップルのうちの一人です(ハンドアウトの救出対象ではない方)。彼女はトンネル内でガストに襲われながら命からがら逃げ、電話ボックスの緊急ダイアルを試したものの何故か繋がらず、そのまま意識を失っていました。彼女は〈応急手当〉か〈医学〉に成功すれば意識を取り戻し、多少の会話ができるようになります。肝試しと称してトンネル内に車で入ったところ、化物に襲われてまずドライバーの男が死に、もう一人の男も逃げる際に追いつかれて食い殺されたこと、車が壊され真っ暗な中で出口がわからなくなったので、友人の女性(ハンドアウトの救出対象です)とは反対方向に逃げたということなどの情報を得られるでしょう。トンネルの中に入るかどうかは自由ですが、入っても入らなくてもここで一度ガストと遭遇させるべきでしょう。KPはルールブックのガストのデータを参考に描写や行動を決めてください。太陽光線が苦手なので、トンネル内に入らないようならトンネル外には出てこない描写も挟んだ方が良いと思います。
犬鳴村看板.png

5.一時退却~情報収集へ
 第一次捜索でそのまま戦闘に入りガストを張り倒すことに成功すれば、そのままエンディングに突入できます(倒せなくもないですが、死人が出る可能性は高いです)。無謀にも戦いを挑むのであれば装甲の存在や空ぶった際にでもワンパンマンの威力を見せつけ、撤退を促した方が良いでしょう。
犬鳴村には普通の家をそのまま使った診療所があります。一人の男性医師が運営しており、犬鳴村ではそこが唯一の治療機関です。彼は元産婦人科医でしたが、深きものの罠にはまりこの村に軟禁されました。連れ帰ってきた女の様子を見ると、衰弱しているものの外傷が見られないことと診断し、しばらく安静にしていればじきに目を覚ますだろうと探索者たちに伝えます。診療所でも話を聞くこともできますが、彼は犬鳴村に“移住”してきた人間であるため、この村の歴史に関しては普通の村人とに比べてわずかな知識しか持ち合わせておりません。
 しかし、彼はこの村の秘密をよく知っています。なぜなら、彼は人間だけではなく、深きもの共の診療も行っているからです。診療所の中を何か変わったものがないかと見渡せば、人間用の医薬品に混じって、何やら見慣れない薬品が置かれていることに気づけるでしょう。これらはディープワン用の薬品です。彼は唯一の医者として村人の中では比較的厚遇(農作業に駆り出されないなど)を受けていますが、医者の強靭な精神も徐々にすり減らされています。同じような経緯で“移住”してきた子供連れの旅好き夫婦とは仲が良いことでしょう。
 トンネルから帰ってきた段階ではまだ村人たちの農作業は終わっておらず、情報収集の対象として話を聞けるのは気の狂った老人や村長、医者、村を駆け回る少年少女などが対象になるでしょう。老人や医者は見た目からして暗い雰囲気をまとっており、特にこれといったことは喋ろうとはしません。しかし、探索者が筆談を持ちかけるなど機転を利かせたなら、辺りを窺う素振りを見せつつ多少の情報は出してもいいと思います。
 少年少女は無邪気に明るい様子で、子供たちの知る限りの情報を探索者に喋ってくれるでしょう。曰く、母親は病気で家の一室でずっと寝ている、うつるといけないということで会ったこともない。曰く、外からこの村にやって来たけどお母さんがその病気にかかって村の奥に入院している。曰く、気の狂った老人の家には変な絵日記があって、見たこともないいろんな生き物の絵が書かれてあった。曰く、僧兵は臭い……等々。
※なお、彼らは第三部で人間の心を持つ混血種となり、少女のうち一人は純粋な人間なため村の奥に入ります。
 気の狂った老人は第二部からの生き残り魔術師です。最初はハスター信者にしようかとも思ったんですが、ありきたり過ぎかなと思う方は自由に設定を変えてください。シナリオフック上はどんな神格でも使えるようにしておこうと思います(ただし、召喚のために生贄が必要という設定が追加されます)。彼はこのまま村人たちと深きものどもの間で反乱が起きればその死体を生贄として自身の神格召喚の儀式が行えるため、探索者に対しては非協力的です。狂った振りをして探索者の質問はのらりくらりとかわすでしょう。探索者たちが子供たちから絵日記の情報を手に入れていれば、部屋内を〈目星〉で見渡せば枕元に絵日記が置かれていることに気がつきます。これをやや強引に借りていけば、さしもの魔術師も最終的には諦めます。この村が将来的に抱えるであろう問題を察知しており、焦ることもないだろうと考えているからです。しかし、場合によっては《支配》の呪文を探索者の一人にかけて自分の意思とは関係なく絵日記の強引な持ち出しに反対させ、最後まで抵抗するかもしれません。
 絵日記の中にはドリームランドやドリームランドに生息する神話生物の情報が載っています。〈図書館〉に成功すれば斜め読みで1時間、じっくり読む場合は4時間かけて目的のガストの項目を見つけることができ、斜め読みの場合3%、じっくり読む場合は7%のクトゥルフ神話技能を獲得します。内容としてはルールブックの情報を参考に出し、太陽光に弱いという弱点を必ず伝えましょう。場合によっては《古き印》の呪文を与えてもいいかもしれません。
 僧兵に話を付ければ、必要なものを可能な限り提供してくれます。日本軍が残していった爆薬の一部のうち保管していたもの、場合によっては38式歩兵銃などもあるかもしれません。また、鏡なども貴重品ですが手に入るでしょう。場合によっては適当なマジックアイテムも渡してくれるかもしれません。

 幾度となく記事内容の見通しが外れていますが、私の見通しはことごとく甘いんでしょうね?ファイナンシャルプランナーや会計課には向いていない人間だと思います。来週はガスト対策会議~第二次捜索出撃編から始めていこうと思います。可能なら第二部のシナリオ概要構想まで行きたい。記事を最後まで読んでいただけた方はなんとなくわかるかと思いますが、シナリオとして書いていたのは第一部の6割くらいで、後半~終盤にかけては資料や設定などは細かく作成していませんでした。記事を書いていて思いついたものは盛り込むようにはしていきますが、これを母体にシナリオを作ろうとする場合はそのあたりをよく考える必要があると思います。
 では、今週の記事はこれでおしまいです。また来週お会いしましょう。

 今度インスマス襲撃したさにこれを買ってみようかなと思案中。もちろん紹介記事も書きますので購入を考えている方はお楽しみに。

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