秘密持ちシナリオ『悪魔のヒト探し』公開

 一日遅れてしまいましたが、短~中編秘密持ちシナリオ『悪魔のヒト探し』公開です。今回もまた私の自作ではなく、身内卓の一人(Bazz sawの製作者)が書いたものとなります。身内でやった際は大変波乱万丈なセッションとなり、シナリオの性質上もアドリブ力が結構必要となるシナリオだと思われます。そのため、次週はキーパリングサポート記事と題してPL4として参加した私の視点から(何かコメントがもらえれば製作者=KP視点からも)、このシナリオのキーパリングに役立つ情報を書こうかなと思っています。
 さて、お持たせしましたが、ここからはシナリオ本編となります。


『悪魔のヒト探し』

1.はじめに
 このシナリオは4人用の秘密持ち不思議空間系クローズドシナリオです。プレイ時間は長くて3~4時間、早ければ一時間以内に終了します。シナリオの性質上、個別の導入が長引く可能性があることに留意してください。

2.シナリオ概要

 目が覚めると不思議な空間に立っていた4人の探索者。3人はニャルラトホテプの力を授けられ、残る1人は人間のままであるものの、ニャルラトホテプの力を封じる玉が与えられます。それぞれの小部屋を出た先の大部屋に落ちている紙に書かれているとおり「仲間はずれ」、即ち人間のPCを鎖につなぐことができれば全員生還できることになります。

3.秘密の説明及び導入に関して

 このシナリオにおける秘密は「ニャルラトホテプの力が与えられた」「第六感の力を与えられた」という他に、それぞれ異なる個室において個別の導入が行われ、そこで手に入れた情報も事実上の秘密として扱われることになります。全員が個室を出るところまでが導入となりますが、導入中の部屋での出来事や部屋のギミックに関しては4.部屋の説明を参照してください。

PC1~3導入
白い部屋に立っている。
ついさっきまで自分がどこに居たか、何をしていたのか思い出せない。
服は着ているが、持っていたはずのものは何もない。
辺りを見渡すと、部屋の一角に立っている何かに目が留まる。
それは人の形をしているが、目や耳などの顔を構成する要素のない、うごめく黒い触手であった。このおぞましい存在を目の当たりにした探索者は【1/1d4のSANチェック】。
こちらに気付いたその黒い何かはベチャリベチャリと音を立てて近づいてくる。それが歩を進めるにつれ、身体から液体が滴り、白い床を黒く染めていく。
無貌の顔が縦に裂け、奥から大きな目が現れる。黒い邪悪なその眼に睨みつけられた瞬間、自身の身体がこわばり、全身の筋肉が硬直する。
そのおぞましい存在は不敵な嘲笑を浮かべながら、探索者の顔に手を伸ばす。
顔に触れたその触手から漆黒の流体が自分の口に流れ込むと、溺れるような感覚と共に意識が混濁していく。
目を覚ました貴方は、自分が意識を失っていたことに気が付くだろう。自分の身体に異常は見られないが、貴方は無意識に自分の身に起きた変化を感じ取ることができる。


秘密【這い寄る混沌】:貴方はニャルラトホテプからその力を分け与えられたことを自覚する。貴方の使用する技能は成功率が任意の値となり、その姿を自在に変えることができる。

PC4導入
白い部屋に立っている。
ついさっきまで自分がどこに居たか、何をしていたのか思い出せない。
服は着ているが、持っていたはずのものは何もない。
辺りを見渡すと、部屋の一角に立っている何かに目が留まる。
それは人の形をしているが、目や耳などの顔を構成する要素のない、うごめく黒い触手であった。このおぞましい存在を目の当たりにした探索者は【1/1d4のSANチェック】。
こちらに気付いたその黒い何かはベチャリベチャリと音を立てて近づいてくる。それが歩を進めるにつれ、身体から液体が滴り、白い床を黒く染めていく。
無貌の顔が縦に裂け、奥から大きな目が現れる。黒い邪悪なその眼に睨みつけられた瞬間、自身の身体がこわばり、全身の筋肉が硬直する。
そのおぞましい存在は不敵な嘲笑を浮かべながら、探索者の額に触手を伸ばす。
額の触れられた部分から鋭い頭痛が走ると、強烈な目眩の感覚と共に意識が混濁していく。
目を覚ました貴方は、自分が意識を失っていたことに気が付くだろう。自分の身体に異常は見られないが、貴方は無意識に自分の身に起きた変化を感じ取ることができる。


秘密【第六感】:あなたは自分に特別な力が芽生えたことを自覚する。鋭い頭痛と共に脳裏に思考がよぎる。初期状態だと使用回数は5回だが、SANチェックの度に使用回数が一回ずつ増える。これはあらゆるものや事象に対して発動させ、大まかな情報を得ることができるし、〈アイデア〉ロールのように行動の指針を決める手助けとしても使うことができる。


 各々の秘密付与処理後、自分のいる部屋の探索を終えて外に出るまでが導入です。基本的にほぼ同時に外へと出ることになりますが、あまりに時間をかけるようでしたらタイミングをずらすなどして調節してください。

4.部屋の説明
■中央の部屋
探索者達がそれぞれ居る部屋と扉を一枚隔てて存在している。部屋の中央には天井の穴から伸びている鎖が4本垂れ下がっており、その先には手錠のような枷が付いている。鎖は四角を描くように等間隔に垂れ下がり、その下の床に◆紙が二枚落ちているのが遠目にわかる。PC2とPC4の部屋の扉側の壁には◆時計が天井近くにかけられている。時計は長針だけが付いており、探索者が中央の部屋で合流した段階だと針は12時を指している。
◆一枚目の紙
内容は以下。誰にでも読める言語で書かれています。
『やぁ、いきなりだけどちょっとしたゲームをしようと思うんだ。
ゲーム内容はいたって簡単。
君達の中から1人、生贄としてこの鎖に繋げばゲームは終了だ。
そうしたらとりあえずここから出してあげよう。この部屋から元の場所に、君たちが生きていた元の世界に戻してあげる。
誰を鎖に繋ぐかは皆で相談して決まればいい。
どうだい、言った通り簡単だろう?

あぁそういえば…君たちの中に一人だけ、仲間はずれがいるんだった。
見事その仲間はずれを見つけ出し、この部屋の中央にある鎖に拘束したら…
ゲームクリアだ。
ささいなご褒美をあげよう。

Ps.言い忘れてたけど、四つの部屋を調べれば、誰が仲間はずれかはわかると思うよ。
わざわざ一つずつ用意してあげたんだ、優しいだろう?』

◆二枚目の紙
内容は以下。この紙の内容は這い寄る混沌の秘密を持つものにのみ理解できる。目で見る分には意味不明な文字列が羅列されているだけに見える。
『誰か一人をさっさと鎖につるせばこのゲームは終了。
君の元の世界に帰れるし、もちろん体も元の状態に戻してあげよう。
でも生贄は生きてないとだめだよ。なんたって生きている贄なんだからね。
あと、この部屋の床の中央から時計を正面に「前に3歩、右に5歩」歩いた所の床に拳銃を隠しておいたから。
人間を脅すならこれで十分じゃないかな?

Ps.もし君があの鎖に吊るされたら…逃げられると思わないほうがいい』

この紙を見た這い寄る混沌の秘密を持つPCは、KP任意のタイミングで以下の描写を挟む。

今までに見たこともない歪なその文字を、貴方は読むことができることに気が付く。単語や文脈を理解していないにも関わらず、その文章の意味が頭に直接入ってくるのだ。

この奇妙な体験をした探索者は【1/1d3のSANチェック】。

◆時計
探索者達が一部屋を調べるごとに長針が10分ずつ進む。全部調べ終わって40分になった後は後述する「力の証明」の部屋に登場する怪物が再びリスポーンし、中から出てこようと壁ドンを繰り返す。探索者達が各部屋の探索を終え、部屋から聞こえる爆音をBGMに話し合いをしている最中、任意のタイミングで50分に針を進め、怪物を中央の部屋へと進撃させること。これに関しては■力の証明をご覧ください。

■真の姿
PC1がこの部屋にいます。この部屋には映ったものの真の姿を映す鏡があります。鏡は中央にポツンと置かれており、普通の黒い布に覆われています。形状は姿鏡のようになっており、この部屋で目覚めた探索者が自分自身を見れば、漆黒の触手がうごめく異形の姿を目撃することでしょう【0/1d4のSANチェック】。

■力の証明
PC2がこの部屋にいます。探索者が目覚めた途端、この世のものとは思えない程の巨大な怪物が襲い掛かる(不意打ち、1d100以上推奨)。怪物の姿は大きければ神話生物でも何でもよいが、ニャルラトホテプを髣髴とさせるもの(黒い触手など)は避け、這い寄る混沌の力を得ているPC以外には殺せない仕様(通常攻撃無効など)にすること。怪物は部屋内でめちゃくちゃに暴れまわり、壁中に傷を付ける。この音とPCとの戦闘の模様は、振動や音となって外の部屋に漏れ出すことはないが、戦闘の跡(壁の傷やPCの服に付着した怪物の血や肉片)は怪物を倒したとしても残る。
時計の針が50分を指すと、再び出現した怪物がこの部屋の壁を破壊し、中央の部屋へと進撃して探索者たちを攻撃します。この際、這い寄る混沌の秘密を持つPC全員を殺すまで怪物はPC4を攻撃しません(ニャルラトホテプの力が放つ邪悪な波動から自分の身の危険を感じ、攻撃しているのです)。

■神の智慧
PC3がこの部屋にいます。この部屋で目覚めた探索者は自分の側に落ちている5枚の紙を見つける。4枚は自分のものを含む◆キャラクターシートであり、残る1枚はこのクローズド空間の◆マップが描かれている。
◆キャラクターシート
自分のものは備考欄に
「貴方は邪神から力を分け与えられ、「神の身体」を授かりました。
任意のタイミングで、自身の身体を自由に変化変性することができます。」

の文章が追加され、ニャルラトホテプの力により全技能の成功値が99上昇している。
他の3人のキャラクターシートはニャルラトホテプの力による上昇値は見えず、各備考欄の追加記述部分が■■■のように塗りつぶされて見えなくなっている。なお、この■の数は上記の「貴方は~」の文章の文字数と同数になっているが、第六感の秘密を持っているPCのキャラクターシートのみ文字数が異なっている。各キャラクターシートの■■…の例に関しては以下の通り。
秘密【這い寄る混沌】用
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
秘密【第六感】用
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
※ちなみに、第六感用の文章は以下となります。
「貴方は生身の人間ですが、邪神の手により「第六感」の力を授けられました。
任意のタイミングで、様々な事象に対する大まかな情報やヒントを得ることができます。」

◆マップ
各部屋の位置と部屋の名前がわかるようになっている。
悪魔のヒト探しマップ.png

■黒き瞳
PC4がこの部屋にいます。部屋の中央に紐で口が閉じられた麻袋が落ちている。PC4からは普通の水晶玉に見えるが、その正体はニャルラトホテプの眼球である。当然ながらいかなる手段によっても破壊することはできない。眼球が這い寄る混沌の秘密を持つPCを見つめた場合、以下の描写を読み上げる。

水晶玉と言って探索者が麻袋から取り出したそれは、巨大な「眼球」だった。黒く邪悪なその眼に睨みつけられた瞬間、体の奥底にある黒い何かが萎縮していくのがわかる。見覚えのあるその眼にあなたは恐怖を感じ【1/1d3のSANチェック】。
※注意
この眼に見つめられている間は、ニャルラトホテプに授かった能力が全て使えなくなり、体の一部を変化させていたリ分離していた場合、それらはこの目に見詰められた瞬間黒い液体となって飛び散ります。また、ニャルラトホテプの力によってこの麻袋は封じることはできません。袋を覆うなどして封じようとした場合でも、周りに黒い液体となって飛び散るだけです。瞬間〈クトゥルフ神話〉に成功すれば、その眼がニャルラトホテプそのものであると理解してしまい【1/1d4のSANチェック】となります。

5.結末
50分以降(以前の可能性もありますが)誰かしらが枷に繋がれると、枷に繋がれた探索者と共に鎖が上昇していきます。やがて鎖の伸びている穴まで繋がれている探索者は到達し、穴の中へと人間の身体が飲み込まれていきます。しばらくした後、穴の内部からPCの悲鳴と共に血液が流れ落ちることでしょう。このようなショッキングな光景を見ていた探索者は【0/1d3のSANチェック】。もし這い寄る混沌の秘密を持つ探索者が鎖に繋がれていた場合、繋がれたその時点からニャルラトホテプの力を失うことになります。
鎖が上昇しきると、鎖の伸びていった穴から黒い液体が大量に噴出し、中央の部屋を満たしていきます。残っている探索者はその波にのまれ、やがて意識を失うことでしょう。

6.エンディング

 見事人間(【第六感】の秘密を持つPC)のみを吊るすことができたなら、最終的に無事全員生還することができ、トゥルーエンドとなります。もし人間以外が吊るされてしまい、完全に肉体が上昇しきってしまったなら、そのPCはロストとなりますが、これはノーマルエンドです。最後まで吊るすPCを選べなかった場合や話が平行線のまま収集が付かなくなった場合、不意に部屋を満たし始める黒い液体に飲まれてそのまま全員ロストすることになり、バッドエンドです。どちらの場合も結末の描写は基本的に同じとなります。
 意識を失った後は現実世界の山中で目を覚ますことになりますが、異空間で手に入れていた力はすべて失われています。トゥルーエンドなら探索者達全員が近くで目を覚ますことになりますが、ノーマルエンドならロストした探索者の肉片を見つけることになり【1/1d4+1のSANチェック】。
以下はトゥルーエンドの描写例です。肉塊と化したPCが居た場合、描写を適宜差し替えてください。
※ノーマルエンド版描写の差分も追記で示しておきました。

肌に伝わる柔らかな感触と土の香り、さきほどまでいた白く無機質な空間とは異なる場所で、探索者達は目を覚ます。
どうやらここは見知らぬ森の中のようだ。
虚ろな意識で辺りを見渡すと、〔生存した這い寄る混沌の秘密を持つPCの名前〕が同じように倒れていることがわかる。
そして、その様子を伺うように立っている一人の人影に気がつく。
意識が戻ったことに気づいたかのように、探索者の顔を覗き込んだその影の主は、〔這い寄る混沌の秘密を持っていたPC3人〕の人相を合成したような、歪で、不気味な顔をしていた。
歪んだ口を開き、男とも女とも取れない無機質な声で話し始める。
「ようやくお目覚めかい?
全く、君達はすぐ壊れちゃうもんだから遊ぼうにも加減がわからなくて面倒だな…
まぁ、今回はなかなか楽しかったよ。
君達にとっても面白かったんじゃないかな?
悪魔の「フリ」にしちゃあ上出来だ。
じゃあ、約束通り帰して貰おうか。」
そう話すと、〔這い寄る混沌の秘密を持つPC〕の顔に手を伸ばします。体中の細胞から何かが失われていくような感覚と共に、自分の顔の穴という穴からその両手へと、妖しく蠢く漆黒の流体が吸い込まれていく、冒涜的な光景を間近で見ることになる。
彼はその作業を終えると、森の奥へとゆっくりと歩きだす。
「あぁ、そういえばまだご褒美をあげてなかったね。忘れてたよ。
僕からすればほんの些細なものだけど、君たちにとっては重要なものらしいからね。ま、大切にしてくれよ。
ゲームクリア、おめでとう。」
不敵な笑みを浮かべながらそう言うと、去り際に後ろ手で大きな物体を投げ込んでいく。
横になっている探索者たちが見たものは、自分たちが鎖につないで吊し上げた、〔PC4の名前〕の姿であった。


※ノーマルエンド版差分(彼はその作業を終えると、森の奥へとゆっくりと歩きだす~までは同じです)
「あぁ、そういえばコレを返しておこう。忘れてたよ。
だいぶ形も変わっちゃったし、僕にはもういらないからさ。
ゲームオーバー、残念だったね。」
不敵な笑みを浮かべながらそう言うと、去り際に後ろ手で大きな物体を投げ込んでいく。
横になっている探索者たちが見たものは、自分たちが鎖につないで吊し上げたはずの、〔探索者の名前〕の肉片であった【1/1d4+1のSANチェック】。
7.成功報酬
SAN値回復
トゥルー…1d10+1d6
ノーマル…1d10

〈クトゥルフ神話〉獲得
力の証明における怪物を見た…2%
這い寄る混沌の秘密を持って生還した…5%
第六感を使用し、這い寄る混沌の力を目撃して生還した…3%

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