シナリオ『Bazz SAW』公開

 公開すると言いつつものびのびとなっていた短編クローズドシナリオ『Bazz SAW』、とうとう公開となります。今回公開するシナリオは私が執筆したものではなく、身内卓のPLが作成したシナリオを私が代理投稿という形で公開するものです。そういうわけで、記事の最後に執筆者からのコメントも頂いておりますので、よろしければそちらもご覧ください。前置きはほどほどにして、さっそく本編に入っていきたいと思います。


『Bazz SAW』

1.はじめに
 このシナリオはクトゥルフ神話TRPGのシナリオです。戦闘なし、探索オンリーの不思議空間系クローズドシナリオとなっております。技能を振る機会はほとんどなく、基本的に探索者の行動宣言とリアルアイデアで不思議空間から脱出することを主眼とした、半ば脱出ゲームのような構成です。比較的高難易度のシナリオとなっており、後遺症を負ったり死亡する可能性がかなり高い点にご注意ください。プレーヤー人数は二人固定です。

2.シナリオ概要
 ニャルラトホテプの誘いにより、眠りについていた3人の哀れな犠牲者が不思議空間に転送されます。一人は口を縫われた状態で、残りの二人は足枷につながれた状態で目を覚まします。部屋の中にある鍵を手に入れ、足枷を外して外に出ることができればシナリオクリアです。なお、ニャルラトホテプは事態の推移を特等席で観察しています。

3.探索者の導入
 探索者は二人とも眠りについた後同時に目を覚ますという点では同じですが、位置によって導入が変化します。便宜上風呂側に居るPCをPC1,トイレ側に居るPCをPC2として、個別の導入を以下に記します。
【PC1導入】
 まずPC1には、初めにPOW18との対抗ロールを行ってもらいます。失敗した場合、息苦しさから無意識に起き上がり、PC2の導入と同様の導入になりますが、この場合でもカセットの袋には無条件で気づくことができます。なお、導入終了後に浴槽を調べようとしても銃声のイベント中に液体は流れてしまい、ほとんど浴槽の中には残っていません。
 成功した場合、自分が生暖かいものに包まれて息苦しくなってきており、どうやら水の張られたバスタブの中に居るようだということに気が付きます。起き上がると宣言すればその拍子に栓が抜け、ごぼごぼと音を立てて薄紫色の液体が流れていきます。ここでPC1には〈聞き耳〉を振らせ、成功するとバスタブの紫色の液体が流れる中、チャリチャリ…という音が排水溝から聞こえたことに気が付きます。失敗では何も聞こえません。 バスタブから起き上がると、今自分のいる空間は見覚えがなく非常に広いバスルームのようで、また部屋の中央に人が倒れている様子が目に入ります。自分が寝ている間に別の場所に移動しているという事実に恐怖を感じた探索者は【0/1のSANチェック】。また、バスタブから起き上がった際、バスタブの中に防水の袋に入ったカセットがあることに気が付けます(このカセットについては【中央で倒れている人物について】で後述)。
【PC2導入】
 PC2はパァンという銃声と同時に目を覚まし、ほぼ同時に部屋の中央でドサッと誰かが倒れる音を聞きます。辺りは非常に広いバスルームのようで、部屋の中央ではうつ伏せになった人が倒れており、血がじんわりとにじみ始めている状況を目にします。異空間で目を覚まし、人が撃たれて倒れているらしい様子に衝撃を受けた探索者は【0/1d4のSANチェック】。

 それぞれの探索者が導入で得た情報は、各々にしかわかりません。二人の個別導入を終えたら部屋の反対側の壁沿いに足枷につながれたお互いの姿があることを説明し、導入の締めくくりに部屋の描写を行います。
 部屋は10m四方ほどで前面タイル張りの部屋であり、所々タイルがはがれていたり、ひびわれており老朽化が進んでいます。天井には蛍光灯が付いておりますが、部屋全体を照らすには光量が足りず、部屋は薄暗いです。PC1側の壁沿いにはバスタブ、PC2側の壁沿いには水洗トイレがあり、PC1側から見て左側の壁に木製で不釣り合いなほど大きな閂(かんぬき)がされている扉があり、右側の壁には標準的なバスルームの扉があり、赤いスプレーでEXITと書かれています。

4.部屋の情報
【足枷について】 
 足枷の鎖は死体を挟んでそれぞれ扉がある壁とは別の壁面に繋がれています。無理矢理外そうとしてもびくともせず、おおよそ人力で足枷から逃れることは不可能であることは理解できるでしょう。足枷の可動域は、中央の死体にはギリギリ手が届かず左右の扉にもギリギリ届かないが、閂には二人とも手が届く程度です。足枷を調べれば、鍵穴が付いていることがわかります。〈鍵開け〉に成功すれば鍵を開けることができますが、〈鍵開け〉の技能値が非常に高いPCが居る場合(具体的には8割以上)、何かしら理由を付けて(全く道具がないなど)素の成功率を8割以下に抑えておくべきでしょう。また、この鎖はステンレス製であるため、【バスタブの後ろの空間について】などで後述する試薬等を用いて酸塩基反応で溶かすことはできません。

【閂の付いた扉について】
 扉の奥には捕らわれたもう一人の一般人、トニーが居ます。彼は口を縫い合わされ、言葉を発することができない状態です。探索者達とほぼ同時に目覚めましたが、しばらく混乱して何もできずあたふたしています。探索者達が[カセット①]を再生し終えたタイミングで背後の丸鋸(bazzsaw)が起動してトニーのほうに迫ってきたため、その点で我に返り扉を思い切り叩き始めるのです。すぐ後ろに迫っている丸鋸の音に遮られ、探索者の声はトニーのほうには届きません。彼を助けるためには探索者達が協力して閂を開ける必要があり、彼を助けることに成功すると、彼の首に提げられた鍵を使って全員で脱出することができます。
 この丸鋸はシナリオの進行度に合わせて迫ってきます。シナリオ序盤には1/4、中盤で1/2…といった形で探索者に〈聞き耳〉を振らせ、成功した際にはドンドンと扉をめちゃくちゃに叩く音に紛れて、閂のされた扉の先からギュイーンという何かが高速で回転する機械音が迫ってきているということがわかります。

【EXITと書かれた扉について】
 この扉から外に出られれば、シナリオ終了です。探索者の位置からは鍵の有無は確認できませんが、基本的には施錠されていません。探索者が〈鍵開け〉などを利用して強引に足枷の鍵を開けた場合のみ、扉には足枷と同じ鍵があったことにします。3連続でPC1、PC2、扉の〈鍵開け〉に成功したならば、その幸運に免じて脱出させましょう。

【中央で倒れている人物について】
 ニャルラトホテプです。トニーの振りをして部屋の中央に横たわり、特等席から探索者達の様子を窺っています。呼びかけられても、何かをぶつけられても、基本的に反応は返しません。探索者達には、見た目から男性であるということがわかります。〈目星〉に成功すれば、その人物が若い男であるということ、腹部からじんわりと血が広がり続けていること、PC1側の手に小型のカセットプレイヤーが握られていることなどに気が付けます。服を脱ぎ、それに引っ掛けて取ろうとするなど工夫すれば、技能使用なしで取れたことにしてよいですが、PC1がただ単に手を伸ばしてこれを取ろうとする場合、体格及び柔軟性が関係するためSIZ*5のロールを行います。成功すれば、上手く手を伸ばして取ることに成功します。失敗した場合でも数分間の格闘の末取ることに成功しますが、足枷と肌が接していた部分の皮がめくれて血が滲み出してしまい、耐久力を1点減少させます。PC1が導入で入手したカセットには①と書かれており、このプレーヤーを使って再生することができます。
[カセット①]
やあ【PC1】、ゲームをしよう。見ればわかると思うが、ここから出ればクリアだ。優秀な【PC1】には簡単だろうから、一つルールを設けよう。
そこに居る彼、名前はトニー・ウィルソン25歳、街の銀行で働いている男だ。
品行方正、礼儀正しく勤勉で同僚からの信頼も厚い。そういえば来月の末に6年間付き合った彼女と籍を入れるらしいね。そこからは顔が見えないだろうが、トニーはなかなかの好青年だ。

だが、そんなトニーに残された時間は少ない。
そうだな…今からもう間も無く彼は死ぬ事になるだろう。
その少ない時間を制限時間としよう。
トニーが死ぬ前に外に出られなければゲームオーバー、おむかえがくるぞ~。


ついでと言っちゃあなんだが、余裕があったらトニーを無事彼女の元へと帰してやってくれないか?
なぁに、すでに少し傷をつけてしまったが命に別条はない。
すぐ病院に連れて行けば問題ないだろう。

優秀な【PC1】には余計なお節介かもしれないけど、もしヒントが欲しいなら部屋の向かいにいる【PC2】に聞いてみるといい。
ヒントは【PC2】がすでに持っているはずだからね。


 なお、このカセットが鳴りやんだと同時に、荒い鼻息と得体の知れない唸り声が閂のしてある扉の向こうから聞こえ、扉がドンッドンッと断続的に叩かれ始めます。見たこともない空間に閉じ込められ、扉の向こうから姿の見えない何かがこちらの部屋に押し入ろうとしているという状況に恐怖心を感じた探索者達は【0/1d2のSANチェック】です。〈アイデア〉成功で、扉はそれほど頑丈ではないためこのままでは遠からず扉が壊れてしまうだろうという考えに至ります。

【PC2のポケットの中について】
 [カセット①]の内容を受けてPC2が自分の衣服を調べると、ポケットの中に②と書かれたカセットが見つかります。服を着ないで寝るなどと抜かしたPCが居る場合には、新品のブリーフを穿かせてその中にでも入れておきましょう。カセットは〈投擲〉でPC1に渡すことになりますが、ファンブルをしない限り基本的にカセットは相手に渡すことができます。もしファンブルを出してしまった場合、真ん中の男に引っかかってしまう・壁に跳ね返って両者ともに手の届かないところに行ってしまうなどとしてそのカセットだけ渡さないでおきましょう。内容は以下となります。
[カセット②]
やぁ【PC2】よく眠れたかい?どうした顔色が悪いじゃないかおいおい大丈夫かよ頼りないなぁ【PC2】は…。
そんなんじゃ五体満足でここから出れないぞ?

なに?ヒントだって?
まったくしょうがないなあ【PC2】は。
足枷の鍵は全部で三つ用意した。
三つとも同じ鍵で、【PC1】と【PC2】の足かせも同じものだ。
隠された三つのうちどれか一つでも見つけられればここから出られるけど、【PC2】にはちょ~っと難しいかな…。

行き詰ったときは部屋を暗くして心を落ち着けてみれば何かわかるんじゃないかな?
まあ【PC2】には無理だろうけどね。


【PC2の背後にあるスイッチについて】
 PC2が辺りに〈目星〉を振る、あるいはカセットの内容を受けて部屋の電気のスイッチを探そうとすれば、背後にスイッチがあることに気が付きます。スイッチを押せば電気が消え、その状態でPC1が周辺に〈目星〉することによってバスタブの後ろから光が漏れていることに気が付きます。そこのタイルを剥がしていくとその奥に空間があることがわかる。その空間については【バスタブの後ろの空間について】で後述。

【トイレについて】
 トイレ自体は一般的なタンク式の水洗トイレです。ウォシュレットや便座カバーなどは付いていません。トイレの近くまで行くと、便器の中に黄色い液体が便器のギリギリまで溜まっており、その底に鍵が落ちていることがわかります。この黄色い液体は染色された強塩基性の液体であり、何の用意もなしに腕を突っ込んで鍵を取ろうとしようものなら、鍵を掴もうとしたときに手が崩れてしまいます。この場合、自分が人生を共にしてきた体の一部が永遠に失われてしまったことにより【1/1d4+1のSANチェック】、及びSTR,DEX,APPを3永久喪失します。多少指で触って確認する程度なら、指先がぬるぬるとする程度、そのまま放っておけば鋭い電撃通を感じ、血がにじんでくる程度で済みます。貯水タンクの中を開けて調べれば、水の代わりに中身の詰まったボロボロで所々穴が開いた黒いビニール袋が詰められています(このビニール袋をトイレの液体に浸すと溶けます)。取り出して中を開けてみれば、ステンレス製の鋭いナイフとフォークが沢山、そして③と書かれたカセットが入っています。内容は以下。
[カセット③]
よく見つけたね【PC2】!
まさか君に見つかるとは思わなかったよ!
実のところ、僕はゲームをちゃんとクリアするのは苦手なんだ。

正直に正攻法で正面から行くのは面倒だからね。
だから今回は近道というか裏技を用意しておいたよ。
頼りない【PC2】にこのゲームは難しいだろうから、わざわざ持ってきてあげたんだ。
優しいだろう?

流石に使い方くらいは説明しなくても分かるよね。
痛み無くしてなんとやらってヤツさ

※要するにナイフで足を切断すれば全部すっ飛ばして助かるよ、ということです。

【酸と塩基の反応について】
 トイレないし【バスタブの後ろの空間について】で後述する化学薬品の反応については、以下に示す記述を参考に描写してください。
人体影響
酸→表面がすぐに溶け始め、白くただれる
変性したタンパク質は酸の深部への反応を防いでくれるため表皮で止まる
塩基→表面がヌルヌルし始め、鋭い電撃痛とともにじんわりと血が滲み出る
反応はゆっくりと進み深部まで到達するため、接触した量と時間に比例し表皮との反応は進む
金属影響
酸→泡を立てて少しずつ溶ける
ステンレスのナイフとフォークは表面が荒くなるだけで完全には溶けない
足枷の鎖もステンレス製なので溶けない
塩基→鎖もステンレスも反応を示さず全く溶けない

【バスタブについて】
 導入のチャリチャリ…という音は中に入っていた鍵が排水溝から落ちていった音です。どう頑張ってもこの鍵は入手できません。中に入っていた液体は紫キャベツの煮汁です。バスタブの後ろに隠されている薬品の検査と、トイレの中に溜まっている塩基性の液体を中和する際に必要となります。栓を抜いた後バスタブの中に殆ど煮汁は残っていませんが(仮に使うとしても数回程度しか使えない)、服を絞ることによって十分な量の煮汁を確保することができます。

【バスタブの後ろの空間について】
 中にはバスタブに隠れる程度の狭い空間があり、その中には無色透明の液体が2リットルほど入ったガラス瓶二つとシナリオの進捗度に合わせて融け具合が変化するろうそく、④と書かれたカセット、そして下図に示される色の付いた紙が入っています。瓶の中身は一方が塩酸、もう一方が水酸化ナトリウムであり、どちらもそれぞれ強酸、強塩基の液体です。瓶は密閉されており、転がして相手に渡す程度なら中身がこぼれるということもありません。また、下図はバスタブの中に入っていた紫キャベツの煮汁の色がph値によって変化する反応を示す表であり、酸性の時は黄色、中性の時は紫色、塩基性の時は青色になるという特徴を示しております。

グラデーション.png
※この反応表は実際の反応とは異なります。理系知識のあるPLが誤解を招かぬようご注意ください。
なお、ガラス瓶の形状に関してですが、理科の実験で使った試薬ビンを2Lペットボトルほどの大きさにしたものと考えて頂けるとわかりやすいかと思います。
実物はこんな感じのものです

【カセット④】
やぁ、さっきぶりだね【PC1】。
【PC1】にはここを見つけるのは少し簡単だったかな?
優秀な【PC1】にはこれが何なのか、どう使えばいいかなんてもう分かってるかもしれないね。

でも取り扱いにはくれぐれも注意してくれよ。
どちらも危ないものだからね。

そういえば【PC1】、全身が紫色でずぶ濡れじゃないか!
一体どうしたんだい?
そのままじゃあ風邪を引いてしまうぞ。
体は大事にしていかなきゃあな。


5.脱出方法
 バスタブの中身は紫キャベツの煮汁であり、垂らした液体のph値によって色が変化する特徴を持っています。この液体を垂らすことによってトイレの中の液体が強塩基性であることを見抜き、まず水酸化ナトリウムを捨てて満タンに入っているトイレの液体をできるだけくみ取り、塩酸を使って中和することで、トイレの底にある安全に鍵をとることができるようになります。くみ取りを怠れば強塩基性の液体が便器から溢れ出し、寝間着で裸足のPC2は自身の足を溶かすことになるでしょう。その場合、足の裏が溶け指に力を入れることが出来なくなるため、歩行に支障をきたし踏ん張れなくなります(1d2のダメージ)。また、中和を行わずくみ取っただけの状態で鍵を取ろうとした場合無事鍵は取れますが、その後使った腕が深部まで溶けてしまい腕としての機能を失います(STR、DEX、APP各-2+1d6のダメージ)。
 また、[カセット③]にある通りナイフを使って足を切り落とせば、その探索者はDEX3と片足を失うことになりますが無事に脱出できます。

6.結末の演出について
【時間切れバッドエンド】
 [カセット④]が再生され、手に入れられる情報が揃った状態でトイレの中和に失敗したり、探索者が行動に詰まるようであればこの時間切れエンドとなります。ギュイーンという機械音が極限まで近づいたかと思うと、突如肉の塊を切り刻むような鈍い音に代わり、そのまま扉を真っ二つに割いて停止しし、扉の後ろに立っていたものが、部屋の中に倒れこんできます。それは、部屋の中央に倒れている人物と全く同じ背格好をした、若い男でした。首には、何やら銀色に光る鍵らしきものも見えます。直後、ゆっくりと中央の男が立ち上がったかと思うと、彼はEXITの扉のほうへと歩いていきます。扉を開き、振り向きざま探索者に見せた顔はドロリと解け落ちており、黒く禍々しい触手がおびただしく溢れ出ていました。【1d10/1d100のSANチェック】彼はその黒く長い触手をまるで笑っているかのように震わせて「ゲームオーバー」と二人に言い放つと、そのまま扉を勢いよくバンッと閉じて出ていきます。
 そうなった後は、たとえ足を切って部屋から出ようとしても扉から出ていくことはできません。そのままそこで餓死するか、ナイフで足を切るなりすれば餓死するのを待つまでもなく失血多量で死にゆくことでしょう。
【ノーマルエンド】
 何とか鍵を開けることに成功し、中央の男を助け起こしても、息はあるものの彼はまだ目覚めません。そのまま彼を引きずるなりして共にEXITの扉から外へ出ると、その先は長い廊下に繋がっていました。部屋から出てしばらくすると、彼は目を覚まし「すまない、大丈夫だ。一人で立てるよ。」と言い、自分の力で立ち上がります。「どうやら君たちはゲームをクリアしたみたいだな。」ここから徐々に声が変質していきます。「じゃあ、僕はまだやらなきゃいけないことが残っているから、さっきの部屋に戻るよ。ゲームクリア、オメデトウ。」この声を聞くと、探索者達の意識は暗転して各々の日常に帰っていきます。目が覚めると、自分達が床についた状態で目を覚ましますが、あの異空間で追った傷や手にしていたものは、現実世界においても残ったままです。
【トゥルーエンド】
 PC1とPC2が協力して木製の扉にはめてある重い閂をなんとか外すと、その扉の奥から1人の若い男が飛び出してきます。そしてその扉の奥、壁一面につけられた丸鋸が迫ってきているのが見えるでしょう。
 首に鍵を下げ口を縫い合わせられている彼は初めは恐怖と混乱で怯えていますが、探索者達が話をすると落ち着きを取り戻します。
彼の首に下げられた鍵を使い足枷を外し3人でEXITの扉から出ようとすると、後ろからパチパチと拍手が聞こえます。
 振り返ると、部屋の中央で倒れていたはずの男がそこに立ち上がりこちらを見て拍手をしています。
「ゲームクリア、おめでとう」
 聞き覚えのあるその声を聞いた途端、探索者達の意識は暗転して各々の日常に帰っていきます。目が覚めると、自分達が床についた状態で目を覚ましますが、あの異空間で追った傷や手にしていたものは、現実世界においても残ったままです。

7.エピローグ
 結末を演出した後、エピローグと称して以下の描写を始めてください。
【ノーマルエンド編】※バッドエンド・トゥルーエンド編は適宜描写を変更してください
 街の銀行で働く好青年、トニー・ウィルソン。品行方正、礼儀正しく勤勉で同僚からの信頼も厚く、来月の末には6年間付き合った彼女と籍を入れる予定だ。安定した幸せな人生を送る彼は、今日も仕事を終え床についた。
 目が覚めると、彼は長い廊下にいた。廊下の片側には木でできた扉、向かい側には壁一面に広がった丸い電動のこぎり―BazzSAW―が揃っているのが見える。助けを呼ぼうと声を上げようとするが、その瞬間口に酷い痛みが走った。触って確認すると、自分の口が強く硬い糸で縫い合わされており、言葉を発することができなくなっている。訳も分からず混乱する中、扉の向こうで何か音が聞こえたかと思うと、廊下の向かいにある丸鋸が回転し始めた。そして、その丸鋸が少しずつ、少しずつ、その機械音と共に壁ごと自分のほうに迫り始める。
 トニーは必死に木の扉を叩くが、向かい側に何かつっかえ棒でもあるかのようにビクともしない。機械音が徐々に大きくなっていき、ついに自分のところまで来たかと思うと、びちゃびちゃびちゃという音をたてて自分の身体が丸鋸で真っ二つにされる感覚と同時に、そのまま扉を丸鋸は切り倒し、扉の向かいに自分の上半身と下半身がばたりと倒れこむ。木の扉の先にはどうやら大きなシャワールームのような空間が広がっており、薄れゆく意識の中、そのバスルームの中央に自分と同じ姿をした若者が一人立っている様子が見えた。
 彼は拍手をしながら、こう言う。「トニー、残念だったね。僕は彼らが君を救ってくれると思っていたんだが、どうやら彼らは“トゥルーエンド”には行けなかったみたいだよ。」そう言うと、その若い男の顔はドロリと解け落ち、黒く禍々しい触手がおびただしく溢れ出て、その黒く長い触手をまるで笑っているかのように震わせながら、一言「ゲームオーバー」と彼に伝えた。そこでトニ―・ウィルソンの意識は途絶え、二度と還らぬ人となる。

8.成功報酬
トゥルーエンド…正気度1d10回復
ノーマルエンド…正気度1d6回復
※〈クトゥルフ神話〉技能の成長がないのは、探索者が神話的体験をしているという自覚がないためです。

【作者コメント】
蕎麦とクローズドシナリオをこよなく愛し、マシュマロとCoCTRPGにおける戦闘が苦手なLANDOROSです。よろしくお願いします。
ここの記事で言うと、『I will regain it』のリプレイでPC3をやっていた者ですね。

今回はぴゅあふるー含めた身内の卓で回した自作シナリオ「Bazz Saw」を紹介してくれるとのことで、製作した自分がこの場を借りて少しコメントを書かせていただきます。
このシナリオを一言で表すのなら…そう、「SAW」ですね。
そうなんです。
あの有名ホラー映画のパクリオマージュリスペクトを山盛りもりもりてんこ盛りしたこのクローズドシナリオは、紹介文にも書いてある通りPCの技能値よりPLのリアルアイデアに重点を置いておりシナリオ難易度が結構高くなっているので、PLの熟練度やプレイ傾向等をよく考えた上で回すことを強く推奨します。
またノーマル、ベストエンドを迎えるためにはPC同士の協力が必要不可欠で、自分の身は安全で脱出への謎解き要素を全て与えられているが自力では脱出できない「優秀」なPC1と、行動次第でダメージを受ける可能性があり謎解きの手助けしか出来ないが身体を張れば自力で脱出できる「頼りない」PC2、この2人の役割を理解してPLを振り分けることが重要です。
それを踏まえた上で閉ざされた空間の中、慌てふためく探索者達をKPもといニャルラトホテプとして楽しんでもらえたら幸いです。
筋書き通りに便器の塩基を中和して鍵を取ってくれると思いますが、中和せずそのまま手を溶かしても良し、勇気をもって木の扉を開けてくれたらベスト、訳も分からずトニーの上半身と共に閉じ込められるのもまた一興です。
個人的には、原作である「SAW」にならって足を切断してくれたら…と思っているのですが(笑)
この他にも、PLのアイデア次第で様々なことが起きるかもしれません。
落ちてるタイルで便器を壊そうとするかもしれない、ナイフと薬品で扉の向こうにいる何かに戦闘を挑むかもしれない、そんな突拍子もないアイデアを生かすも殺すもKP次第です。
TRPGの自由度とPLの思考を大切にシナリオに縛られることが無いよう、楽しくセッションをしてください。

『I will regain it』をはじめとする中、長編のシティシナリオはぴゅあふるーや他の身内卓のメンバーが素晴らしいものを作ってくれているので、自分はこれからも短編クローズドを作っていこうと思っています。
もしかしたらまたここに紹介してもらえるかもしれないので、その時はまたよろしくお願いします。

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