クトゥルフ神話TRPGサプリ・関連書籍紹介記事その2

 先週に引き続き、クトゥルフ神話TRPG関連のサプリ・参考書籍を紹介していきたいと思います。
 今回ご紹介するのはこちらの商品です。
・るるいえびぎなーず
・図解クトゥルフ神話
・エンサイクロペディア・クトゥルフ
 お値段なんと全て2000以下と大変お安くなっております。今ならなんとこちらの三点セットで…
 とまあ茶番は置いておいて、今回はクトゥルフ神話TRPGサプリではなくクトゥルフ神話(TRPG含む)関連書籍のうち私が所持しているものについて書いていきたいと思います。サプリでもないとなると、なおのこと買って良いものなのかどうか判別が付きづらいと思いますし、クトゥルフ神話TRPGサプリは全部買ったけどこういう副読本的なものには手を出していない…という方もいらっしゃると思います。今回の記事を見て、購入するかどうか考える一助にしていただえれば幸いです。
 それでは、そろそろ本編のほうに入っていきたいと思います。

その1 その2 クトゥルフカルト・ナウ


 クトゥルフ界隈でおそらくもっとも有名な人物であろう内山靖二郎さんが執筆した、クトゥルフ神話TRPGの入門書です。リプレイ本以外でKP・PLの動き方が解説されており、実際にプレイからではなく座学で学べる本はこれ以外にないでしょう。書かれている内容も本当に基本的な心構えや行動の指針ですし、良い教材と言えると思います。
 クトゥルフ神話TRPGとは何なのかという簡単な解説に始まり、探索者編、付属シナリオ『彼方より来たる』のリプレイを挟みキーパー編、そして最後に付録として戦闘ルールのまとめと簡易Q&Aが載っています。
 最初の解説は本当に基本のキが書かれており、クトゥルフ神話TRPGどころかTRPGとは何かすら知らないような人向けの文章となっています。探索者編のほうは探索者作成の話に始まり、探索者としての心構え、一般的な探索者の動かし方やいわゆる「お約束」的なことの解説、キーパーのプレイスタイルに従うべき理由などが書かれています。どの文章も万人受けするような内容になっており、かなり気を使って書いていることが窺えます(私の文章も似たようなもんですが)。
 続くリプレイは付属の『彼方より来たる』を題材にしたものとなっています。内山さんはるるいえ堂シリーズいう複数のリプレイ本を書いていらっしゃるので、それらと似たようなものなのだと思います(私はそちらのほうは見ていませんが…)。シナリオ付きでリプレイを見ることができるので、シナリオを見た上でリプレイ上のPLの行動やKPの裁定・処理を見ることができるという点で、非常に参考になると思います(前述のるるいえ堂シリーズには単体のシナリオは付属していない模様です)。余談ですが、恐らくこのリプレイを見た方なら内山さんは良い性格をしていらっしゃるなあと思うことでしょう(深い意味はないのですが、思いのほか同意見の方が多いので…)。
 リプレイの次にキーパー編が入っており、キーパーがセッション中に行う仕事が一通り列挙され、キーパーとしての心構えやNPCの利用、描写に関してなど、複数の視点からシナリオの運用方法が解説されています。どの項目でもお手本的な手法が書かれていると思いますから、最初に身に着けるべきキーパーの型としては申し分ないでしょう。キーパー編の後半はシナリオ作成に関して書かれています。具体的なシナリオ作成の手法は私個人のシナリオ作成手法とは異なりますが(もう1,2シナリオここで公開したころに記事として書こうかと思っています)、「シナリオを書きたいけれどどう書いたらいいかわからない」という方の参考にはなるかと思います。自分なりのシナリオ作成法を確立している方でも、自作シナリオにおいて気を付けるべき情報の置き方や事件の解決の仕方に関する記述は一見の価値があると思います。
 付録として載せられているのはシナリオ本編と戦闘ルールのまとめなどです。シナリオ『彼方より来たる』に関しては概要はシナリオ紹介記事、セッション内容に関してはこちらの記事のほうに詳しいです。発狂上等の中々に激しいシナリオとなっています。案外注目されにくいのが、戦闘ルールのまとめに関してです。基本ルールブックの記述だけではわかりにくい戦闘における裁定がまとめられているのは、初心者は当然として中級者、もしかすると熟練者の方まで役に立つでしょう。解釈の混乱しやすい〈組み付き〉に関してもしっかりと解説されています。巻末のQ&Aも合わせてセッションの役に立つことでしょう。
 さて、長々と解説してきたとおりこの本はクトゥルフ神話TRPGにおけるハウツー本的色彩の強い本となっております。誰でもこれを読めば、“普通”のクトゥルフ神話TRPGプレイヤーになれることでしょう。しかし、同時にいわゆる“お約束”的なことを念頭に置いたうえでプレイすることになるため、初プレイ時の新鮮味や感動を薄れさせることになるのではないか?と私は少し危惧しています。なので、個人的にはクトゥルフ神話TRPGを仲間内でやれるならば全員初心者でもいいから一度やってみることを勧めますし、興味のある人が周辺に居なくても、ゲームショップやイベントで開催されている初心者向けの体験会にまずは参加してみるのがいいと思います。そのどちらも難しくオンセしかプレイする方法はないけど、全くの初心者として参加するのは不安…という方なら、この本を買ってみるのもよいでしょう。あくまで個人的な意見ですが、パッと買う前に一度考えてみてください。


 言わずと知れた「図解」シリーズのクトゥルフ神話版です。ファイルナンバーが002となっているところがポイント(いったいなぜこんな最初期に…)。クトゥルフ神話TRPGと直接的な関係はないものの、クトゥルフやハスターを初めとする神格を含むクトゥルフ神話に関する様々な情報を多数の絵と共に広範な範囲にわたって浅く広く解説している本です。その範囲たるやラブクラフトからタイタス・クロウまでと、クトゥルフ神話に多少触れている程度では知ることのないであろう部分にまで及んでいます。神話生物や魔導書、教団や抗神組織のみならず、いかにしてクトゥルフ神話体系が世に広まっていったかなども書かれている点が特徴的です。これさえ読めば、誰でも一般的に見て「クトゥルフ神話に詳しい人」になれるでしょう。
 さて、具体的な中身に関してですが、No.001~No.024までが様々な神格やクリーチャー、コラムを挟んでNo.037までが魔導書の部分となっています。解説されているそのものに関するイラスト(例えば魔導書であれば表紙など)が必ずしも入っているわけではないですが、それでも半分くらいは入っています。またクリーチャーに関してもそうですが、魔導書の記述に関してもキーパーコンパニオンなどとは違ってTRPG的な視点とは異なる視点から書かれているので、一見の価値はあると思います。
 ここからが本書の特徴的な部分になると思います。またコラムを挟み、No.085までに渡って書かれているのが、様々な土地に関する解説です。ルルイエや狂気山脈は当然として、北米大陸・アフリカ大陸など大陸単位で解説されていたり、インスマスやミスカトニック大学、レン高原、ウルタールなど、クトゥルフ神話に登場する様々なものをこれでもかと書いています。この部分だけでも本書を買って読む価値はあるのではないかと思うレベルです。2ページしかないのでもちろん解説の内容は限られていますが、大まかにどんなところかを知るには十分な内容です。インスマスやドリームランドサプリなんかを購入する際の指標にもなるでしょう。
 またコラムを挟み、最後にNo.111までが人物編となっています。人物編最初のページは「探求と、その代償」と題してクトゥルフ神話作品の様々な探索者の一生が解説されており、フローチャートまで作られています(最後が全て「破滅的な最期を迎える。」となっている点はポイントが高いですね)。人物編と書きましたがここにはインスマスでおなじみのマーシュ家や人外集団の銀の黄昏錬金術会なんかも解説されています。ラブクラフト作品に登場した主人公たちや、彼の後身たちが作った小説群に登場するラバン・シュリュズベリイ博士やタイタス・クロウの解説も含まれています。
 総評としては、「クトゥルフ神話に興味があるけれど、小説をたくさん読むのはちょっと…」という方向けの書籍でしょうか。サプリに比べればだいぶ安いですし、軽い気持ちで買いやすいと思います。また、クトゥルフ神話に関する諸情報が浅く広く書かれているので、シナリオフックとしても役に立つのではないかなと思います。また、これが個人的に一番大きいところですが、クトゥルフ神話関連のイラストが豊富な点でしょうか。やはり百聞は一見に如かずという言葉通り、どんなに描写に凝ったとしても言葉だけでは伝えきれないものがあるので、PLに渡す用の画像集代わりにもなると思います。


 この本は、なんというか…努力の結晶という言葉がふさわしい本ではないでしょうか。作者のダニエル・ハームズ氏はクトゥルフ神話に関する様々な作品で、かつ一定程度の知名度があるもののほとんどに目を通し、このエンサイクロペディアを書き上げています。その労力たるや、想像も付きません。あれば便利だけどそこまで差し迫った必要性はないしなにより作るのが非常に大変という意味で、シソーラス誕生の話を思い出してしまいました。
 具体的に内容を追っていくと、まず序文としてクトゥルフ神話作品の系譜について数ページにわたり解説がなされ、同書の使い方、クトゥルフ神話作品における固有名詞の発音についての解説が続きます。ご丁寧にクトゥルフ神話TRPGをプレイする際のこの本のデータまで載せられており、参考までに引用すると『「正気度喪失1D6/2D6;〈クトゥルフ神話〉に+9%;〈オカルト〉に+1%;研究し理解するために平均7週間」』とのことです。
 本編となる目録編ですが、序文に書かれているとおりおそらく一定以上の知名度のあるクトゥルフ神話関連書籍ほぼ全てに登場する地名・人名・団体名・神格名…等々が、出典と共に簡潔に解説されており、更に関連項目の参照先まで記載されています。各見出しの記述量はまちまちですが、少なくともクトゥルフ神話TRPGルールブック及びサプリに記載のある純クトゥルフ神話的な単語に関しては全て網羅しています(もし記述がなければそれは読み方が間違っているか、純クトゥルフ神話的でないということでしょう)。
 補遺としては、『ネクロノミコン』の歴史、その所蔵場所と内容について例によって出典付きで書かれており、更にクトゥルフ神話年表も付いてきます。これも出店や参照項目が書かれているので、情報量としてはキーパーコンパニオンの年表よりも多いと思います。
 総評としましては…まさしくエンサイクロペディアといった感じで、事典的な運用をするための本だと思います。どうしても1項目当たりの情報量は限られてきますが、1000冊以上の本を読んだうえで記述されているその内容は新鮮なものもありますし、何より出したい神格や気になった項目の原典にすぐ当たれるようになっている点で、非常に便利な本だと思います。普通にクトゥルフ神話TRPGを遊ぶ上では必要ないかもしれませんが、シナリオ製作者は持っておいた方が色々と捗るのではないでしょうか。

 さて、今回の記事はこれくらいにしておこうと思います。今回は前回よりもややマイナーな本のラインナップになっているので、より参考になるのではないかなと思います。次回はおそらく身内卓の面々が持っているサプリのことを記事にすると思いますが、ナチス邪神帝国の陰謀以外のサプリはややうろ覚えなので内容に関してはちょっと今考え中です。
 今週は余裕を持ってあげられてほっとしました。また次回も金曜日の夜にお会いしましょう。


クトゥルフ神話TRPGサプリ・関連書籍紹介記事その1 その2 クトゥルフカルト・ナウ

今月末発売のこれにもちょっと注目しています。
神話生物のビジュアル面が強化されることに期待。

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