秘密持ち改変シナリオ『歌声は遠く響き渡り』紹介・キーパリングサポート記事その1

 さて、先週は日吉秀介様作成『歌声は遠く響き渡り』の秘密持ち改変版を公開しましたが、今週はその解説記事を書いていこうと思います。
 シナリオをご覧になった方の中には「秘密持ちシナリオ自体初めて見た」、あるいは「やってみたいけどボイセで秘密持ちシナリオを回すにはどうすればいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。そのため、今回の記事では『歌声は遠く響き渡り』改変版においてそれぞれのPLに与える秘密がどういった効果を及ぼすのか、秘密持ちシナリオはどうやってキーパリングしていけばいいのか…といった点に重きを置いて、文章を書いていきます。私は去年このシナリオを身内で回しているので、その時実際にあった出来事なんかも交えて、より実践的な内容にしようと思います。
 さて、それでは例によってシナリオのネタバレにならない程度にシナリオの紹介から入っていきます。
 まずは恒例のシナリオ概要

『歌声は遠く響き渡り(色々改造版)』
・目安人数…基本は4人固定だが、非推奨ながら3人でも可
・シナリオ傾向…秘密持ち、探索重視クローズド
・探索難易度★★★★★★★★☆☆
・戦闘難易度★★★★★★★☆☆☆
・キーパリング難易度★★★★★★★★★☆
・PCロスト率…40%
・予想・セッション時間15~25時間
備考:日吉秀介様作成のシナリオを秘密持ちに改造し、イベント・描写・マップなどを大幅に加筆したもの。個別のハンドアウトあり。キーパリング次第でもっと短くなるかも?

 シナリオ紹介記事にも同じものがありますが、再掲します。探索者達は各々の思惑からミステリーツアーに参加し、山奥にポツリと建てられたお城に向かい…?といった感じでシナリオは始まっていきます。秘密持ちシナリオという関係上各々の秘密が最初から決まっており、それに合わせたハンドアウトが存在します。そのため、キャラ作成の自由度は少し低いです。
 探索難易度が高いのは、トゥルーエンド達成の条件がやや厳しめとなっているからです。私が回した際も、あと一歩のところでトゥルーエンドを逃してしまいした。非常に惜しかったんですけどね。戦闘難易度はやや高めとなっていますが、何も考えずに戦おうとするとかなり難易度がかなり高くなる可能性があります。どうすればより有利に戦闘を進められるか探索者達が考えたうえで行動しているという前提の下で、この戦闘難易度は設定してあります。とはいえ、事故でも起こらない限りはそのような事態にはならないでしょう。
 キーパリング難易度は秘密持ちシナリオという性質も相まって、このシナリオ自体個別の処理が多くなりがちなため、KPの作業量が膨大という点からかなり高めに設定しております。そのため、SKPを設置することでこのキーパリング難易度は星3つほど下げることができるかと思います。また、この膨大な作業量がシナリオのセッション時間を長引かせる主原因にもなっているため、SKPを設置することで3時間ほど短縮できるのではないかと思います。
 このシナリオにおいて特筆すべきセッション時間の長さについてですが、基本的には少なくとも2日に分けてやるべきです。私がこのシナリオを回した際は、最終的に4日に分けて行うことになりました。どうしても1日でやりたいのであれば、事前にキャラクターシートを作ってきてもらい、ある程度のタイムスケジュールを事前に組んだうえで、朝早くから始めることを強くお勧めします。
 ロスト率の高さは、終盤に発生するあるイベントが関係しています。無理さえしなければ全滅は免れると思いますが、無理をしてでもこの終盤のイベントを乗り越えないと全員でトゥルーエンドに行くことは不可能となり、これが探索難易度を高くしている原因の一つとなっています。
 まあ、こんな感じでしょうか。シナリオ自体は普通のシナリオを母体としているため、素直な気持ちで協力してプレイしてもらえば詰まることはないであろう程度の難易度です。もちろん、総一筋縄で協力できないのが秘密持ちシナリオなわけですがね。
 いつものように前置きが長くなりましたが、そろそろ本編のほうに入っていこうと思います。


以下ネタバレを含む感想です。ここからはシナリオを既に読んでいるか、プレイ済みということを前提に記事を書いていきます。
未プレイの方はネタバレに注意してください。


 はい、それではこのシナリオの秘密についてから話を始めていきたいと思います。とりあえず長いですが、シナリオから秘密部分を持ってきて以下に張り付けておきます。所々省略がありますが、詳しくはシナリオ本編をご確認ください。

PC1無名の歌手(難易度:中)
あなたは歌がうまい一般人である。あなたの歌声は聞くものを皆全て放心状態にさせてしまう不思議な性質を持っている。
【知っていること・秘密】
・あなたの歌声は《セイレーンの歌声》に近い効果を持つ。この呪文は任意のタイミングで使用でき、あなたはこれまでに1d3回使用した経験がある。歌を歌うとき常にこの呪文を使う必要はない。また、〈芸術:歌唱〉に40%の技能ボーナスを与える。
・あなたはミステリーツアー参加者として、ツアー中に起きる事件について一日一回KPに事件の推理を話すことができる。

PC2記者(難易度:高+)
あなたはこのミハイル城の取材で城に赴いている。事前にアポイントメントを取ったと言うことで城に入ることができる。ただし、ミステリーツアー参加者ではないので、賞金贈与の対象者からは外れる。
【知っていること・秘密】
・あなたはある女性アイドルからライバルのスキャンダルの証拠を押さえてほしいと依頼されている。依頼人はその相手とは友人関係で、マネージャーから彼女がミステリーツアーに参加するという話を聞いたらしい。しかも、そのツアーはかの有名な中国系マフィア「トライアド」のフロント企業がスポンサーだという。彼女の売り出している活発なイメージとはかけ離れた、しかもマフィアが出資するミステリーツアーに参加している証拠を押さえることができればアイドルとしてかなりのダメージとなるだろう。
・そのアイドルは非常に歌がうまく、狂信的なファンが多く居ることで知られている。
・あなたは記者として多少の軽犯罪をいくつも犯している。にもかかわらず逮捕歴のないあなたの違法取材スキルは高い。(〈鍵開け〉、〈忍び歩き〉、〈芸術:スリ〉、〈写真術〉にそれぞれ40%の技能ボーナスを与える。また、これらを職業技能として扱い、上限を90までとする。)
※〈芸術:スリ〉…この技能の初期値はDEX*2%とする。この技能に成功すれば、あなたは例えば胸ポケットのボールペンや尻ポケットに入った財布のようなものをすれ違いざまに気づかれず盗むことができる。失敗時には、相手がスリに気づく可能性が〈聞き耳〉%ある。なお、最初からスリを警戒されている状態では成功しても〈聞き耳〉%で、失敗すれば確実に相手に見つかってしまう。
・この特ダネはあなたが一人で持ち帰って公開しなければ意味がない。もし他人がアイドルのスキャンダルネタの証拠を掴んでいるなら、それを奪うか、記録媒体を破壊する必要があるだろう。

PC3盗撮魔(難易度:高)
あなたは純粋にこのミステリーツアーに興味があって参加することになっている。
【あなたの性質・性癖】
・あなたは盗撮魔である。あなたは他者を盗撮することに強迫観念に近い執着心を抱いており、一日に少なくとも三回以上の盗撮を欠かすようなことがあれば翌日以降正常な精神状態を保てなくなるだろう。(なお、この「盗撮」は相手が特定できるような写真ないし動画でなければならない。)
【知っていること・秘密】
・また、あなたは盗撮の容疑で一度逮捕されており、現在は執行猶予中である。そんな中でも捕まらずに盗撮を続けるあなたの盗撮技術は相当に高い。(〈隠す〉、〈隠れる〉、〈忍び歩き〉、〈写真術〉にそれぞれ50%の技能ボーナスを与える)
・あなたはミステリーツアー参加者として、ツアー中に起きる事件について一日一回KPに事件の推理を話すことができる。

PC4超人気アイドル(NPC3から置き換え)(難易度:高)
熱狂的な探偵小説好きであるあなたは、今回オフの日を利用してお忍びでこのミステリーツアーに参加した。
【知っていること・秘密】
・あなたは狂信的なファンを多く持つ超人気女性アイドルである。あなたの歌声は聞くものを皆全て放心状態にさせてしまう不思議な性質を持っている。あなたの歌声は《セイレーンの歌声》と同等の効果を持つ。この呪文は任意のタイミングで使用でき、あなたはこれまでに1回使用した経験がある。歌を歌うとき常にこの呪文を使う必要はない。また、〈芸術:歌唱〉に70%の技能ボーナスを与える。
・あなたは世間では活発なキャラクターとして売り出しているため、ツアー客に正体が発覚してイメージを傷つけることは避けたいと思っており、初日は専属のスタイリストによって完璧に別人として変装している(変装時のAPPは任意に設定できる)。しかし、ミステリーツアー中は毎日自分でメイクを行わなければならない。一時間かけて〈変装〉に成功すれば、別人としての声・容姿を維持することができる。失敗した場合には、他人から変装が見破られてしまう可能性が生まれる。
・あなたはミステリーツアー参加者として、ツアー中に起きる事件について一日一回KPに事件の推理を話すことができる。

 少し削りましたがまだまだ長いですね。まず、私はPLに配布する秘密を考える上で、なるべく互いの警戒、対立を煽るような形で秘密を作成しました。わかりやすく示すと以下の通りとなります。
PC2⇔PC3(スキャンダルネタの独占に関する問題)
PC2⇔PC1&PC4(不思議な歌声を持つアイドルはどちらか見極める必要性)
PC3⇔全員(盗撮行為を見咎められる可能性)
PC4⇔PC2&PC3(スキャンダルに対する警戒)
PC1⇔PC2&PC3&PC4(不審な動きや裏行動を繰り返す他PCに対する警戒)
全員⇔PC1&PC4(相手を意のままに操れる呪文の持ち主―即ち呪文使用時、メイファと同じ自殺トリックによる犯行が可能なことが発覚する可能性―)
PC同士(事件の黒幕が探索者内に居る可能性)
 こんな感じでしょうか。PC3の秘密は元々一日一回以上の盗撮となっていましたが、私がシナリオを回した際にはPC自ら盗撮しまくっており、なおかつ一度も発覚しなかった関係上、このままだとバランスが悪いだろうと判断して三回に変更しました。
 お互いの目的がわからない中でのセッションは、なかなかに緊張感のあるものでしたね。私が身内で回した際には、皆あからさまに対立するというよりはきちんと協力できていましたが。PC2は見事PC4が寝ている隙に彼女のすっぴんを隠しビデオカメラに収めることができていましたし、PC1は上手いこと誰にも見つからずに緒方刑事と日吉の両方に呪文をかけ、情報を得ることに成功していました。持ち物公開の際にPC3の秘密がPC2にばれそうになったり、PC2のライター型隠しカメラが〈写真術〉ファンブルにより爆発したり、色々と危機はありましたが、深刻な対立に至ることはありませんでした。しかし、あくまでこれは一例に過ぎず、こうしたPC間の関係は卓によって大きく変わってくることでしょう。
 ここら辺の秘密に関係する行動は、PLによって差がだいぶ出るところだと思います。例えばPL4が警戒心の強い人物であれば、部屋の中に隠しカメラなどがないか探すことでしょう。また、ドアのロックを信用せず手持ちのものを用いた簡易警報装置のようなものを設置する人もいるかもしれません。PL1が積極的な人物であれば、二人きりになれる状況下にNPCを追いやり、呪文を使用して情報を得ようとしたりするかもしれません。あまりにメタい行動は注意するべきかと思いますが、こうした積極的なPLがいればいるほど互いに刺激し合い、対立が煽られることでしょう。身内で回した際には、私が冒頭で挟んだ何気ないメイファのロールにより(いっけなーい遅刻遅刻ぅーをやらせた)PLの一人からメイファが怪しまれてしまったり、皆リスクを伴う行動を避けて結果的に怪しまれることがなかったりなど身内を疑うという発想にはなりませんでした。
 さて、次はPCごとの秘密の説明に関してですが…。ここまでで実に5000字です(2000字ほどは秘密の転載などですが)。各PCの行動に関してもそれぞれ書きたいことがあるので、今回の記事はこれくらいにして、続きは次回に回そうと思います。幸い、秘密の説明を通してシナリオ内において想定される出来事も説明できるので、『歌声は遠く響き渡り』秘密持ち改変版の紹介・キーパリングサポート記事は、短くて次回、長くて次々回で終わると思います。秘密に押されてちょっと手抜き感あふれる記事になってしまいましたが、次回は骨太な記事をお届けしたいと思います。では、また来週。

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