シナリオ『I will regain it』Ver2.0公開

 はい、一週延期してしまいましたが、初の自作シナリオ『I will regain it』、とうとう公開です。とはいえ、自分の頭の中で書き起こしたものが多すぎて、だいぶ手直しと加筆はしたんですがまだ足りない部分があるかもしれません。シナリオに関する質問やわからない点などがあれば、コメントのほうに書いていただければお返事いたします。

2017年11月13日追記
 NPCへのシークレットポイントの追加、伏線と諸情報の追加、マップの追加、エンディングの拡充などを行い、より普通のシナリオとしての完成度を高めたハリウッドシナリオとなりました。ハリウッドスタイルならではの派手さに関しては一切手を加えていないので、その点については心配無用です。


『I will regain it』の紹介・シナリオ改善例記事はこちら

I will regain it


1.はじめに
 このシナリオはクトゥルフ神話TRPGのシナリオです。探索成分35%、戦闘成分25%、ハリウッド色30%、作者の某24時間ドラマへの愛10%で構成されております。一人強力なNPCが付いており、シナリオの多くを探索者と共に過ごすことになりますが、当然ながら基本的にはPCが主役となります。
※どうしても気になってしまう場合は、NPCの名前を変えてプレイしてください。
 戦闘が多めかつ基本的に何でも手に入るという特殊な設定から、探索者側が防弾チョッキなどの防御手段を用意している想定で戦闘バランスを調整しています。そのため、探索者たちがそうした準備をしておらず戦闘があまりにも厳しいとKPが判断した場合は敵の弱体化を行ってもいいでしょう。
 エンディングは様々なものになるでしょうが、NPCとの好感度が低いと後味が悪い終わり方になる可能性が高いと思われるのでそこは注意してください。また、CoCにしてはSANチェックの数がかなり少ないです。プレーヤー想定は3~4人となっています。
※このシナリオはフィクションです。実在しない人物・団体とは何の関係もありません。

2.シナリオ概要
 神話的事件に遭遇した経験のある探索者のもとに、ATU(Anti-Terrorism Unit)がある大学から盗まれた一冊の本を取り戻す任務に協力してほしいという依頼をもちかけます。「クロエ」と名乗る電話口の女性が話すには、アメリカで武装勢力による大学図書館への襲撃事件が発生し、その実行組織が日本のとある宗教団体であることがわかったらしいのです。
 その団体は「AOOA」と名乗り、ヨグ=ソトースの時空を操る力を利用してこの世界を「第二次大戦で日本が勝った世界」へと作り変えるため、ミスカトニック大学から『エイボンの書』を強奪し、召喚の儀式を試みます。
 ATUが日本に送り込んだ捜査官「ジャック」と共に探索者たちは教団によるヨグ=ソトース召喚を阻止しようとしますが、実は彼もまたヨグ=ソトースの力を求める者の一人でありました。ジャックは教団の儀式を阻止した後、銀の鍵を使ってタウィル・アト=ウムルと対面します。しかし、とある神が紡いだ運命の糸により探索者たちも彼と共に異空間へと飛ばされてしまい……?

3.このシナリオを回すにあたって
 このシナリオに登場するNPCジャックはあるドラマの主人公をモチーフにしていますが、あくまでよく似ている別人の存在です。よって、某24時間戦い続ける男のドラマを知っている人も知らない人も、正義感が強く国家に忠実だが家族のことだけは最優先する男(CV:小山力也)くらいの認識を持っていてもらえるよう、シナリオ中で説明をお願いします。また、ジャックが壊れ性能なのは仕様です。
 ジャックには探索者との好感度ポイントが存在し、このポイントが一定水準に到達していないと、とあるエンディングへの道が閉ざされてしまいます。基本はこのポイントはクローズドポイントですが、KPの判断によっては公開してしまって構わないでしょう。

・必須技能…戦闘系技能(最低二人)、〈ほかの言語:英語〉、〈コンピューター〉(最低一人)
※〈ほかの言語:英語〉がないとジャックと会話できません。身内卓の場合ハウスルールで日本人探索者の英語初期値をEDU*2にした上、英会話レッスンを受けていたということで会話が可能な最低レベルとみなす40まで底上げしていました。以上を参考に各KPの裁量で決めてください。
・推奨技能…隠密系技能所持者(最低一人)、〈鍵開け〉、〈精神分析〉、〈運転:自動車〉
・神話生物と戦闘経験ないし神話的事件を解決したことのある継続探索者が最低一人必要
・PCに警官がいると難易度低下

4.NPC紹介
ジャック、全てを失った男、37歳
 彼は反テロリズムユニットATUの優秀な現場捜査官でしたが、大統領暗殺未遂事件の捜査の際に内部の裏切りによって妻と娘を失い、それ以降廃人に近い生活を送っていました。それ以来信仰を捨てていたジャックですが、彼はある日不思議な空間でベールをまとった存在と対峙する夢を見、目覚めたときには銀色に鈍く光る鍵が手の中に握られているという体験をします。この夢に何かを感じたジャックは、偶然立ち寄った星の智慧派教会で黒人の神父から「それは全にして一なるもの、一にして全なるものと呼ばれる時空を操る神ヨグ=ソトースである。君は神によって選ばれたのだ。運命によってまたこの神と関わるときが来る。鍵が光るとき、君は“それ”を得られるだろう(You will regain it)。その時まで強く生きて、この鍵を持ち続けなさい。」と言われます。
 そしてシナリオ終盤、教団の儀式を阻止して一息ついた時にその鍵は輝きを放ちます。

STR15 CON13 POW18 
DEX10 APP14 SIZ13 
INT17 EDU20 DB1d4
HP13 MP18 現在SAN値50 
不定の狂気:死んだ妻と娘への執着(この狂気は精神分析による軽減、解除は不可能です)
【武器】
拳銃(H&K USP コンパクト)90%、ダメージ1d10、攻撃回数3、総弾数15、耐久力8
ライフル(H&K SR9)70%、ダメージ2d6+1d3、攻撃回数1、装弾数8、耐久力12
ファイティングナイフ70%、ダメージ1D4+2+db、耐久力15
【戦闘技能】
武道(フェアバーン・システム、立ち技系)70%、こぶし(パンチ)80%、キック60%、組み付き80%、頭突き50%、サブマシンガン50%、回避60%、投擲67%
【その他技能】
応急手当 45%、隠す50%、隠れる50%、聞き耳70%、忍び歩き50%、精神分析40%、図書館60%、目星90%、運転(自動車)75%、跳躍60%、操縦(ヘリコプター)50%、言いくるめ85%、信用40%、説得80%、芸術(拷問)80%、コンピューター60%、心理学95%
【所持品】
軽防弾チョッキ…6ポイントの装甲、被弾時1d6で4以上を出したとき装甲に命中。刃物に対しては2ポイントの装甲扱い
携帯食、小型ライト、覆面、応急処置用品、銀の鍵(タウィル・アト=ウムルに見込まれたもののみ特別な操作なしで使えます。)

岩山完二、AOOA教祖、92歳
 陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校と日本軍人のエリートコースを邁進していたものの、陸大を出てすぐに終戦となり、自身の生きる道を失う。自分のアイデンティティを喪失した彼は敗戦の絶望に打ちひしがれ、占領期を経て民主化を進めていく戦後日本の全てを否定しながら生きてきた。
陸大時代のつてでAOOAの前身組織である亀政会(きせいかい)に参加し初期から構成員となるも、時が経つにつれ主要な構成員が事故や失踪などで居なくなる。また、当局からの執拗な弾圧により組織の規模も縮小していくとともに組織の理念も失われていった。
 彼が組織の長となると、思想を共にする少数のメンバーらと宗教法人へと変革し、当局からの弾圧を避け組織の維持を図る。ちょうどこのころ日本を観光旅行に来ていた不思議と人を引き付ける雰囲気のある黒人と出会い、全にして一、一にして全なるものについての話を聞く。時を自在に操る神ならば戦前日本の復活どころかかつて彼の夢見た世界―第二次世界大戦で日本が勝利した世界―に変えることすら可能だと考えた彼は宗教法人を隠れ蓑に魔術師としての修業を本格的に始め、以降神の力を借りた過去の日本の復活を目指す。
 神を呼ぶ道標となる石塔を作るため亀政会時代作成されたリストから大物左翼を狙い、呪文を用いた強盗を繰り返して密かに資金を調達する。さらに、石塔の守護のために毎日建設現場へと通い、《物体の保護》の呪文を使い10MPにつき2ポイントの永久的な魔術装甲を塔に付与していた。
 肝心の招来の儀式の手法については情報が足りなかったが、星の智慧派の幹部―ナイ神父―の手引きにより、残る最後のピースが埋められた。

STR8 CON10 POW18
DEX5 APP8 SIZ12
INT14 EDU22 DB0
HP11 MP18 現在SAN値0 
永久的狂気:日本が二次大戦に勝利した世界への過去改変
【武器】
日本刀(20ポイントのMPが込められた恩師の軍刀)60%、ダメージ1d6+1+db(装甲無視、魔術装甲は不可、通常の武器によっては破壊不可)
【戦闘技能】
拳銃40%、99式小銃40%、銃剣術40%、軍隊用兵術45%
【その他の技能】
ほかの言語(ラテン語)40%、水泳50%、
【所持呪文】
《門の創造》P289、《レレイの霧の創造》P292、《ヨグ=ソトースのこぶし》P291、《神格との接触/ヨグ=ソトース》、《塔に魔力を付与する》、《物体の保護》※、《記憶を曇らせる》P255、《肉体の保護》P275、《手足の萎縮》P272(潜入が発覚している場合習得)
※《物体の保護》…10MPを消費し、2ポイントの永久的な魔術装甲を無生物に付与することができる。
【所持品】
エイボンの書
【行動ルーチン】
最初の行動はジャックの右手に対する《手足の萎縮》使用(特に理由がなければ自動成功扱いで良い)。以降はMPを3ポイント消費して《ヨグ=ソトースのこぶし》を使ってジャックを後方に飛ばし、更に探索者たちに対してもランダムに繰り出していく。この場合、後方に飛ばされたPCが戦線に復帰するためには1ラウンドの間全力で移動しなければならない。ファンブル処理は塔の崖っぷちでぶら下がらせ、這い上がるためには自分のSIZとSTRを対抗させて判定させる。
前衛二人と詠唱役二人が死んだ場合は、自身も詠唱に参加する。


ヤクザA~D(登場シーン前後にも再度掲載)
STR13 CON13 POW8
DEX9 APP5 SIZ12
INT15 EDU10 DB1d4
HP12 MP8
【戦闘技能】
拳銃(SIGザウエルP220)20%、ダメージ1d10、攻撃回数3、総弾数9、耐久力8、故障ナンバー99
脇差(ドス) 30%、ダメージ1d6+1+db、耐久力15

 カーチェイスの際、助手席に座っている二人は拳銃(初期値)を持っています。また、全員ドスを常に持っています。
 ただし、仮にカーチェイスの結果戦闘が発生してもジャックがいれば彼だけで3ラウンド以内には片が付くでしょう。
※以上のステータスは一発振りで適当に出したものですが、基本は任意です。探索者たちの戦闘力に応じて-dbが付くようステを調節するなどして自由に難易度を変えてください。

5.事件の真相
 ナイ神父ことナイアーラトテップが紡いだある二人の運命に探索者たちが巻き込まれるお話です。交錯する運命を紡いだ結果、どのような結果になるのかをどこからか楽しげに見守っています。

6.導入
 神話的事件を解決したことのある探索者の下に、秘匿回線から一本の電話がかかってきます。電話の相手は英語を話す女性で「クロエ」と名乗り、派遣するエージェントが行うある事件に関する極秘捜査の補佐をしてほしいという依頼です。探索者が渋るようなら電話口で神話的事件であることを匂わせ、とにかく会って話だけでも聞いてほしいと言ってきます。成功報酬はあなたの年収に匹敵するか、大きく上回るほどの大金です。このシナリオは参加する動機が弱いため、成功報酬を探索者に応じて変更・追加して構いません。会う日付に関しては8月11日を指定されます。

7.ATU(Anti-Terrorism Unit)からの依頼
 待ち合わせ場所に指定されたのは、なんとアメリカ大使館でした。探索者たちが大使館へ到着すると、ATU捜査官のジャックが出迎えてくれます。ジャックはまず自分の素性を述べた後、「個人的には素人の手を借りることに反対なんだが……」と前置きした上で依頼の詳細を述べます。ATUという名前に対しては知識ロールをさせてもいいかもしれません。読んで字のごとくですが、CIA傘下のアメリカのテロ対策機関です。テロ捜査のための強力な権限を持っています。
 依頼の詳細は以下の通り。
・アメリカのある大学でテロ事件が発生し国の安全に関わるある一冊の本が奪われ、その捜査の過程でテロ実行組織が日本の宗教団体であることがわかった。
・依頼の内容は、その宗教団体の調査と奪われた本を奪還する際の協力である。なるべく危険のない様考慮するが単独捜査には限界があるため多少の危険を伴う場面があるかもしれない。
・報酬は本の返還が確認され次第支払う。
以上のことを伝えた後ジャックが質問を受け付けますが、その前に〈精神分析〉分析持ち全員に同技能を振らせてください。成功者は、表面上は落ち着き払っているもののジャックが精神的に摩耗していることがわかります(最重要の伏線となりますので、仮にここで全員失敗した際は、9.ジャックの悲哀でジャックが家族写真を見ているシーンを強調して下記予想Q&A最後の質問を引き出してください)。
予想Q&A
・なぜ我々に頼むのか?
――あなた方が人ならざる者による事件に遭遇したことのある人物だからだ。“そういうもの”に遭遇した経験がある人ならわかるだろうが、今回の事件はそういった経緯もあって表立った捜査ができないという事情がある。
・大学名は?何が盗まれたのか?
――大学名は聞かれればミスカトニック大学だと答える。盗まれたのはエイボンの書であるが、そのことは国の安全にかかわる機密事項だとして答えない。大量破壊兵器の資料でないとは言う。
・宗教団体とは?
――AOOAと名乗る団体らしい。かつては国政にも関与していたほど大きな右翼団体だったらしいが、日本当局の弾圧によって現在は小規模な宗教団体になっており情報が殆ど得られないため、直接日本にきて捜査することになった。
・なぜ単独捜査を?
――ミスカトニック大学は警備が厳重であり、その警備を小規模な組織が突破できるとは考えられない。また、事件を受けて打った数々の法的措置にも関わらず結局犯人を取り逃がしてしまった。このような状況からATU内部における情報漏洩の可能性も考慮し、既にATUを引退していた身の自分が大統領命令を受けて臨時に復帰して捜査をすることになった。(ATUはジャック最後の捜査の際も内通者を出しています。)
・精神的に疲れているようだが?
――この仕事を辞めた理由が、最後に担当した捜査の過程で妻と娘を…人生を失ったからだと答える。久しぶりの仕事で前回のことを思い出してしまったが、もはや自分には何も失うものはないから任務に支障は出ないとも言う。

8.捜査準備
 まずジャックからはAOOAに関して日本で得られる情報を探し、その結果をまとめて報告するよう頼みます(ジャックは日本語が読めないため、探索者たちに捜査協力を依頼したのです)。
 ジャックは捜査のための活動拠点として山中の空き家を借りうけていますが、ジャック自身は日本に居るスパイからの情報や日本国内の情報網をあたることがあるため、常に拠点に居るという訳ではありません。全員が留守の場合に備えて、拠点の警備としてアメリカ大使館から派遣された衛兵が一人外に置かれていますが彼は基本的にシナリオに関与しないことでしょう。
 探索者たちは捜査に当たり必要なものがある場合には「クロエ」に連絡してくれれば用意すると告げ、直通の電話番号と秘匿回線を通じた通話ができる携帯電話を渡してくれます。情報秘匿のため、クロエはこの携帯からでなければ応答することはありません。捜査に必要な機材・武器一式はクロエに連絡を一度入れ、その後大使館を通じて全て拠点に届けられることになっています。この措置ですが、KPの判断で与えられるものは何でも与えてかまいません(シナリオ上ロケラン数十発くらいまでなら対応できると思いますが、それ以上は自分の手に負える範囲でご自由に)。
 また、ジャックが「クロエ」について聞かれれば、昔からの相棒で最も信頼する間柄の人間であると紹介しますが、これは後の伏線にもなるので聞かれずとも情報を出していいでしょう。これ以降、クロエに対しジャックについての話を聞きだして〈説得〉に成功すれば、母娘を失ってから職を辞め、しばらく隠遁生活を送っていたが、つい一か月前くらいに気分を持ち直したようなので任務に関しては安心してほしいと言われます。

9. 捜査開始
 ここから探索者は、AOOAに関しての調査を行うことになります。ジャックとは情報が集まるまで別行動になりますが、ジャックは何をするのかと聞かれれば、日本国内のアメリカ情報網を当たると答えます。また、探索者がクロエからの装備品を受け取りに拠点に戻って来た際には、忘れずに10.ジャックの荷物のイベントを発生させましょう。
◆【AOOAについて】
 AOOAについて公になっている情報は、既存の有力などの宗教にも属さない小さな宗教団体であるということと、その母団体である「亀政会(きせいかい)」の成立時期が戦後まもなくであるということくらいです。現在でも小規模ながら脈々と続いてきたこの団体は極めて秘密主義的であり、公の情報からこれ以上の情報はでません。
一番簡単な方法は、AOOAの情報を得るために公的機関のデータベースにアクセス(またはハッキング)する必要ことです。ここで警察官PCが居れば、宣言だけで情報を入手できます。警察のデータベースからは、なぜか公安のマーク対象となっているAOOA事務所の住所、そしてAOOAがもともと極右団体「亀政会」であったことがわかります(在りし日の組織は元々公安の警戒対象でしたが、勢力が衰退して警戒が解けた後もマークを外されずに残っていたようです)。他にPLの提案でKPが適当と思った方法があればそれを採用してください。
◆【亀政会】
 AOOAの母団体である亀政会は規模が大きい団体な上、最盛期を過ぎたということもありAOOAより情報が入手しやすいです。インターネットで検索しても多少情報は得られるでしょうが、基本的には図書館や警察署の資料室などで資料を探さなければ全ての情報を得ることはできないでしょう。この組織について得られる情報は以下の通り。
・戦後まもなく生まれた国粋主義団体であり、戦前日本への回帰を目的として旧軍関係者を中心に設立された
・終戦直後街にあぶれていたヤクザを組織化し、実力組織として保持していた
・政治団体としての側面ももっており、団体出身者から国会議員や政府職員を送り出していた
・主な活動は講演会などの広報活動、活発化する左派運動の妨害、勉強会など
・資金に関しては主に献金によって賄っていた
・最盛期には東京の本部ビル(現在のAOOA事務所です)を中心に全国に組織を拡大していた
・一時は政府と協力して左派活動の抑え込みに手を貸していたが、活動が下火になると逆に政府の苛烈な弾圧を受けるようになった
・弾圧と世相の変化により世間の支持を失い、資金的基盤の弱さから急速に規模を縮小させていった
 探索者の行動により、以上の情報を自由に出してください。情報の使い方は自由ですが、浮かぶであろう疑問点としては
・現在のAOOAはどうやって資金を集めているのか?
・かつて右翼団体だった亀政会が、なぜ現在は宗教団体となっているのか?
・現在は何をしているのか?その目的は何なのか?
などでしょう。これらの情報は基本的にAOOAの事務所にありますが、探索の工夫次第では事務所に入らずとも一部の情報は得られるかもしれません。また、このパートで詰まるようなら〈アイデア〉などで情報を得るための行動を示唆してください。

10.ジャックの荷物
 装備品の受け取りをするため拠点に戻った際、任意のタイミングでジャックが居ないことにしてください。その場合、ジャックが作業していたと思われる机周辺に彼の装備品と荷物の一部、そして机の上には捜査資料に交じって◆古い手記が置かれていることに気が付きます。荷物の中にはジャックの身分証や手榴弾、替えの弾倉などの他、それらと似つかないものとして銀色に鈍く光る、アンティーク調の鍵(銀の鍵です)を見つけることができます。
◆古い手記
 ジャックが現役時代に使っていたものらしく、当時携わっていた作戦の概要やブリーフィングのメモなどが書き連ねられています。手記は途中で終わっており、最後のページには以下のような記述が非常に乱れた筆跡で書かれています。文字に対する〈精神分析〉に成功すれば、これを書いた人物は極度の自暴自棄に陥っており、自殺する可能性が非常に高いことがわかります。同時に〈アイデア〉に成功すれば、これを書いた人物がジャックだとするならば、彼の現在の精神状態は何らかの「心の支え」があることによって支えられているのではないかという考えに至ります。
「……俺は……全てを失った。
テリーとは事件を通して関係を修復しかけていた。
だが……キムとは、まだ和解すらできていなかったんだ。
娘との最後の会話が口論で終わるとは……悔やみきれない。
……俺の……人生は、この事件を境に、終わった……。」

11.ジャックの悲哀
 探索者たちが情報収集を終えて山中の拠点に帰還すると、ジャックはこちらに背を向けてうつむいたまま座っています。入ってきた探索者たちにも反応を示しません。
 近づいて様子を窺えば、ジャックが3人で写っている写真らしきものを見ていることがわかります。〈忍び歩き〉などか、無ければ〈目星〉に成功すれば、写っている人物の一人がジャックであり、彼と同年代の女性、そして若い女性の姿を確認できるでしょう。彼に近づくか、肩を叩くなどすればジャックは素早く銃を抜いて反応しますが、探索者たちだと気が付くとすぐに銃を下ろし、謝ります。
 〈信用〉や適当な技能に成功すれば、ジャックは素直に家族写真を見ていたことを話してくれるでしょう。ここでジャックを気遣うような言葉をかけた場合、ジャックの好感度ポイントが+1されます。会話が済めば、用事を済ませて仕事に戻るよう探索者たちを促します。ジャックの妻の名前はテリー、娘の名前はキムで、後々名前が出てきますが、尋ねられなければここで特に言う必要もないでしょう。

12.潜入捜査へ
 捜査結果をジャックに伝えると、「なるほど、やはり日本で調べたほうが情報は手に入るな。だが、やはり現代のAOOAに関する情報がもう少し欲しいな……。」と言い、彼は事務所に対する潜入捜査を行うと探索者たちに伝えます。
希望者は潜入捜査についていくことができますが、〈忍び歩き〉など隠密系技能に50%以上振っていない探索者については同行を拒否されます。潜入捜査に同行しない人に関しては、外で事務所脱出後の足役と、潜入中事務所に人が入ってこないよう見張り役を担うことになります(なお潜入時、ジャックは万が一の時に素性を隠すため、手持ちの目だし帽を被って潜入します)。ここで潜入が発覚した場合(九割がた発覚すると思いますが)、少々後々の状況が変化します。
 AOOAの事務所は5階建てのビルで、人通りのやや少ない通り沿いに建てられています。外観を見て〈目星〉などに成功すればこの事務所が見かけ以上に重厚な作りになっていることがわかるでしょう(銃声すらも外には漏れないほどです)。また、ガラス窓はその厚みから防弾ガラスであろうことも推測できます。
 事務所の玄関は電子ロックがかかっており、〈コンピューター〉と〈鍵開け〉の組み合わせロールで開けることができます(この技能使用は待機組と分担して行うことが可能です)。扉を破壊するためにはSTR20との対抗になりますが、破壊した場合時間経過で確実に侵入が発覚します。特に設定していませんが、部屋内の探索に時間的制限がかかるかもしれません。

13.潜入開始
事務所一階.png
 玄関を開けて中に入ると目の前に廊下があり、奥に階段が見えるほか、右側に一つ扉があることが確認できます。扉はガラスがはめ込まれていて、近づいてみれば中がワンフロア使ったオフィスらしき部屋になっていることがわかるでしょう。二階より上は修業室のほか教祖や信者の住処となっており、人の動いている気配が感じられます(この情報は〈聞き耳〉などで与えてください)。潜入時、〈忍び歩き〉に失敗したPCの数だけ後述する潜入発覚可能性が5%上昇します。ハンドサインによる行動の指示を演出してそれっぽく演出すると効果的です。
 扉を入ると真っ先に目につきますが、壁に[All-in-One and One-in-All]という横断幕が掲げられています。アイデア成功でこれがこの団体名の由来だろうことが推測できるでしょう(PLが気付いた場合は不要です)。
 部屋内には日章旗がでかでかと掲げられており、(以下、歴史か知識-50で判定)その脇に辻信政、服部卓二郎など戦後も生き残り政財界で活動を続けた元旧軍将校らの写真が飾られています。
 事務所の一階は、普通の会社のオフィスルームを縮めたような作りになっています。向かい合わせにされた机がずらりと並べられ、部屋の奥にはそれらと垂直になるよう一回り大きな机が一つ置かれています(これが教祖の机です)。しかし、それなりの数の机があるにも関わらず、実際に使用感がある机は奥の大きなものを含め9つだけで他の机にはほこりがたまっています。
 部屋を見渡してみれば端に置かれた机にだけは座り心地の良さそうな高級感のある椅子(教祖はもう歳なのでこのような椅子でないと長く座れないのです)が置かれており、その背後の壁には■壁に埋め込まれた金庫があることを確認できます。また、壁一面にずらりと■様々な資料が納められた本棚があります。
 AOOAの事務所には三つの情報源があります。また、事務所内の探索では一回技能を使用するごとに潜入発覚可能性が毎回10%ずつ増えていきます。探索者たちが探索している間、日本語が読めないジャックは扉の近くで見張り役をしますが、頼まれれば探索を手助けてしてくれるでしょう。
 まず一つは◆教祖の日記(最新版)です。これは教祖の机の引き出しに入っています。どうも彼は教団の日誌代わりに自分の日記を書いていたようで、教団の活動のことについて色々と書かれています。この日記は一か月前から始まります(中の記述(抜粋)は以下を参照)。教祖は昔からの人間らしくかなりの達筆で書かれており、これをすべて読むためには〈母国語〉に成功した上で3時間かけなければなりません。
 また、この日記の内容をジャックに伝えた際、「星の智慧派がこの事件に関与していると書かれているのか?」と確認の質問をします。ジャックは偶然星の智慧派の教会に立ち寄っただけなのでこの組織に関してはあまり知りません。そのため、探索者から何か聞かれても「詳しくは知らないが、テロに加担するような団体だとは知らなかったのでな。」と答えるのみです。このやりとりを終えた場合、ジャックは以前の一件に不信感を抱き、好感度ポイントが+1されます。
◆教祖の日記(最新版)
〇一か月前の日付
「我々の追い求めてきた“鍵”の在りかをついに見つけることができた。やはり私の推測通り資料の記述は比喩であったのだ。“鍵”はアメリカのミスカトニック大学に貯蔵されているらしい。」
〇3週間前の日付
「思ったよりも大学の警備は厳重だ。メガバンクの金庫やホワイトハウスかと見紛うほどである。いかに私の呪いをもってしても突破は難しいだろう。先に逝った同志たちの遺志を曲げるわけにはいくまいがこれほど厳重では…。」
〇2週間前の日付
「天祐だ。あの星の智慧派の力を借りることができた。全面協力とはいかないが自身の関与の秘匿を条件に幹部の一人が協力を確約してくれた。随分と軽い調子だったが、ともかく我々の70年に及ぶ努力がついに実ろうとしている。」
〇最近の日付
「ようやく鍵を手に入れ、全にして一、一にして全なるものを呼ぶ道標たる石塔も二年の歳月をかけて完成し、全ての準備は整った。いよいよ我々の悲願を達成することができる。しかし、この日に星辰が揃うとは、まるで我々の義挙が天命であることを示すかのようだ。来たる8月15日、私は世界のあるべき姿を取り戻す。」と書かれています。
※日記の中で教祖は鍵と言及していますが、これは本来であれば銀の鍵のことを指します。しかし、彼らが集めてきた資料は断片的なものが多いため、資料に記された「鍵」のことを全にして一、一にして全なるもの招来の呪文に関する婉曲表現だと解釈しており、その方法が記載されている『エイボンの書』こそが数々の資料に記される「鍵」だと思い込んでいるわけです。石塔自体は、以前から得ていた情報に基づいて作られた建築物の一つです。8月15日の夕方ごろに、ヨグ=ソトース招来のための星辰が揃います。

 二つ目の情報源として、資料棚に◆様々な書類がまとまっています。どんな資料を調べたいか指定した上で〈図書館〉に成功すればそれに準ずる情報が出てきます。
◆様々な書類
〇AOOAが信仰している神について
 資料棚を漁っていると一角に神に関する情報がまとめられたスペースがあり、読み解けば全にして一、一にして全なるものという存在を神として崇めているらしいことがわかります。得られる情報は主に
・全にして一、一にして全なるものは次元と次元の狭間に住まう。
・次元と次元の間を抜けることでほかのどの時間、どの空間へも移動できる。
・全ての時間と空間に隣接しているかの神は、それらに対し様々な干渉を加えることができる。
・かの神をこの世に招来するためには、星辰の揃う時に石塔ないし環状列石を道標として将来の儀を執り行う必要がある。
・かの神が顕現すれば、世の理を変えることすら可能である。
以上のとおりです。この世の中に秘められた冒涜的な知識を得てしまった探索者は0/1d3のSANチェックが入り、1%の〈クトゥルフ神話〉技能を獲得します。
〇教団員について
 教団員のプロフィールなどが書かれた名簿を発見できます。過去の名簿欄を見ると旧軍関係者や右翼活動家の名前が多く書かれており、有名どころでは平岡公威(ひらおかきみたけ、三島由紀夫のこと)なども一時所属していた模様です。
 現在いる教団幹部は5人で、亀政会時代から所属していることがわかります。他4人の教団員が居ますが、彼らは破門されて行き場をなくした右翼系のヤクザから獲得したシンパです。
 教祖の名前は岩山完二92歳。陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学校を卒業し、教団員の中で唯一亀政界の設立当初から所属しています。
〇教団の資金調達について
 年に数回多額の資金を調達していることがわかります。また、資金関係のファイルに住所氏名が書かれた名簿が挟まれており、そのいくつかに斜線がひかれています。(これらは亀政会時代に取得していた左派勢力の情報であり、資産家左翼の大物の名前がリストアップされています。AOOAはこのリストの人物に呪文を用いて強盗をし、資金を集めていました。)
〇教祖の日記のバックナンバーについて
 日誌代わりに日記をつけていたこともあって、そのバックナンバーが資料棚に収められています。量はそれなりの数になりますが、全て読み解けば教祖や教団のことについてNPC紹介に書かれているような内容がわかります。

 三つ目の情報として、■壁に埋め込まれた金庫の中に『エイボンの書』が入っています。しかし、金庫自体に《生命の察知》がかけられているため、〈鍵開け〉の成否にかかわらず教団側に潜入を知られてしまいます。〈鍵開け〉を試みようと金庫に触れるとピリッという静電気のような感覚を覚えると共に、二階から一般の教団員が続々降りてきます。ジャックが廊下で足止めしてくれますが、もたもたしていると教徒との戦闘に突入してしまうでしょう。もし最初から鍵開けを試みようとした場合、〈鍵開け〉には時間がかかることを事前に伝え、暗に情報収集の優先を促しましょう。
※AOOA教徒を捕まえて尋問するなどすれば、事務所で得られるのと同様の情報を得ることができます。最初から金庫を開けようとした場合などは京都の尋問によって情報を穿かせるべきでしょう。その他にもなにかPLが良い提案をした場合は、それを採用して上記の情報を別の形で出して構いません。

14.潜入捜査の裏で
 ジャック達が潜入している間、待機組はおそらく外から誰か帰ってこないか見張ることになるでしょう。待機組は〈アイデア〉に成功すれば、ジャックの開かれたバッグの中に、◆開かれた手記が見えていることに気が付きます。
◆開かれた手記
 よほど見られているのか、開けているページにはかなり癖が付いています。〈図書館〉に成功すれば10数分でななめ読みが出来、日常の覚え書きやジャックがアメリカでこの事件に関してメモしてきた情報が書かれていることがわかります。開かれているページはジャックがATUに復帰してこの事件に関する情報が書かれ始める“前”の部分にあり、ジャックが星の知恵派教会でナイ神父から聞いた「全にして一、一にして全なるもの」に関する話を手記に残したものです。内容は以下の通り。
「全にして一、一にして全なるもの←時空を操る神ヨグ=ソトース
俺は神に選ばれた、それまで生き続けなければいけない
鍵を奪われず持ち続けていればいつか“それ(it)”を取り戻せる」

 ちなみにこの記述に関してジャックに問いただしても、「精神的に参っていた時に書いただけだ」「そんなヨタ話をまともに書く必要なんてないだろう」などとはぐらかし、最終的には手記を盗み見たことを咎めてキレることでしょう。この場合、ジャックの好感度が1下がります。
また、彼らにこのまま何も起こらないと退屈でしょうから、適当なタイミングで待機組に〈幸運〉を振らせ、失敗者の数だけたまたま外に出ていた教団信徒(ヤクザ)をここで事務所内に戻らせます。KPはこいつを好きに使ってください。
 待機組は交渉系技能などを使ってジャック達の探索が終わるまで時間を稼ぐもよし、戦闘に入ってKOするもよし、怪しまれて引き留めるのにも失敗した挙句事務所に入るのを止められないもよし。もし教徒が事務所に戻ってしまう場合、ジャック達が金庫を調べて教団に見つかるか、そろそろ引き上げようとなったとき鉢合わせることにしましょう。

15.発覚
 おそらく高確率で潜入は発覚すると思います(潜入が発覚しなければこのシーンと15.追跡者のイベントは発生しません)。潜入が発覚すると、数分と立たず上の階からバタバタと音を立て、雄たけびをあげながら日本刀や木刀で武装した教徒が押しかけてきます。発覚と同時に慌ただしく上の階の動きが活発になるため、探索者たちが潜入の発覚に気付くことは容易です。
 ジャックは拳銃を発砲しながら、探索者たちが事務所から脱出するのを援護してくれます。某洋ドラマを想起させる中々派手な場面なので、描写や効果音を用意して演出を更に強化すると効果的でしょう。戦闘成分を多くしたいならここで軽く一戦交えてもいいでしょう(どうせ最後は逃げることになりますが)。
 なお、潜入の発覚以降事務所に来ても、既に逃げ去った後であるためにめぼしいものは何も見つけられません。
※ここで石塔の情報を手に入れていない場合、クライマックスまでへの道のりが少し変わる可能性があります。探索者が行き詰った場合にはジャックが傭兵として呼ばれるイベントを発生させるか、カーチェイスイベントなどで教団員を捕まえて吐かせましょう。

16.追跡者
 AOOAの事務所から逃げた探索者たちの車は山中の拠点へと向かいます。事務所を出てからしばらくして、アイデアロール(下記表参照)に成功したドライバーは自分たちの後ろを走っている2台の車が先ほどからずっと後ろにぴったりとついてきていることに気づきます。車の通りもまばらになりつつある中、街からずっと後をつけている車に違和感を感じることでしょう。ドライバーはいかにもヤクザといった風貌で、サングラスをかけています。助手席には似たような風貌の男がもう一人いるのが見えるでしょう。追跡者は教団の荒事担当ヤクザであり、いわば鉄砲玉です。元右翼団体であったつながりから教団に加入していますが、教団の真実に迫る情報はあまり持っていません。ただし、彼らなりの義理人情から与えられた命令は愚直に守ります。彼らが受けた命令は、「侵入者を全員始末すること、可能であれば事故を装うこと」です。探索者たちが追跡に気づいたそぶりを見せれば、すかさず二台の車は戦闘態勢をとることでしょう。
〇カーチェイスのルール(簡易版)
ルールブックのカーチェイスのルールが思いのほか複雑だったので作りました。まず、探索者の所持している車を年収に応じて決めます(車種にこだわりがあるようなら、柔軟に対応しましょう)。
年収1000万以上…ベンツなどの頑丈な外車(HP50)
年収1000~600万…普通の車(HP40)
年収600~400万…軽自動車(HP30)
年収400万~…バイク(HP20)か無所持
なお、自分の車を自分で運転する必要はありません(一番〈運転〉が高い人に任せてよい)。
 追跡者の車は普通車二台です。一台につき二人のヤクザが乗り込んでおり、助手席に座るヤクザの手にはチャカを握りしめられています。
 まず、探索者側の運転手にアイデア1/4から順に振ってもらい、追跡者の存在に気づくかどうかを以下の表に従って判定します。
カーチェイス開幕.png
 運転手が追跡者の存在に気づいたところからカーチェイススタートです。
新カーチェイスマップ.png
行動順は車優先で、運転手の〈運転〉技能の値順に行動します。車が取れる行動は以下の通りです。
前進…1マス進めます。前に車が居る場合は進めません。
体当たり…横に車がいる場合可能で、互いの車に1d10のダメージ。さらに、攻撃を受けた車は攻撃した車に押し出され、横に1マスずれます。
急加速…〈運転〉ロールが必要。成功すれば2マス分先に進めます。前に車が居た場合には割り込んで1マス進めます(前に居た車は任意の方向に押し出せます)。失敗時には進めません。
蛇行運転…〈運転〉ロールが必要。自車他車共に火器技能の命中率が半減するが、1マス進める。前に車がいる場合は命中率半減のみ。失敗時には進めません。
 車のHPが10減るごとにルールブックのトラブル表を使ってアクシデントを起こします。横滑りを引いた場合、崖側に向かって車を1マスずらしてください。
 車の行動が終わったら、今度は人間のターンです。処理を簡潔にするため、DEX順による処理ではなく全員同時に処理をします。自分が座っている位置から攻撃できる範囲の車(真後ろの車か近い方の窓側の車)を攻撃することができます。命中率は基本ルールブックの車間距離記録表に準じます。
 前に二台出られるか、車が破壊される、あるいは車に挟まれてしまった場合強制停車させられ、戦闘が始まります。5マス以上距離を離すか、二台の車を始末した場合カーチェイス終了です。もし探索者カーが崖下に落下した場合は〈幸運〉ロールを行い、成功者は落下に備えられたということでダメージ半分(切り捨て)、失敗者は1d10そのままダメージです。行動宣言によってはダメージをより軽減できるかもしれません。

ヤクザA~D(再掲)
STR13 CON13 POW8
DEX9 APP5 SIZ12
INT15 EDU10 DB1d4
HP12 MP8
【戦闘技能】
拳銃(SIGザウエルP220)20%、ダメージ1d10、攻撃回数3、総弾数9、耐久力8、故障ナンバー99
脇差(ドス) 30%、ダメージ1d6+1+db、耐久力15

17.小休止
 追跡者を振り払い、山中の拠点まで戻ってくることが出来たら、負った傷などの手当てや事務所で手に入れた資料の解読、捕らえた教団員の尋問などが行われることでしょう。拠点には十分な医療装備があるため、ここでの〈医学〉〈応急手当〉〈薬学〉ロールには成功率に20%のプラス補正がかかり、更に回復量が1点上昇します。
 また、ジャックは探索者たちの働きを称賛し、「素人だと思っていたが、想像以上に君たちは良くやってくれている。君たちの働きがなければ、今回の任務はこううまくいかなかっただろう。今度日本にもATU支部が出来るらしいから、もしよかったら君たちを推薦しよう。」とまで述べます。当初の様子からすると、だいぶくだけた印象を覚えることでしょう。このイベントが起こった後は、ジャックの好感度ポイントが1点上昇します。

18.ジャックに関する情報
 ここで、KP向けにジャックに関する情報を整理して説明します。ジャックの目的は、銀の鍵を使ってヨグ=ソトース(実際にはタウィル・アト=ウムル)と接触することです。一か月ほど前、廃人に近い生活をしていた彼ですが、NPC紹介で書かれたようなやり取りを経て本シナリオのジャックは行動しています。シナリオ中彼はナイ神父の言葉に従い、現役時代の彼と同様に正義漢として振る舞って事件の解決を目指すでしょう。しかし、教団の野望が阻止されたクライマックスにおいて、彼は探索者たちの予期せぬ行動をとることになります。その動きの伏線をきちんと張らないとPLよっては唐突に感じると思われるので、伏線をKPがわかりやすいよう以下に列挙していきます。キーパリングの参考にしてください。
・アメリカ大使館における精神分析判定
・8.捜査準備におけるクロエとの会話
・10.ジャックの荷物における◆古い手記
・11.ジャックの悲哀イベント
・14.潜入捜査の裏でにおける◆開かれた手記の記述
・銀の鍵そのものの発見
・ジャックはヨグ=ソトースに関する情報をあまり探索者たちに漏らしたがりません。教団がそうであるように、神話的知識を持つ人間にヨグ=ソトースの情報を知られてしまうとその力を利用しようとするため、自分の持つ銀の鍵すら危うくなってしまうからです。そのため、捜査の過程で全にして一、一にして全なるものが時間を操るとされていることに対しても、バカバカしい・有りえないと否定したり話題をそらしたりしてミスリードを誘います。

19.突入準備
 得られた情報から「鍵」が奪われた資料を指し、近日その「鍵」を使用して何かを塔で行う可能性が高いということ、そしてAOOAの目的をある程度伺い知ることができるでしょう。塔の情報は、得られた情報を基に(最近建った石造りの塔を探す、など)して探せば難なく見つけることができます。屋内で戦闘となる可能性が高いと見るや、ジャックは車からライフルを持ち出して戦闘に備えます。
 山中にある石塔の前までやってきたら、以下の描写文を読み上げます。

 森の中にある開けた空間……そこにその不釣り合いな白い人工物はそびえたっていた。幅20m、高さ15mほどはあるだろうか。正面に見える入り口からは螺旋階段だけが見え、窓もないことから内部には殆ど空間のないことが窺える。そして、(ここで〈目星〉を振らせる。成功者が居れば続きを読み上げる)近づいて目を細めてみるとあなたは奇妙な事実に気づくだろう。見間違いかとも思ったが、よく見ればはっきりと確認できる。この塔には何の加工もされていないのに、なぜかこの塔は……うっすらと発光しているのだ。

【0/1d3のSANチェック】
 なお、この石塔は教祖岩山完二が建設の初期段階から足しげく通いMPを注いで言った関係上、ロケラン数十発やTNT火薬を用いたとしても破壊することはできません(《物体に魔力を付与する》は壊れ性能のオリジナル呪文ですが、塔を破壊されると困るので勘弁してください)。
これ以降、ここまでの行動や当日どのように潜入するかによって簡単な分岐が発生します。

【分岐1】教団の儀式開始時どこにいるか
◯塔の頂上で待ち構えていた場合…見張りを倒すなどの方法をとって石塔の頂上で待機していた場合、その日の儀式は確実に阻止されるが、《門の創造》による空間移動を見てしまったことによる【1/1d4】のSANチェック後に教祖含む5人の教団幹部とのガチンコ戦闘になる。この時探索者たちと別れてジャックが地上にいた場合は1d2ラウンド後に戦闘に参加する。
◯塔の頂上以外の場所で待ち構えていた場合…儀式の詠唱を聞いてから駆けつけることになる。その場合、ヨグ=ソトース招来の呪文が詠唱し終わるまでのターン数は頂上について戦闘が始まってから5ラウンドとなる。地上で戦闘になった場合、そこでかかるラウンド数と地上から頂上までの移動かかるラウンドは消費しないこととする。

 前者の場合、門の通過を目撃したことによる1/1d4のSANチェックが入りますが、《肉体の保護》を使用する暇もなく戦闘に突入します。後者の場合、通常通り時間経過で儀式が成功します。

【分岐2】事務所潜入が教団に気づかれているか
〇教団側に事務所潜入の動きが気づかれている場合→教祖は《門の創造》に加え『エイボンの書』より《手足の萎縮》を習得します。また、儀式当日まで塔の内外にはカーチェイスで生き残った教団戦闘員、あるいは傭兵(ヤクザのステを流用してください)による見張りが立てられています。彼らは24時間体制で部外者が中に入ることを防ぐよう言われています。
〇気づかれていない場合→教団側は《門の創造》を覚える以外何の用意もしません。また、塔周辺に見張りが居らず好きなタイミングで自由に内部へと潜入できます。

 前者の場合、見張りとの戦闘や教祖の強化により教団幹部との戦闘難易度がやや上がります。しかし、《手足の萎縮》をジャックに使った場合ジャックとの最終戦の難易度が下がります。後者の場合、それとは逆の現象が起こります。

【分岐3】カーチェイスで教団からの追手を始末したか
○始末した→儀式当日に傭兵が2人配置されます。この急な傭兵の募集は裏ルートを通じてジャックにも舞い込んでくるので、3人目の傭兵として潜りこませることもできます(事務所探索時情報を取り逃がした場合は、このルートからクライマックスまでの道筋をつけてもかまいません)。
○始末していない→生き残った教団戦闘員が塔の見張りにつきます。戦闘で負けることはないでしょうが、負傷により難易度が上昇する可能性があります。

 前者はジャックが居れば不意打ちで瞬殺でしょう。後者の場合もまあなんとかなるでしょう。

20.塔上の決戦
 ここからは、教団事務所への潜入が発覚し、カーチェイスで追っ手を全滅させたケースを想定してシナリオを書いていきます。ほかの分岐も大差はないので、分岐に応じて改変して処理してください。また、時間帯が夕方であるという描写を挟んでください。
●地上における戦闘
 見張りはジャックが紛れていれば3人、紛れていなければ2人配置されており、全員が銃器(89式小銃2d6、1/3/連射、装弾数20、故障ナンバー97)を持っています(技能値は初期値)。カーチェイスの件で教団の戦力が失われたため、慌てて募集をかけた結果この人数しか集まらなかったのです。ATUの情報網に引っかかった理由も、緊急に人員を集めるためリスクを冒さねばならなかったからです。

※ここはPL達が立てる作戦によって臨機応変に変えましょう。どのような方法をとるにしろ、不意打ちから戦闘をスタートすることになる可能性が高く、1ラウンドでカタはつくでしょう。一太刀浴びせられるPCが出てくるかもしれませんが、それはそれで運が悪かったということです。

●塔における戦闘
 教祖岩山に関してはNPC紹介を参照してください。
教団幹部4人(前衛二人、後衛兼詠唱役二人)、中年~年寄りくらい
前衛①STR15 CON11 POW11 DEX9 APP6 SIZ8 INT14 EDU18 HP11 MP11 dbなし
前衛②STR12 CON8 POW15 DEX12 APP9 SIZ15 INT14 EDU11 HP12 MP15 db+1d4
【武器】
日本刀50% 1d6+1+db、耐久力12
【戦闘技能】
こぶし50%、回避40%、
【行動ルーチン】
ひたすら攻撃
後衛①STR13 CON14 POW13 DEX11 APP10 SIZ11 INT14 EDU10 HP13 MP13 dbなし
後衛②STR10 CON14 POW13 DEX8 APP10 SIZ11 INT14 EDU10 HP13 MP13 dbなし
【武器】
38式歩兵銃40% 2d6+3耐久値12 故障ナンバー00 装弾数5発 ラウンド1/2
【戦闘技能】
拳銃35% 組付き50%、回避30%、日本刀30%
【所持呪文】
《塔に魔力を込める》、《肉体の保護》、《被害をそらす》
【行動ルーチン】
教祖岩山が行動している間、片方が38式歩兵銃による射撃、もう片方が呪文の詠唱をする。一人が撃ったら詠唱役が装填済みの38式をもう一人に受け渡し、次ラウンドも続けて撃てるようにします。
※なお、教祖は旧陸軍の士官服、前衛と後衛は自衛隊服を着ています。

 地上で戦闘が合ったことに教団側が気付くと、教祖以外の呪文持ち幹部は教祖を含む教団員たちに《肉体の保護》を任意のMP分かけ、探索者たちを待ち受けます(ランボーさながらの武装で乗り込んできた場合は4ポイントくらい投入してもいいかもしれませんが、あまりやりすぎないようにしましょう)。彼らはヨグ=ソトース召喚の呪文の詠唱が終わるまでの時間を稼ごうと戦闘行動をとりますが、最低1人は常に呪文を詠唱している必要があり、そのNPCは受け流しや回避以外の行動ができません。呪文の詠唱ができるのは、詠唱役二人と教祖だけです。

 探索者たちが頂上に到達し、少しでも話し合いができるようなら、会話の最後を教祖のこのセリフで締めくくってください。
「ワシは70年…70年待ったのだ、大日本帝国復活の日を。それどころか、今やこの世を大東亜共栄圏の成った世界へと作り変える、すんでのところまで来ているのだ。何人たりとも、この義挙を妨げることは許さん!」
 教団員たちはNPC紹介のところに記述した通りのルーチンで戦闘を行います。ジャックが探索差たちと一緒に頂上まで上がって戦闘に参加する場合には、彼は「それを返してもらうぞ(I will regain it)」と言い放ちます。

3ラウンド目には以下の呪文を唱えます。
いあ いあ んぐああ んんがい・がい!いあ いあ んがい ん・やあ ん・やあ しょごぐ ふたぐん!
4ラウンド目には以下の呪文を唱えます。
いあ いあ い・はあ い・にやあい・にやあ んがあ んんがい わふる ふたぐん よぐ・そとおす!
5ラウンド目も同様に
よぐ・そとおす!いあ!いあ!よぐ・そとおす!おさだごわあ!

 詠唱が最終段階(5ラウンド目)に達した時、生き残りの全員は残りのPOWを1残して全て塔に投入し、成功率を高めます。この段階ではエイボンの書を持つ者以外は全員が行動せず、詠唱役を守る肉壁となります。この状態で招来の呪文を唱えると捧げられたPOW*5%成功率が上昇します。
 教祖はエイボンの書を片手に腰に刺した魔力の付与された恩賜の軍刀を抜いて受け流しの態勢をとりつつ、最後の詠唱を行います。
 教祖を含めた幹部全員を無力化すると戦闘終了となります。ただし、エイボンの書は教祖が持っているため、もし何らかの手段で教祖が先に打ち倒された場合他の幹部はその本を拾う動作で1ターンを消費します。ただし、基本的に教団幹部は教祖の岩山をかばうように行動するため、よほどうまく立ち回らなければ教祖を先に倒すことはできないでしょう。

21.ジャックの策動
 ヨグ=ソトースの招来を阻止できた探索者たちは窮地を脱したことで一息つくことでしょう。そんな探索者たちを突然の閃光が襲い、1d3+1ラウンドの間スタン状態になります。これはジャックが投げたスタングレネードによるものです。警戒していてなお回避行動をとらない限り自動スタンです。続いて、〈目星〉か〈聞き耳〉の半分で探索者たちに振らせます。成功した技能に応じて軽く変更を加えつつ以下の描写をしましょう。

 何が起きたのかと物が飛んできたほうを見やると、ジャックがポケットから銀色に光る奇妙な形の鍵を取り出すのが見えた。「長かった……だがこれで俺は……を取り戻せる……」ジャックがそう呟くと一際大きく鍵が輝き、塔全体がゆらゆらと揺れる感覚に襲われてあなたたちは意識を失った。

21.ジャックの策動
 探索者たちは辺りに何もない、広さすら分からないような真っ白い空間に、円状に内側を向いて立っている状態ではっと目を覚まします。ジャックもほぼ同じタイミングで気が付くことになるでしょう。ジャックは置かれている状況以上に、探索者たちの姿を認めて驚きを隠せない状況にあります。
 辺りを見渡すという宣言があれば、以下の描写文を読み上げてください。

 そこではなにか判然としない色の織物でつくられた、のぞき穴すらないローブにすっぽりと身をつつんだ、人間の半分くらいの大きさの存在があった。その存在は六角形の台座の上で低い音を発し、背後の、輝きを放つ球体に合わせ体を揺らし、リズムを取っている。人間の感覚でそれ以上わかることは、目の前の存在がこの世のものではない、異形のものであるということだけだった。

 この異形はタウィル・アト=ウムルという、ヨグ=ソトースの化身の一つです。泡状の姿に比べて人間に対して攻撃的ではなく、SANチェックもありません。
懐から銀色に鈍く光る鍵を取り出すと、ジャックは異形に向かって歩み寄ります。異形の前までやってくると、ジャックはお前がヨグ=ソトースという存在か、黒人の神父からこの鍵を持ち続けていればお前に会えると聞いたという旨を話します。そうすると、タウィル・アト=ウムルはテレパシーで「我が名はタウィル・アト=ウムル。全にして一、一にして全なるものの化身なり。銀の鍵は持つものが望む時と場所へとそなたらを運ぶ力がある。しかし、それを拒むものがこの場所に居る限りその力を使うことはできぬ。」と述べます。
 ここからはジャックと探索者たちとの話し合いの場面になるでしょう。ジャックは銀の鍵の力を使い、自分の娘と妻(キムとテリー)が殺される前の時間へと転移し、彼女たちが死ぬことを阻止しようとします。しかし、その世界は言わばパラレルワールドであり、その場所では別の世界のジャックと探索者が居ることになります。もし探索者がジャックの望みを受け入れた場合、探索者たちは自分たちの身分や地位を捨てなければならなくなるでしょう。
 話し合いの間ジャックは「やはりこの任務は俺一人で行うべきだった。」「お前たちを巻き込むつもりはなかったが、こうなってしまっては仕方がない。」「俺は今度こそ妻と娘を救わなければならない。」などと抵抗します。ここでジャックの探索者たちに対する好感度ポイントが2ポイント以上ある場合、ジャックに対して〈説得〉、〈言いくるめ〉、〈値切り〉といった交渉技能を試みることが出来ます。この場面における探索者たちのロールプレイによって、最終的な補正値を決定してください。ジャックは短い間とはいえ任務を共にし、死線を潜り抜けた探索者たちのことをないがしろにすることはできないと考えていますし、別の世界へと移動して娘と妻を助けたところで、過去が変わるわけではないことに気が付いていますから、この辺りが交渉のキーポイントになるでしょう。
 話が平行線を辿ったり、探索者がジャックの銀の鍵を奪おうとしたりする場合、ジャックとの戦闘になります。ジャックは探索者たちを見やって躊躇するそぶりを見せるも、「申し訳ないが、これもまた運命だ。俺は……人生を取り戻す。」と述べ、戦闘態勢をとることでしょう。
 塔の上で受けた傷は後遺症が残るもの(四肢がもげるなど)でない限り回復しています。ただし、MPは回復しません。(ジャックが右腕を失っている場合、その部位を使用する体術系の技能は技能値と銃火器技能を半分にします。)探索者たちがジャックを消し炭にしかねない過激な装備をしていたなら、ここに来る際適度に奪っておきましょう。

23.結末に向けて
【ジャックを殺害した場合】
 ジャックは失った妻と娘の名前を叫び、涙を流しながら探索者たちに怨嗟の言葉を投げかけます。最後まで取り落とした銀の鍵に手を伸ばしているものの、最後は息絶えるでしょう。ジャックから銀の鍵を奪う(戦闘で最も活躍した人に渡すのが良いでしょう)と、タウィル・アト=ウムルから「今やその鍵は[探索者の名前]のものだ」とテレパシーが送られてきます。元の世界に帰りたいなどと言えば、遠くでこだまする不快な笑い声を聞きながら、ここへ来た時と同じような感覚に包まれ、白い塔があったはずの場所に立った状態で意識を取り戻すことになります(この場合塔自体はどこかへと無くなっています)。
 銀の鍵は、探索者たちがジャックを殺害した場合にのみ現実世界に戻ってきた後も持っています(知る由もありませんが、某神を楽しませてあげたご褒美です)。ただし、探索者たちはランドルフ・カーターの様に神から目をかけられているわけでも何でもない上、鍵の使い方を知らないので基本的には無用の長物でしかありませんが。殺害しなかった場合、戻ってくるタイミングで回収されてしまいます。
【ジャックを気絶させるなど無力化した場合】
 銀の鍵を拾うとタウィル・アト=ウムルから「今やその鍵は[探索者の名前]のものだ」とテレパシーが送られます。その後どうするかは探索者たち次第ですが、ジャックの意に反して元の世界へと送り付けた場合、彼は意識が戻り次第拳銃自殺してしまうでしょう。
【ジャックを交渉により説得した場合】
 ジャックは探索者の説得に応じ、元の世界へと戻ることを選択することになります。この場合、彼は逡巡する様子を見せながらも、最終的には探索者の言い分に納得し、銀の鍵を手渡すことでしょう。この際のロールプレイは状況によってさまざまなものになると思われます。探索者は元の世界へと帰りたい旨を告げれば、塔での戦闘から数十分後くらいに塔付近の地上へと移動します。
【タウィル・アト=ウムルに変なことをしでかした場合(攻撃したり、ベールを剥いだりなど)】
 タウィル・アト=ウムルがヨグ=ソトースとしての真の姿を現し、1d20/1d100のSANチェックの後全員1d2で過去か未来かを決定して〈幸運〉ロール、成功者は1d100年、失敗者は1d100万年前に飛ばされます。

24.エンディング
 ジャックの付けている発信機の信号が途切れたことを不審に思ったクロエが、石塔のあった場所までやってきています。
 ジャックが探索者に説得されてともに元の世界へと帰ってきている場合、彼はクロエに自分は過去の悲劇から立ち直ったこと、今後は本格的に現役復帰を目指すことを伝えることでしょう。その上で探索者たちに対して改めて礼を言い、『エイボンの書』と引き換えに報酬の小切手を受け取り、各々のやり取りを終えたところでシナリオは終了します。
 もしジャックを殺してしまっている場合、探索者たちの姿を認めると、ジャックは何処にいるのかと聞いてきます。探索者たちがジャックはどこかへ行ってしまったなどとごまかせば、クロエは物憂げな顔をして「ジャックは本当に家族思いだったんです。それがあんなことになって…。この任務が少しでも彼の傷ついた心を和らげてくれればいいんですが。」と言い、『エイボンの書』と引き換えに報酬の小切手を渡してくれます。任務を終えた彼女が、その場を立ち去っていくところでシナリオ終了です。

25.その他のエンド
【AOOAのヨグ=ソトース招来が成功した場合】
 以下の描写文を読み上げてください。
塔の周囲の存在すべて―探索者たちが衣食住をともにしてきた町もろとも―を侵食しながら、破裂した球と、邪悪に流動していく原形質の肉が塔の頭上の空間に集合していく。時空の一番底の基地の向こう、核となる混沌の中から現出するその姿は無数の玉虫色の球体の塊であり、原始の粘液として永遠の泡立ちを見せていた。
 この場合世界滅亡エンドです。

【ジャックの望む世界へと移動した場合】
 ジャックと探索者たちは窮極の門を抜け、ジャックの望む世界へと移動します。妻と娘を助け、彼女たちが生きている世界で、彼は新たに人生を歩み始めるでしょう。探索者たちが異邦の土地でどのように新たな人生を送るのかはまた別の話です。

26.シナリオ終了報酬
 SAN値回復報酬は基本で1d10ポイント、ジャックが納得する形でシナリオを終えられた場合には追加で1d4ポイントです。その他、探索者がジャックの心を癒すことができたと判断される場合には追加で個別に1d4のSAN値回復です。
 また、外なる神の化身と対面して宇宙の真理の一側面を目の当たりにするという神話的重大事件に遭遇したことにより、探索者は〈クトゥルフ神話〉技能を10%獲得します。

【シナリオタイトルについて】
 シナリオを直訳すると、「私はそれを取り戻す」です。シナリオ後半まではこのitに当たるものが『エイボンの書』の様に感じられるのですが、ジャックの終盤のセリフにある「俺は人生を取り戻す」というセリフにおいて、このシナリオの本当の意味がわかるようになる…といった作りになっています。




 シナリオとは関係ありませんが、24はこの世で最高のテレビドラマだと私は思っています。プライム会員の方はプライムビデオでも見られますので、興味(と時間)があったら是非見ることを強くお勧めします。

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