クトゥルフ神話TRPGシナリオ『嗤う人間師』感想・紹介・キーパリングサポート記事その2

自作シナリオと既存シナリオを秘密持ちにして大幅に改変したシナリオがもうすぐ公開できそうです。色々と調整が必要でしたが、おそらく次回のシナリオ更新時にどちらかはあげられると思います。しばらくはそれらの解説記事が続くかな?まだ今後の予定は未定ですが…。ではそろそろ、前回の記事の続きから再開しようと思います。前回は『嗤う人間師』を回すうえでシナリオの持ち味を生かす方法について書いて終わってしまいましたので、今回は実際にシナリオを回した際困った点を列挙し、それぞれに解決策を提示していこうと思います。このシナリオを回す際の参考にしてみてください。
※この記事はクトゥルフ神話TRPGセッション『嗤う人間師』感想・紹介・キーパリングサポート記事その2です。その1をご覧になっていない方はまずそちらをご覧ください。

その1 その2

以下ネタバレを含む感想です。ここからはシナリオを既に読んでいるか、プレイ済みということを前提に記事を書いていきます。
未プレイの方はネタバレに注意してください。




○PC1がジジイだった
今回のシナリオは事前文章が多いと言いましたが、特にPC1に関しては独自の導入が入っています。その際アルマン刑事が年長者の威厳を放ちつつ登場するんですが、あまり歳が離れていないと事前文章が不自然になってしまいます(今回のPC1は60近くでした)。
【解決策】
いずれにせよ必ずヨアンよりはいくらか年上でなければならないので、事前に3~50歳くらいで作ってもらうようPC1のハンドアウトとして提示しておいたほうが良いと思います。

〇仮面の男からカードを6枚もらおうとする
どうも現場に落ちていたカードを使いたくなかったのか、使えないと思ったのか、自分が回した際のPL達は6枚もらおうと食い下がりました。
【解決策】
誰がカードを購入しに行くにせよ、ニャルを利用して「君らに必要なのはあと4枚のはずだが」「余分にカードが欲しいとは強欲だな」「あいにく手持ちのカードは4枚だけだ」などといって切りぬけましょう。なおも食い下がるようなら、自分たちが持っていたはずのカード(灰色と黒色)をニャルから手渡してあげましょう。

○ヨアンのセリフが長くて読めない
アナウンサー志望でもないとあのセリフを噛まずにスラスラそれなりのスピードで読み上げることは不可能かと思います。私も事前に何回か練習しましたが無理でした。
【解決策】
つ[ソフトーク](DLはこちらからどうぞ)
ボイスロイドなる超絶便利な読み上げソフトを持っている方はそれを使っても問題ないでしょう(女声しか使えないとしたら問題ありかもしれませんがそれでもソフトークよりは良いかもしれません)。私の場合は最初のヨアンの軽い雑談シーンのみソフトークに頼りました。誤読直しなんかは結構面倒なので、その部分だけ欲しいという方は私が作ったものを配布しますので、それを参考にするなりそのまま使うなりご自由にお使いください。なお、ソフトークの力を使い“早いけどしっかり聞けば内容をきちんと理解できるであろう最大の速度”で軽い雑談トークのセリフを全て喋らせたところ、二分以上かかりました。舌にバネでも仕込んでるんでしょうかねヨアンは。

○ヨアンが早々に信用されてしまう
これはいわゆるリアルロール志向のPLしかいないときに起こりやすい状況ですが、ヨアンが元々PC1と組んでいる相棒であることや探索者たちの情報収集を引き受けていることから、PC目線では完全にヨアンは白に近い存在(というか白そのもの)です。この問題に関してはまた後述しますが、これでは人身売買会場に行く以前のタイミングでヨアン一人にマリアを預けてしまうという状況が発生する可能性があります(私の場合はPCたちがオカルト系出版社に行く際ヨアンにマリアを預けていました)。メタ目線でヨアンを疑っていてなおもこうした行動をとるような不用意なPLには容赦せずともよいかもしれませんが、そうでない場合には……
【解決策】
マリアの頑として譲らない性格を利用して、PCたちが行く方向へとついて行かせましょう。もし無理にヨアンのもとに置いていこうとするなら、最後の救済措置としてマリアとヨアンのDEX対抗ロールでヨアンを振り切ってPC達に合流できたかを判定しましょう。

○ヨアンが疑われない
署長の何か隠している様子が怪しかったりアルマン刑事の調べていた人間師の記録だとフード被って包帯巻いてるとかで他NPCが疑わしいんですが、いくつかヨアンを疑う余地も存在しています。微妙過ぎて気づかないだろうと思うものも含めて列挙していくと、

・アルマン刑事が初動の対応をしていたにもかかわらず地面に落ちていたカードに気づいていない(ヨアンが置いた可能性)
・妙に用意がいい(仮面や拳銃など)
・「俺が会わせてあげる」と言って捜査に協力していながら、マリアの母親を探しに人身売買会場に行く段階ではマリアと一緒に残ろうとする
・人身売買会場に行った際、やたらと単独行動をとろうとする

こんな感じでしょうか。
NPCを最初から信用しないような警戒心の高いPL達なら問題ありませんが、前述のようなリアルロール志向のPLや、それまでのシナリオ経験上NPCの裏切りを警戒しないようなPLだと、いざヨアンが裏切った時に不意打ち感が強くなるかもしれません。
【解決策】
そこでいろいろ考えた結果、「普通にスルーしてしまう程度には自然だけど後から言われると『あれは伏線だったのか!』となりそうな改変案」をいくつか思いつきましたので、いかに列挙しておきます。

・ハートのクイーンの特権の使用をマリアが登場した際に促す。使用した際には「彼女を守り、母親の元に連れていくことがベストエンドの条件の一つ」と伝える
・OP終了後にヨアン登場時、マリアのことをカクシカした際の描写を、
ヘラヘラしていたヨアンですが話を聞いているうちにハッとなり、真剣な表情をしたかと思うと目をウルウルさせ・・・「なんて健気な子なんだ〜(以下略)」
と変える
・ヨアンに人間師のことを調べるよう頼んだ際、あるいはヨアンが探索者の見つけたアルマン刑事の調査報告書を見た際、「生きていれば結構な年寄りなんでしょうかねえ」と発言させる。そして、人身売買会場でのパーカーの男が振り返った際の描写を「突如周囲を見渡し、貴方はフードの中の若い男と目が合います。」と描写する。そして、地下へ向かったヨアンが片足を押さえて座り込んでいる時のヨアンの発言を「今人間師が走ってきて、取り押えようとしたら~(以下略)」と変える。
・ヨアンがマリアにカードを渡す際のセリフを「マリアちゃんは灰色でいいよね?」と変える

以上です。シナリオを読んだ方なら、これら改編案の示す伏線の意味するところは分かるかと思います。突っ込まれてもこれ以上隙を見せずに適当にはぐらかしてください。あくまで一例ですし、これらの全てを利用するかどうかはKP次第ですが、少なくとも前述の目的は達成されると思います。全部とは言わずヨアンに対する警戒度に合わせていくつか挿入してみてもいいかもしれません。

〇用意されているヨアンのセリフが中々使えない
今回残念だったのが、用意されているヨアンのセリフの半分くらいを使えなかったことです。署長との会話では命令に対して最後まで食い下がらずにおとなしく引いたため、銃とバッジの没収イベントがなくその関連のヨアンのセリフ二つが使えず。何より痛恨だったのが、ヨアンとの最終戦において探索者側が問答をほとんど行わずに戦闘に突入したことです。このシナリオにおける彼の役割を考えると、ヨアンの影が薄いのは問題です。
【解決策】
署長の件に関しては突っぱねすぎるとPLがここでは情報を得られないと判断して早々に諦めてしまいかねないので、含みを持たせつつ会話を引っ張り、なるだけ早い段階で銃とバッジを没収しましょう。どうせ後でヨアンから拳銃をもらえるのでそこまで問題はないはずです。最終決戦については…これはどうにも思いつきませんでした。私の時も結構発言を促したんですが、問答無用といった雰囲気だったのでそれ以上やるのも雰囲気を壊しかねず、そのままジョーカーのシーンへと入りました(ちなみに、ジャックのキング防衛は見事成功しました)。

〇占い師のシーンで探索者達がカードの絵柄を口頭で伝えようとする
キングの秘密は最初に全員に公開されますが、そこにはこんな一文があります。
>ただしこの特権は全員に公開され、キングであることを他者に伝えてはならない。伝えたと判断された場合『貴方だけが例外となる』
そもそも特権システムの効果がPLだけが把握しているという点でゲーム的なのですが、探索者達が他人のカードが見えないからといってそこに書かれている絵柄を口頭で宣言していった場合、実際にゲーム的に意味を持つ以上は上の一文が問題となってしまいます。つまりは、キング以外の全員が絵柄を公開した際にキングの探索者はどうすればいいのかという問題です。
【解決策】
これに関しては私が実際にやった方法と、もう一つ別の方法があります。
まず前者ですが、私の場合はカードを受け取り自分の絵柄が書かれていることを確認した段階で上記の内容を説明し、口頭で説明するような行動をした場合にはキングの特権がなくなることを警告することです。これは事実上やるなと言っているに等しく、またある種興を削ぎます。が、確実にキングの特権効果は守られます。
これに対してもう一つの方法は、何もしないことです。むろん、この流れが始まってキング以外が自分の絵柄を正直に公開した場合には、言おうが言うまいがキングのPCは自分がキングだと伝えたとみなさざるを得ません。キングが自ら発言していないからセーフというのは流石に詭弁です。しかし、キング自身が特権の対象外となったかどうかを判断する術はありませんから、KPは黙っていればいいのです。もしこのような流れでキングがこうかを失ったかどうか確認を求めてきた場合には、「自分の頭を撃ち抜いてみればわかることだ」とでも言ってあげましょう。実際問題、キングが対象外となるだけならそこまでのペナルティではないはずです。また、キングの他にジョーカーも同様に公開を渋る可能性もありますが、この場合にはまだキングが確定していないので見逃しましょう。

〇マリアリスが強い
いろいろ長々と書きましたが、これで最後となります。
このシナリオの特徴の一つは戦闘難易度の高さにあります。KPのさじ加減なところもありますが、最強レベルの状態だとどれほど苛烈になるかはリプレイ動画を見ていただければわかると思います。PL達が戦闘慣れしていたり、回避と行動が一ラウンドに両方できるハウスルールなんかを採用していればあの難易度でも戦闘勝利の糸口をつかめるかもしれませんが、私は一貫して回避をしたら受け流し以外の行動を認めない基本ルールを採用している上PL達もガチ戦闘の経験が浅いので、通常のままだと非常に厳しい戦いとなります。なので、例によってまた改変を加えました。戦闘の難易度を下げる目安として参考にしてください。
・毒によるダメージをCON対抗成功で3、失敗で6に
・防刃チョッキ着用時、貫通あるいはダメージが通った際幸運で毒が通るか判定
・ショゴス液の使用はあっさり戦闘が終わった際に限定。アリスかマリアのどちらかを完全回復させ、1ラウンドごとに1ポイントのHP回復能力を付与。
これで全体的な戦闘難易度はある程度下がるはずです。これでも並の探索者相手だとかなりの脅威ですが、戦闘の準備を整えた探索者達相手なら互角以上の戦いはできるはずです。

いかがでしたでしょうか。色々書き連ねましたが、これでだいたいセッション中に思ったことはカバーできたと思います。だいぶ改編案が多い記事内容になってしまいましたが、戦闘以外バニラの状態で私が回した際もPL達からはかなりの好評でした(ちなみに私が回したセッションでは最終的にヨアンを殺さず機動隊の突入により全員捕縛されるも3人生還、そしてPC1がアルマン刑事特殊エンドでした)。改編案の多くはこのシナリオの“素晴らしい”ストーリーを強化しつつ、犯人当てというTRPGのゲーム性を引き出すためにPL達の意見を基にして考案したものです。この記事がよりこのシナリオの面白さを引き出し、皆さんのより良いセッションの一助となれば嬉しいです。
来週はおそらく、私が完全自作したシナリオ『I will regain it』を公開することになると思います。私がこの世で最も好きな映像作品である24シリーズをリスペクトした、派手でスケールの大きな中編シナリオとなっています。では、また来週お会いしましょう。

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