クトゥルフ神話TRPGシナリオ『嗤う人間師』感想・紹介・キーパリングサポート記事その1

今回は先日回した脆弱なニム様作成の『嗤う人間師』の紹介をさせていただこうと思います。というのも、初めて秘密持ちシナリオ回すならこのシナリオがおすすめですとか言っておきながら自分が回してみた結果案外回すのに苦労したからです。
早速紹介のほうに入っていきますが、まずこのシナリオのトレーラーを引用させていただきます。おそらく事前に参加されるPLに公開される部分かとは思いますが、一応ネタバレ注意です。
6月27日追記:なお、このシナリオは脆弱なニム様のツイッターの固定ツイートからダウンロードできます。

>他者との差異を挙げろと言われれば、多様な答えが帰ってくるだろう。
>時には理解し難い価値観の違いに出くわすこともあるだろう。
>異常とは『異なる常』のことである、常とはなんなのだろうか。

>人は数多く存在し、共存して生きている。
>彼等を常と呼ぶのであれば確かに異常と呼ばれるに相応しいのかもしれない。
>彼等が正義だと謳うのであれば確かに悪と叫ばれるのは必然かもしれない。

>イギリスのロンドンで発生した死体遺棄事件。
>定年を迎える刑事はその凄惨な死体を見てこう口ずさむ。

>『―人間師』

>探索者達は犯罪者を追い、そして少女の未来を守る為に動くのだろう。
>占い師が配るトランプの絵柄には君達の未来が描かれる。

>君のカードには一体何が描かれているのだろうか。


どうでしょうか。これを見ればだいたいこのシナリオの雰囲気と流れを掴めたかと思います。トレーラーにある通り、シナリオの舞台は霧の街ロンドンです。探索者達がイギリス人である必要はありませんが、PCは四人固定で現地の警察官二人とその知り合い二人となるのでイギリス人PCを作った方が自然でしょう。職業によって難易度の差はありませんが、このシナリオでは98%くらいの確率で不可避の戦闘が発生するので何も考えず拳銃を持てる警察官のほうがキャラクターは作りやすいかもしれません。また、PC1のみ単独の導入があります。
さて、ネタバレにならない範囲でシナリオを紹介していきますが、せっかくなのでまず私が作ったシナリオ一覧の書式に沿って概要を書いてみます
『嗤う人間師』
・目安人数…4人(固定)
・シナリオ傾向…秘密持ち、ストーリー重視の探索寄りシティ(ほぼ不可避の戦闘が場合によっては複数回有り)
・探索難易度★★★★★★★★☆☆
・戦闘難易度★★★★★★★★★☆
・キーパリング難易度★★★★★★★☆☆☆
・PCロスト率…55%
・オフセ予想セッション時間5~7時間、テキセの場合シナリオによると9~12時間

こんな感じですね。リプレイ動画内で作者様もおっしゃっていますが、このシナリオはストーリー重視でシティと銘打ちつつも実際に探索者にゆだねられる行動の幅は狭いです。また、ここが一番重要なところでもありますが、シナリオの分岐によってはショッキングなエンドが存在します。そして、探索の難易度…というよりも到達しうる最も良いエンディングに到達する難易度がそれなりに高いです。後味の悪いシナリオが苦手な方が居る場合は注意してください。また、戦闘の難易度がそれなりに高いので、私の場合は自衛以上の戦闘技能を必須としました。他に、秘密持ちシナリオと言いつつもこのシナリオの秘密は通常のシナリオに付されたフレーバー的な傾向が強いです。前回記事に書いた『エレベーターの恐怖』のような秘密らしい秘密を期待して臨むと肩すかしをくらう(悪い言い方ですが)可能性があります。
このシナリオの最大の特徴はシナリオのストーリー展開です。ストーリー重視ということでそのストーリーがダメダメだったらお話になりませんが、その点は心配無用です。細部にわたる道中の伏線とその回収、印象深いシーンの連続と非常に良く練られたストーリーで、身内のPLからの評判もかなり高いものでした。このシナリオの文章量は4万字近くと一見気圧されますが、純粋な骨組みのシナリオ部分だけ抜き取ると7000字程度であり、事前文章が非常に多いです。そのため、KPの力量が低くてもNPCの個性やシナリオのストーリーが非常に演出しやすくなっています。

とまあこの程度にしておきましょうか。コンパクトな秘密持ちシナリオですし、PLの感覚も普通のシナリオに近いので秘密持ちシナリオデビューには適していると思います。
が、実際シナリオを回すうえで色々苦労した部分や、こうしたらもっとこのシナリオの持ち味を生かせると思った点がいくつかありましたので、今回はそれらについて記事を書こうと思います。

その1 その2

以下ネタバレを含む感想です。ここからはシナリオを既に読んでいるか、プレイ済みということを前提に記事を書いていきます。
未プレイの方はネタバレに注意してください。


まず最初に、このシナリオのセッションをより良いものにするために強調しておきたいことは、このシナリオがストーリー重視であるということです。
事実上の一本道シナリオであり、シティながらPL側の探索の余地は基本的に狭いものとなっております。KPはこの事実をまず理解した上で、可能な限りPL達に自分たちで考えて探索している感を出すよう努めて下さい。普通にシナリオに沿ってキーパリングをしていれば既定のイベントを消化できるはずなので、キーパリングに慣れていなくてもこの作業はできるはずです。
そして、このシナリオのストーリーを最大限効果的に描くために、あらゆる手段を使いましょう。具体的には、キャラクターの立ち絵(実在架空問わず)、BGM(シナリオ内に記載)、そしてNPCのロールプレイ(キャラクターの個性を意識して)など。KPが全員分のロールプレイをする関係上、NPCをいっそ記号化してしまった方がPLは感情移入しやすいと思います。が、これについてはKPの考え次第ですね。ただし、いずれの場合にせよPLをシナリオに引き込むためロールプレイはしっかりやりましょう。BGMはシナリオのストーリー展開にPLを引き込む装置としてよく働くでしょう。このシナリオでは場面によく合ったBGM設定がなされており(リプレイ動画を見ていただければよくわかると思います)、ほぼシナリオの一部といってもいいのではないかと思うほどシナリオに与える影響が効果的です。私がPL記事を書いた『羅生門』付属のBGMよりも重要であると言えるでしょう。
なお、これは主にオフセ、ボイセ向けの話であって、テキセの場合はBGMだけで良いと思います。事前文章だけでキャラクターの個性は十二分に伝わる上、それに合わせたNPCのロールプレイも実際に発言するよりかはやりやすいと思いますし、生声が聞こえるわけでもないので変にキャラクターを記号化してNPCの姿を想像する楽しみを奪わない方が良いかと(BGMは曲名自体が伏線にもなっているので可能であれば付けたほうがいいです)。まあ、私はテキセ未経験なので想像ですが…。
また、このシナリオは敵NPCがかなり強いです。が、PL側もよく話し合って考えればある程度最終決戦の予想は付けられると思いますし(呪文を使ってくるとは言え相手は「人間師」ですし、彼らは人間師の作品とそのギミックを見ており、かつ彼のとっておきの“作品”をまだ見ていないわけですからね…)、PC作成時点で自衛以上の戦闘技能を必須としておけばかなりの戦力を擁していると思うので、何だかんだでなんとかなるのではないかと思います(ジョーカーに拳銃持ちを殺されていると難易度が結構上がりますが)。ショゴス液の効果と毒に関しても私は改変しました。具体的には前者の効果を完全復活とHPの毎ターン1点回復効果に、後者をPOT対抗成功で3、失敗で6ダメージに変えました。また、防塵ベスト着用時にはダメージが通りかつ幸運に失敗した時のみPOT対抗が発生するという処理にしました。まあショゴス液は使わなかったし、防塵ベストを着てきた人は誰もいなかったんですが…。この改変はどんなシナリオだろうととりあえずクリアさせてしまえば丸く収まるという後ろ向きな思考からくるものでもありますが、改変案として一つの参考にしてみてください。これくらいの下方調整でも、何の用意もなしに突っ込んできたパーティーを全滅させるだけの力は十分に持っていますので。

それでは、ここからは実際に私が回してみて苦労した点を書いていこう、と思ったんですが…。ここまで書いて3000字近くになってしまいました。ここからまた続けると6000字近い記事になってしまうので、今回はおまけとしてシナリオ中に指定されているBGMを配布してくださっているサイト様と、自作のジョーカー用の導入を最後に張り付けて記事を終わろうと思います。この導入は探偵PC用に作ったものですが、多少改変してお使いください。シナリオに合わせた伏線もちりばめられた文章になっております。なお、このPCは小さい一人息子が居るという設定になっておりますが、これは秘密の配布の時事前に説明して作ってもらった設定です。KPは事前にジョーカーの人にお願いしておくことを忘れないようにしましょう。

なかなか探偵家業が捗らないあなたに久々に舞い込んできた大型の依頼。あなたは喜び勇んで事件を解決しに、遠くの町まで出かけることになる。数日家を空けたお詫びも兼ねて、羽振りのいい依頼人からもらった多めの報酬で息子へのプレゼントを買い家に帰ったあなただったが、玄関をくぐってもいつも出迎えてくれる息子の姿が見えない。昼寝でもしているのかと家中を探してもどこにも居ない。出かけているのかとも思ったが、息子の靴はきちんと玄関に揃えて並べられている。警察に届け出を出そうかと思い始めたその時、郵便ポストに郵便物が投函される音を聞く。ポストの中を見ると、一通の封筒が中に入っていた。住所は書かれておらず、表面には「お父さんへ」とだけたどたどしい文字で書かれている。あなたは直感する。「これは息子の字だ。」胸騒ぎを覚えたあなたが恐る恐る封筒の中を見ると、猿轡をはめられ椅子に縛られている息子と、息子を取り囲むように立つ、仮面を着けた複数の人間が写っている一枚の写真が入っていた。混乱しているあなたの携帯に、1通のメールが届く。差出人の欄には見覚えのないアドレス。文面はこうだ。
「息子さんは無事です。しかし、せっかく手に入れたものをこのまま何もせずに返すというのは惜しい。そこで、あなたには一つ私からのお願いを聞いてもらいたい。詳しくは追って連絡をするので、それまで待っていてください。追伸:息子さんの身の安全は保証しますが、この件を口外したら……わかりますね?」
そして数日後(※注:時系列的にはこのメールが届くタイミングはPC1の導入後となります)、また同じ送り主から一通のメールが届く。
「私が【切り札】という単語を使って合図した時、【キング】の命を狙ってください。意味がよくわからない?時期が来ればわかりますよ。確認が取れ次第、息子さんは開放します。」
あなたは愛する息子を取り戻すため、彼の要求に従うことを決心した。


フリー音楽素材 H/MIX GALLERY MENU様
http://www.hmix.net/music_gallery/image/horror.htm
ぴたちー素材館様
http://www.vita-chi.net/sec/voi/hora/voivoi1.htm


画像は私が回した時の各キャラクターです。乏しい漫画知識の中でできるだけキャラクターの性格とNPCをすり合わせたつもりです。
無題.png

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