クトゥルフ神話TRPGセッション『I was...』感想

 今回は羅生門をやるまでの間日が開くということで急遽行われた、クトゥルフ神話TRPGやろうずwiki掲載のKYS様作成『I was...』のセッションについて記事を書こうと思います。今回のセッションでは私がKPを務め、PL2人でシナリオを回しました。

 このシナリオは現代日本(場合によっては国の変更も可能です)が舞台の、目が覚めたら…系典型的完全クローズドシナリオです。難易度は低めで、シナリオ傾向としては戦闘技能が重要ではない、探索重視の短~中編シナリオとなっています。おそらくどんなに長引いても3時間以内には終わるでしょう。実のところ今回のシナリオは私が以前KPを始めたての頃にも回したのですが、各部屋の画像が用意されており部屋の描写がしやすく、キーパリング難易度もある部分に気を付ければかなり低いので、初心者KPの入門用としてもお勧めできます。
 推奨PL数は2人となっていますが、一応それ以上の人数でも回すことが可能となっています。しかし、後述するある理由から私は推奨人数でのプレイをお勧めします。もし多人数で回したい場合には、私が後述するような改変を加えてみるといいかと思います。

以下ネタバレを含む感想です。ここからはシナリオを既に読んでいるか、プレイ済みということを前提に記事を書いていきます。
未プレイの方はネタバレに注意してください。


○このシナリオを回す際の注意点
 重要なことなので最初に書きますが、このシナリオを回すときKPはくれぐれも探索者が人造ショゴス人間に成り代わっていることをうっかり気付かれないようにしてください。このシナリオではそのことをPL自身の手によって気付かせることが最大のポイントです。勘のいいPLだと開始直後から自身の身に何か起こっていないか〈医学〉、〈生物学〉ロールを行うこともあるでしょう(さすがに自傷行為はシナリオが進むまでしないと思いますが)。私が最初回したときにもPLの一人から〈医学〉ロールを要求されました(その時は特に腕に入れ墨などもないので「何も変わりないようだ」と答えましたが)。そういった時に処理に手間取って怪しまれることのない様、身体の入れ墨や外傷は事前に確認しておき、ゴリラとの戦闘時の戦闘技能ボーナス、〈コンピューター〉技能のボーナスや処理に関する部分は頭に入れておきましょう(CON上昇によるHPの上昇はシナリオに明記されていませんが私は取り入れました)。
 また、今回のシナリオではクリア方法次第で生き残るPCが人造ショゴス人間となる可能性があります。PLが継続探索者を使ったりこのセッションで使った新規探索者を継続で使いそうな場合には、このセッションでそういった「後遺症」が残る可能性を伝えてあげるようにしてください。

○導入
 今回の参加PCはどこかの地下組織の研究員のおっさん(〈生物学〉、〈医学〉持ち)と、30前後のヤクザ(なぜか〈武道〉持ち)でした。
 クローズドなので導入が非常に楽でしたね。ここらへんも初心者にお勧めする理由の一つです。基本的に序盤はしばらく一本道なのであまり特筆することはありませんが、強いて言えば監視カメラへの〈目星〉のファンブル処理を「君は無機質なレンズの奥底に、君たちを閉じ込め監視する人間の悪意を感じとってしまった」としてSAN1減らしたくらいでしょうか。こういうやや強引な処理を好まないKPもいるかと思いますが、せっかくの1/20の確率ですし私はできる限りその場に合わせたアクシデントや、逆にクリティカルの時にはラッキーイベントを起こしています(『彼方より来たる』の時はキッチンの〈目星〉クリティカル処理として肉切り包丁を与えました)。

○最終実験室までの探索
 一本道を越えて探索場所が複数ある廊下へとやってきますが、私はここで一つシナリオに改編を加えました。それは、なるべく資料室の扉を最後に調べさせるようにしたことです。具体的には、まずカードリーダーを奥の扉と同じように実験用、培養室のカードキーを使わなければ開かないようにしました。
理由は資料室で出てくる報告書二枚を最後に見てほしかったからです。この報告書を先に見てしまうと、耐久実験室において凶暴なゴリラを素手で殺してしまうという体験の衝撃や、なぜか自分がコンピューターをハッキングできてしまうという奇妙な現象、培養室で見る不自然に空いた空のシリンダーに感じる不気味さが薄れてしまいます。
 ベストなのはやはり培養室と耐久実験室へ行ったうえで資料室の資料に目を通してもらうことでしょう。しかし、上記の改変だと耐久実験室へ行ったあと培養室へ行く前に資料室へと行く可能性が残っています。これはPCの行動の自由度(といっても2択しかありませんが)を残すべきだと判断したためです。しかし、KPはPLの嗜好や状況を見て、資料室より培養室を先に行かせるような誘導を行う判断をしてもかまわないかと思います。本来こうしたPLに選択の余地がない誘導は避けるべきであり私も推奨しませんが、シナリオの性質を鑑みるとこのような判断もアリかと思いました(PLが誘導を嫌うタイプの場合には絶対誘導してはなりません)。
 今回のセッションでは、私は耐久実験室で〈武道〉持ちヤクザがゴリラの拳を受け流しながらその腕に組みついて引きちぎり戦闘を終わらせ、手に入れたカードキーを資料室のリーダーに通した時、すぐには扉を開けずに培養室の扉横のディスプレイからビープ音を鳴らし、〈コンピューター〉に成功すれば「被験者は培養室へお入りください」という文言を表示させるという処理にしました。
しかし、こうした処理を行ったのはPLの感の鋭さや嗜好を吟味した上での判断であり、くれぐれもKPの都合での強い誘導は慎重に行ってください。


○最終実験室にて~誤算~
 さて、このシナリオの最後にして最大の山場が最終実験室です。このシーンにおいてPCは怒りから内に眠る力を開放してショゴスに変身する可能性があります。ショゴスになって今まで手出しのしようがなかった、自分をモルモットのように扱う連中に対して暴れまくるロールと言うのは愉快痛快そのものでしょう。そうでなくともおそらくこのシナリオでしかできない貴重な体験です。記事の前半でこのシナリオは二人でプレイすることをお勧めした理由は、このショゴスロールが一人しかできない点ですね。一人がショゴス化したら他のPCはされるがままとなってしまうので、なるべくショゴスになれる人数を増やすためにも、ただショゴスの破壊活動を傍観するだけとなるPCを減らすためにも、二人プレイをオススメしたのです。それでも複数人プレイをしたい場合(PLが奇数であるなど)にはゴリラをライオンに変えたり、ゴリラを二体投入するといった戦闘の調整と、最終実験室において二人以上のショゴス化を認めるといった改変を行うのが良いと思います。緊急対応プログラムの薬弾は一発しか撃たれないのか、その場合の生き残ったショゴスはどうするか、など色々な別のエンディングを考えてみるとまた面白いと思います。

 しかし…私の回した二つのセッションではショゴスは現れませんでした。
 PL4人中3人は自殺を選んで本来の自分を生かし、1人が本来の自分を殺してショゴス人間を生き残らせました。4人中3人はそもそも施設側にそこまでの強い怒りを抱かなかったようで、また全員ともどうやら『破壊したい』と宣言することによってショゴス化するとは思いもよらなかったらしいです。
私としてはショゴスロールが見たかったですし色々NPCのロールを考えていたんですが…。

○誤算~どうしてこうなった~
 こうなった原因としては二つあると考えています。一つは、元々PLの性格があまり攻撃的ではないことです。自殺を選んだ3人は戦闘もあまり好きではないしPC自体も穏健な性格、という穏健派でした(残る一人も攻撃的ではありませんでした)。ロールとの兼ね合いもあって、『破壊したい』宣言も行わなかったのでしょう。
 もう一つは、PL側の施設に対するヘイトがたまっていなかったということです。このシナリオではNPCとの接触機会が最後以外なく、それまでの過程が淡々と進みがちなので、破壊したいと宣言するほどに強いヘイトが施設側に向けさせることができなかったのだと思います。
 PCのショゴス化はこのシナリオ最大の山場ですし、KPはPLの性格などを鑑みてショゴス化しない可能性がある場合には、なるべく施設へのヘイトが溜まるような改変を加えたほうがいいかもしれません。聖人君子のようなPL二人組なら顔面に石井のつばでも吐きかけさせてやりましょう。

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6月9日追記:ショゴス細胞を顕微鏡でのぞいたらどんなものが見えるんでしょうかね。SANチェック入りそうですが…。

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